年下の彼 学校に行こう編 第一幕〜 |
学校に行こう!
第一幕 第二幕 第三幕 第四幕 第五幕 第六幕 第七幕 第八幕 第九幕 第十幕
スクロールが大変なので↑こちらにリンク張りました。目当ての話に飛んで下さい。
第一幕 発覚!
コンラッドとヨザックは7歳。日本では小学校一年生になっているはず。
しかし、毎日学校から帰ってくる有利を待ってから遊びにいくとなると?学校はどうしているのだろう?
『ダンさん、コンラッドとヨザックって7歳ですよね?』
気になった勝利が、週末遊びに来ていた二人の父親ダンヒーリー(通称ダンさん)に、それとなく聞いてみた。
『うん?そうだが?勝利何か?』
『学校に行かせなくていいのですか?』
『今年入学予定だから、もちろん9月になったら行かせるさ〜。はっはっは』
『・・・・・・・・・・・・・・ダンさん?日本の入学式は4月ですよ。』
『・・・・・・・・・・・・・・・は?』
『だから、新学期は4月です。9月だと2学期が始まります。』
「「・・・・・・・・・・・・。」」
『あれ?』
ぷちっ・・・・・・・・
『あれじゃないわっ!このボケ!とっとと、二人を小学校に入れる手続きして来い!!』
そう、アメリカは2学期制で新学期は9月からだが、ここは日本。三学期制で4月から新学期が始まっている。
どうやら、ボケ親父(←勝利のダンヒーリーの扱いは結構ぞんざいだ。)の勘違いのせいで、二人は小学校
に行きそびれていたらしい。
こうして、勝利の活躍で、無事二人は、有利の通う小学校へと通うこととなった。
-ーーーーーーーーーーーーーーー(ノ'(ェ)')ノ*・'゜☆。.:*:・’☆おまけ♪ーーーーーーーーーーー
ダンぱぱ「ところでなんで、三学期制なんだ?2学期の方が少なくていいじゃないか?」
勝馬パパ「あっはっは、日本人は勤勉なのさ〜。」←はきちがえているが、自信たっぷり
ダンぱぱ「ほぉ〜、さすがだな」←根拠はわからんが、感心したらしい
勝馬パパ「あっはっは、まぁな〜。^^v」
有利「親父達が何でウマが合うかわかったな。」←あの親の存在に慣れているので、他人事。
ヨザ「感覚だけで話して通じてますね。」←第三者なので、客観的見解。
コン「この度はご迷惑おかけして。」← 律儀な、苦労性。
ぺこり。
勝利「コンラッド、馬鹿親達の苦労まで背負わなくて良いから・・・。」
漠然と、この子の将来が不憫になったお兄ちゃんであった。
4月16日拍手にUP 17日、LONGにおまけ入れて格納
第2幕 必要なものをそろえましょう!
「あははは、また勝利に怒られてしまったよ。お宅の勝利はしっかり者だね。勝馬もこれだけしっかり者の
息子がいれば安心だな。」
「だろだろ?そうなんだよ、うちのしょーちゃんは、俺達に似ず、きちんとした性格でな〜、ゆーちゃんの躾から、
世話までこなしてくれて、パパは大助かりさ〜。」
それは、あんたら両親に任すと、俺の可愛いゆーちゃんが、女装の道か野球狂の道しか歩めないからだよ!
どうやら、勝利がしっかりしてしまったのは、両親があまりにも、良い言えばおおらか?悪く言えば大雑把な
性格だったから・・らしい。俗に言う、反面教師だ。
「ダンさん、親父・・何呑気なこと言ってるんだ・・・。2ヶ月以上勉強から遅れるんだぞ。友達だって途中からじゃ
出来にくいし、一刻も早く通わせないと!そうだ、ランドセル等も揃えなくては!役所の手続きや学校の下見は、
週明けにお袋といってもらうとして、先にわかるものだけでも買い集めておくべきだな!御袋!おふくろー!」
「なに?しょーちゃん、ママでしょ?マ・マ。」
キッチンからいそいそとでてきた美子は、ちょっとすねたように恒例のやり取りをした。
いや、そんな事はどうでも良いから(自分は、弟にお兄ちゃんと呼べというくせに)と、事情を説明すると、
入学に必要なものを一式買いに行って来てほしいと頼んだ。これでは、どっちが保護者なんだか?
あっという間に、ダンヒーリーから財布をもぎ取ると、コンラートとヨザックを呼びつけ、ついでに有利もつれて、
30分後にはデパートについていた。ちなみに、勝馬とダンヒーリーは、買い物の邪魔だと屋上のバッティング
センターに追い出された。ダンヒーリーはカードも、もっているし財布が無くともどうにかなるだろう。
時期はずれなので、ランドセルは取り寄せになるといわれたが、さすがデパートだ。事情を説明すると、
通常1週間はかかるところを、3日で取り寄せてくれるそうだ。その際、効いたのが有利・コンラート・ヨザック
チビ三人組の上目遣いでおねだり光線だ!店員のお姉さま方は一瞬にしてノックアウトだった。
ふははは、どうだ!うちの弟どもの可愛さは!その辺の、アイドルも裸足で逃げるだろっ!ふっ!
「へぇ〜ランドセルって、色々あるんですね〜。」
「あ、グリエ!このピンクのがいいわ〜。」
カタログを見ながら、二人は種類の豊富さに目を白黒させている。
ちなみに、有利は黒だ。母親はピンク・父親はパステルだと、息子じゃなく、娘にかうような色ばかり勧める
ので、勝利が止めて無難に黒になったのだ。本当は青が良かったが・・そういうとパステルの可愛いブルーの
ランドセルが候補に入ってしまうため、賢明にも口をつぐんでいたのだった。しかし、形は蓋が半かぶせの
タイプで形はお気に入りだ。あぁ、嫌な思い出を思い出しちまった。そういえば、入学式の時も危うくドレスを
着せられそうになったっけ?それも、兄勝利が危険を察知してくれて、入学式用フォーマルを一式インター
ネットで頼んでおいてくれて助かったのだ。
こうして考えてみると、もしかして、俺ってば勝利に感謝しなくちゃならないか?今回も、コンラッドとヨザックが
小学校に入れることが出来るもの、兄・勝利の活躍だ。それに、こうして準備まで段取りしてくれている。
「二人とも、アメリカ人だしな・・この先大きくなる事も考えると、普通のではなく横型とか、少し洒落たのが
いいんじゃないか?」
「そうねー、コンちゃんは今は小さいけど、ヨザちゃんみたいに大きくなるかもしれないわね。」
「それか、こっちのソフトな半かぶせタイプは?形は一緒だけど、蓋が半分だから軽いし見た目もおしゃれだしな?」
ゆーちゃんも、このタイプだけど、軽いって言ってたし。
「おれは、ユーリと一緒がいいです。」
どうやら、ゆーちゃんと一緒が決め手になったらしい。もっとも、形はよく似てるが、お値段は、もちっとコンラートの
ほうが高いしデザインもいいのだが。色も黒に決定した。
ヨザックは、ピンク〜といっていたわりには、最終的には、誰かさんの瞳の色ののようなブラウンの横型の
ランドセルにしたようだ。取っ手もついているので、普通のかばんとしても使えそうなおしゃれな物だった。
あとは、学校指定物(うわばきとか運動着などなどや学用品(ノート鉛筆など)・あと図工や音楽で使うで
あろう物・有利も勝利も自分達が通った道なので何が必要かはわかる。
それと、二人の履く靴だが・・・やはり良い所の坊ちゃんらしい仕立ての良いものを履かされている・・。
しかし、学校で友達と遊ぶのには、汚れてもOK!丈夫なスニーカーが一番だ。同じ意味で洋服もそろえなくては…
と、言った途端に美子の瞳がキラキラ輝いた。
あーーこうなると長いわ・・・すまん、コンラッド・ヨザック、しばらく着せ替え人形になってくれ!
みれば、有利も同情を込めた目で見ていた。兄弟で目が合う・・・・・。生暖かな空気が流れた。
「そうだ!ゆーちゃん。俺はパソコンショップに行って来るから。」
「あ、ずるい!また、ゲームソフトでも買うのか?」
「あほか・・・ネームタグを作るんだよ。おまえ、お道具箱とかに入っているおはじきになどに、一つ一つ手書きで
名前入れする気か?ここのショップなら布用もあるし、サイズも豊富なんだ。というわけで、一緒に行くぞ。」
「へ・・」
・・・なんてマメなんだ。そういえば、有利の時も、勝利が作ったのをペタペタ張っていたような?
もしかしなくても、俺ってば・・・親じゃなく・・兄に育てられているんじゃないだろうか?
勝利は、母親と二人を残し俺を連れて残りの必要そうなものを買いにいった。大体買い終わると、親父達を
迎えに行き・・・親父たちはどちらが、よりスピードの速い球を打ち返せるか競って息絶え絶えになっていた。
俺たちが止めに入らなかったらどうなっていたことか?
あ・・あっぶねーー。
勝利は、荷物であふれているだろう母親の元に、荷物もちを献上すると、変わりに着せ替え人形よろしく
、
色々服を着せられてぐったりしている、コンラートとヨザックを回収した。
うわ、こっちも危なかった〜。一緒にいたら、もれなく自分も同じ目にあっていただろう。・・・・・・あ!!。
だからか?だから、勝利は有利をつれて母親から離れたんだろうか?
そんなことを考えていると、勝利はお子様組みをつれて電車で帰るからと、大人組みを帰宅させた。
荷物が多すぎて、車には大人組みだけで精一杯だと判断したのだ。
案の定、車の中はぎゅうぎゅうで、ブレーキを踏んだ時に、後部座席から上履きの箱が飛んできて勝馬の頭に
ぶつかり、危うくハンドルを切り損ねるところだったそうだ。
あ〜〜のらなくってよかった。しみじみと後から感謝した有利たちであった。
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4.17UP 18日、LONGに格納
しょーちゃんしっかり者です。^^
第三幕 ご褒美です。
勝利は、大人組みを見送ると、駅に向かうと思ったら、併設されたホテルのレストランへと有利たちを
つれてきた。俺達が不思議そうにすると、少し休憩だと座らせてくれた。
正直、コンラートもヨザックも着せ替え人形のように、美子ママにあれこれと服を着せられてへとへとだし、
有利も色々歩いたせいで疲れていた。
しばらくすると、温かなフレンチトーストに冷たいアイスやフルーツがたくさん乗ったプレートが運ばれてきた。
そういえば、前に地元テレビで人気の店の特別メニュー特集とやらで、これが食べたいといったことがある。
前もって予約が必要だが、出るときにでも電話を入れといてくれたんだろう。だから、有利もつれてきたのか?
「覚えていてくれたんだ。」
いいから食えと、三人を促しながら、自分は一人コーヒーを飲んでいる。かっこつけだな〜。
よく見ると、三人とも少しずつ違う。コンラートのは、フルーツたっぷりでピスタチオソースがかかったさっぱり系だし、
ヨザックのは、コンポートが中心となったちょっとお酒の入った(アルコールはもちろん飛んでいる)大人系だし、
有利のは、アイスやチョコソースのかかった、ナッツたっぷり香ばしく甘めの物だ。
どうやら、三人の好みまで把握して予約を入れておいてくれたらしい兄・・・・。
三人は、目を合わせてくすくすわらった。
「「「いただきま〜す。」」」
外はパリッと中はふんわ〜〜〜り、某CMのような感想だが、これは本当においしい!甘いものが苦手な
コンラートもおいしそうにほおばっている。皆で一口づつ交換っこして感想を言いあいっこする。
「坊ちゃんの甘いですね。・・でもバニラアイスとナッツがいい感じ〜。」
「コンラッドのは、ソースが上品だね。」
「ヨザのコンポートにかかっているは何が入っているんだ?色からして赤ワインだけど?すっきりオレンジの
味もする?」
「いれてるんじゃないか?オレンジか、リキュールか?」
周りの人に迷惑にならないように、こそこそっと、でも、わいわい楽しくおやつを平らげる3人は、
この頃になると元気も回復し、そのまま帰途に着いた。
チビ3人が、わいわいガヤガヤ帰るのを、勝利は後ろから眺めながら歩いた。
ヨザックが有利にふざけて腕に両手を絡ませて腕を組むと、コンラートがムキになって二人をはがしにいく。
すると、今度はコンラートと腕を組もうとするのを、必死に避けようとしている。それを、ケラケラ笑ってはやし
立てる有利。そのうち、有利がまずはコンラートををなだめて、次にヨザックをちょっとたしなめてから二人の
手をとると、仲良く手をつないで歩き始めた。
後ろから見ると、背の順にならんでいて、見ていておかしい。
「こぉ〜ら、お前達、ふざけてないで車に注意して歩けよ。」
「「「はーい」」」
返事だけは、三人ともいい子なんだよな・・・・。苦笑しつつも、温かな目が三人を見守る。
やがて家の前に着くと、くるりと三人が振り返った。小さく、せ〜のと掛け声をかけあうと・・。
「「「お兄ちゃん、今日は、どうもありがとうございました!!」」」
一斉に、ぺこりと頭を下げると、三人は恥ずかしいのか?顔を少し赤く染めて、家の中に駆けて入っていった。
「・・・・・・・・・・・・お・・にいちゃん?・・ゆーちゃんまでが・・・ははは・・・・まいった。」
くぅぅ〜〜〜〜〜可愛いじゃねーか?あいつらぁぁぁ!!
今日一日の労働が、いっぺんに報われた気がした勝利でした。
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拍手に4.18UP 4・19 LONGに格納
第4幕 新しいお友達です。
その日、一年三組は、新しいクラスメイトを二人迎えることになった。
かっわいい〜!
うわ、外人さんだ〜!
ねぇねぇ、あの子男の子?
片方は女の子だろう?
え〜二人とも男の子だよ。
わいわいがやがや騒然とする教室に、担任だという40代のどっしりとした女性が、パンパン!と手を叩いて注意を引き付ける。
普通は、一人一人別のクラスになるところだが、事情が事情だ。今回だけは特別という事で、二人まとめて英語が多少
できるという、この女性のクラスになったのだった。
コンラートは、内心ドキドキしていた。なにせ、学校というモノに通うのは、これが初めてだからだ。ボストンに居た時は、家庭
教師がついていたし、この日本に来てからもそうだ。一方ヨザックはというと、そこは施設育ち。人がいっぱい居る所など
別にどうって事は無い。それに、自分には、このコンラートを守るという使命がある!今度ばかりは、坊ちゃんもショーリも居ない
しな・・ここは、俺がちゃんとコイツをガードしてやらなくちゃ。ふん!と鼻息も荒くクラスメイトと対峙するのであった。
「コンラート・ウェラーです。どうぞよろしくおねがいします。」
コンラートがぺこりと頭を下げると。教室にどよめきが・・・うわ〜〜、男の子だ。しょっく、おれ好みだったのに。
何?早くも、コンラッドに変な虫が!今のヤツ、要チェックだ!ヨザックは素早く嘆いている男の子達の顔を脳に叩き込んだ。
ざわめく教室に、コンラートの緊張が高まるのがわかる。まぁ、パーティーなどは、慣れているだろうが、同年代の集まりなんて
初めてなのだから、勝手がわからないのだろう。少し庇うように前へ出ると、うーーん、ここは坊ちゃんには止められていたが、
アレで挨拶してみよう。・・すばやく決断すると、にかっ!とわらって。
「Hi! ヨザック・グリエでぇす。グリエって呼んでね〜。」
パチンと、ウィンク一つ飛ばすと、ヨザックはおどけてみせた。
ざわわわ!!!・・・・うわぁぁ〜〜!!本場のゲイか〜〜?しょっく、変なの来ちゃったよ〜〜。
あれま、ひどいわ〜。コンラッドとグリエとの反応に差が有るじゃない?
いきなり しなを作ってクネるヨザックに 教室が一斉に引いた。まぁ、子供にその芸が判れという方が無理だ。
げいん!突然、ヨザックの脳天に拳骨が一つおみまいされた。
「こら、ヨザック!クラスメイトが引いているじゃないか!その芸はだすなって、ユーリにも言われてただろう!」
・・・・芸?・・・・・ゲイではないの?・・・・どうやら、このコンラートという少年・・・見かけによらず、けっこう・・・。
「みなさん、すいません。うちのヨザックはおかま?さんではなく、ただのお調子者です。根は良いヤツなので、
どうぞ宜しくお願いします。」
再びぺこりと頭を下げるコンラート。どうやら律儀な性格らしい・・・この子、絶対この先、苦労を背負い込むタイプだ。
「なぁ、コンラッド。お前、何気におれの扱いひどくない。」
「すまん、根が正直なんだ。」
にっこり・・・・。笑顔怖いです。坊ちゃんの言いつけを守らなかったんで、お怒りのご様子デスネ。
なんだ、こいつら、お笑いコンビか?
かくして、ヨザックの機転・・・?によって、コンラート達は無事、自己紹介という第一関門を突破したのでした。
そして、2時間目がおわり、中休み・・・・。一年三組の扉を開けたのは?
「コンラッド〜〜ヨザック〜〜!いるか〜?」
3年生の教室から、わざわざ訪ねてきた有利だった。実は有利は、今週クラスの生き物当番で、二人より朝早く学校に
向かったのだ。本当は、一緒に登校したかったが仕方ない。そこで、心配になって様子を見に来たらしい。
「ユーリ!」
「坊ちゃん!」
あれ?三年の渋谷くんだ〜。上級生がわざわざくるなんて?
「ぼっちゃーーん、聞いて下さいよ。コンラッドったら、グリエの頭を殴ったのよ〜〜。」
自分より少し大きめのヨザックがしなを作りながら抱きつくのを、あ〜はいはいと、それを軽く受け流す有利。
「あ、こらヨザック!ユーリが穢れる!」
あわてて、コンラートが二人を引き離す。
「ひっどーい、俺ってば汚れモノ扱い?」
「ヨゴレ 扱い!」
「がーーーんん!!!」
そんな二人をほっといて(←ちょっとひどい)
「チズせんせ〜〜い。」
有利は、教室の教員用の席で、プリントの準備をするこのクラスの担任に元気よく声をかける。
「あら、ゆーちゃん、ひさしぶりね。元気だった?なに?ゆーちゃんは、この二人と知り合いなの?」
実は、この先生は、有利の1・2年生の時の担任で、なんと勝利も同じく教わっているのだ。
「うん、そう、コイツ、コンラッドがおれの親友で。このヨザックがおれの弟分!」
気のいい奴らなんで、どうかよろしくおねがいします。あ、でも、何か有ったら俺に言ってね?にっこり。
あらあら、ゆーちゃんも、すっかりお兄さんね〜?^^
えへへ〜、やだな〜チズせんせいったら〜^^。
ほんわ〜〜とした空気が教室に流れる。あ〜〜、やっぱり渋谷さんって上級生には思えない。かわいいな〜。
いやされる〜。ピク!耳聡くコンラートがその台詞に反応した。まずい!ヨザックは、素早く話題の方向を
かえさせた。グッジョブ!グリエ!
「え〜〜、ぼっちゃん、いつからグリエ、坊ちゃんの弟分に?」
「あ、ごめんごめん、そうだよな・・・妹分だっけ?」
「うん、まぁ、それならいいわ〜。」
「え!いいの??」と有利。
「あら?いけないの?」と、ヨザック。
アホな会話に頭を抱えているのがコンラート。
先ほどまでの、ほんわ〜〜とした空気はどこへやら?有利とヨザックのテンポのよいボケとツッコミに
どう対応していいかわからない、一年三組のお子様達だった。
なんなんだろう・・・やっぱりこの子たち漫才トリオ?
どうやら、今のやり取りで、このクラスでの二人のポジションは、決定してしまったようだ。
コンラートにとっては、あまり嬉しくないポジションだが・・・・。
なにはともあれ、とりあえず、ご入学おめでとうございます。
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4月19日UP 4月20日LONGに格納
もちろん、グリエちゃんがふざけてみせたのは、わざとです。コンラートを早く馴染ませようとする
気遣いですが・・・・・変な方向に向いているので、コンラートにはありがた迷惑ですね^^;
第5幕 可愛いは禁句です。
金曜日の放課後、有利が帰り支度を急いでいた。今日も、コンラートとヨザックが泊まりに来るので、
一緒に帰る約束をしていたのだ。一年生の方が1時間早くおわるので、図書館で待ってもらっている。
すると、級友が話しかけてきた。
「しっぶや〜、知ってるか?この前、一年に可愛い子が入ったんだって♪」
ピタリ・・とランドセルに教科書をつめる手が止まる。
・・・・・・・・・・・・・・なんだろう?嫌な予感がする。
「あ〜〜!おれも見た!外人の女の子だろう?」
・・・・・・・・・・・・・・あははは、ほぼ決まりだな。
「目がさ〜、きらきら〜〜って光って、可愛いよな?茶髪が日にすけてきれいだったな〜。」
ほんわ〜〜と夢見るような友人に・・・・アレは男だと・・・言い辛い有利だった。
「そういえば、もう一人、外人の子いたな。」
「オレンジがかった金髪に青い目の!・・・・アレか!」
・・・・・・・・・あれ???アレってヨザック?のことだろうか?ヨザも可愛いけどな〜?
「いつも、あの子の側でナイト気取りでいるヤツだろう?おかげで、話しかけれやしない!」
・・・・・・・・・・・お前、ナンパしようとしていたのか?
これは、早めに真実を教えてやったほうがいいだろうか?さもなくば、友人は男をナンパした変態の烙印が
押されてしまう。よし!夢やぶれるのは、かわいそうだが、変態の烙印はもっとかわいそうだしな・・うんうん。
「な〜〜あれ?、例のカワイ子ちゃんじゃね〜?」
「え?何で3年の教室へ?階が違うだろう。」
一人が教室のドアからの廊下をを指すので見てみると、やはりというかよく見知った人物達が
数名の男子に囲まれていた。
「あれ、あいつら隣のクラスのやつだ。まずいな・・・・あまりガラの良くない連中だ。」
「だから、お前じゃなく、その子に用が有るんだよ!」
「俺達には、用なんてない!さっさと、通してくれ!いくぞ!」
語気も荒く、ヨザックがコンラートの腕を引っ張って、通り抜けようとするのを一人が無理やり
コンラートの手を掴んだ。
「っ!」
小さく彼の悲鳴が聞こえると、有利は弾かれたように飛び出していた。
「コンラッドを放せ。」
そう言うが早いか、コンラートの腕をつかんでいた男子の手を払いのける。
「いって〜〜ああ?なんだ? 3組の渋谷有利じゃねーか?」
「じゃぁ、原宿は不利なのかよぉ。」
「その台詞は、推定3万回は聞いている・・・生まれてからだが。」
少しげっそりと、有利は聞き飽きた台詞に、定番お返しをする。
「なんだ、可愛い女の子の前でいい格好をつけようって言うのか?」
「・・・・・・・・・・・・おまえら、恥かきたくなければよ〜〜くみろ。」
といって、コンラートのランドセルを指す。コンラートのランドセルは、洒落た黒のランドセルだ。
くろの・・・・・。いや、今は どんな色のランドセルを選んでもいい時代だが、やはり黒といえば
男の子の定番色・・・。おとこ・・・。
「「「「「男〜〜???」」」」
「「「えぇぇぇぇえぇぇぇ??」」」
囲んでいた男子はもちろん、様子を見ていた他の生徒からも一斉に驚愕の声が上がった。
中に・・・・ああ、おれの理想だったのいに〜〜とかいう声が混ざってりる。きっと有利の友人のものだろう。
早く立ち直って欲しいものである。・・うんうん。
「もういいだろう、いくぞ、コンラッド・ヨザック!」
誤解も解けたろうし、早く帰ろうと有利は二人をつれて教室に戻ろうとする。
「まてよ!このままで済むと思うのか?」
「そ・・そうだ、よくも恥かかせたな!」
・・・・・・・・・いや、勝手にあんたらが恥かいていただけだし・・・。
「けっ!そっちのオレンジはオカマだっていうじゃねーか!なんだ?ソイツもユーリちゃんもカマですか〜?」
「そうそう、おまえら、そのへんの女子達よりもすっげー可愛い顔してるもんな〜!」
「げへへへ」
別にヨザのは芸だし・・カマじゃねーよ。そもそも、オカマさんだって悪くない。立派な人は沢山
いるだろう?職業(?)選択は自由だ。有利は、心底あきれた。
が!自分達の言ったことがそんなに面白いのか?下品に笑う連中に、一人・キレた・・それも、コンラートが。
『この下衆どもが・・・・・今ユーリを馬鹿にしたな・・・・。』
だが、口から漏れた言葉は、英語でしかもネイティブな発音だったので、誰も意味がわからなかった・・・
不幸なヨザックを除いて。
にーーこり。
それはもう、可愛らしくコンラートは笑った。途端に、卑下た笑いをしていた男子達の顔が真っ赤になり
口はパクパクしている。
「どうやら、あなた方の目は節穴というやつですね。こんなに・・・」
コンラートは近くに居た女子の手を、スッとした優雅な動作でとると、恭しく口付けた。
「美しい女性ばかりなのに、その良さがわからないなんてね?」
にこっと周りの女子に微笑みかけると、きゃーーーーーーぁぁぁという歓声が上がった。
コンラートに手を取られている女子など、全身真っ赤だ。
「そうそう、あんたら目が悪いぜ、日本の女の子は本当にキュートだぜ。思わずかったっぱしからデートに
お誘いしたいくらい。」
ヨザックも綺麗にウィンクをきめて、女性陣を褒めた。
とても、小学生の・・それも一年生の台詞とは思えない・・・。おそるべし!アメリカ人!と、
周りの男子は思ったとか思わないとか。
「けっ、こんなブスのどこがいいんだ。お前らこそ、目が腐ってるんじゃ?」
「あぁ〜?なんですって〜〜〜???」
周りの空気に、焦ったのか?コンラート達に絡んでいた男子が、憎まれ口を叩いたが・・・それがいけなかった。
女性は、たとえ、お世辞とわかっていても、褒められばうれしいし、それが年下とはいえ。見目かわいらしい
男子から、掛け値なしに賞賛されたら、気分がいいものだ。その気分を『ブス』などと、いわば禁句で壊したの
だから、女子の怒りに火がついた。
「あんたらこそ、何勝手にあの子の性別間違えたくせに、逆切れしてんのよ!」
「だいたい、人様のこといえるような顔なのかよ!」
「一回、鏡見てから出直せやごらぁぁ!!」
「下衆がいきがってるんじゃないわよ!」
「掃除もサボって、あたし達に押し付けているくせに、えらそうに何よ!」
そーよ!なにさま〜のつもりよ?などと、廊下にブーイングの嵐が巻き起こる。
どうやら、色々言いたいことが有ったらしい。
「「「「ひぃぃぃ」」」」」
お・・おぼえてろーーーーー!どこぞの、負け犬のような捨て台詞をのこして、男子たちは逃げて行った。
明日から、彼らの学校生活は、苦渋に満ちるだろう。まぁ、自業自得だ。
「ユーリ?帰りの支度は終わりましたか?一緒に帰れます?」
「あぁ、ごめん、もしかして待たせすぎちゃった?」
「いいえ、早く会いたかったので迎えに来ただけです。ご迷惑でしたか?」
「そんなことないよ!俺も会えてうれしいし!」
「ユーリ。」
なんだろう、この二人の会話・・・・まるで恋人同士の待ち合わせみたいな???しかも、見た目は先ほどの
男子の言ではないが、可愛い女の子しかみえない二人が、手を取り合っているのだ。百合とも薔薇ともとれる
二人に、男子は居た堪れなくなり、女子はランランと瞳を輝かせた。
「ぼっちゃーーん、これ坊ちゃんのかばんでしょう?あと、体操着の袋と給食の袋も持ちましたぜ!これでOK?」
「あーー、ごめんごめん、有難うヨザック!やっぱ、グリエちゃんは気が利くな〜きっと、いい嫁さんになるよ。」
「あら、坊ちゃんが貰ってくれるの?」
「あははは、考えておきます。」
「ゆ、ゆーり!?」
渋谷・・・まさか、お前コイツらと三角関係なのか?
そろそろ、帰ろうぜ!と有利は二人を促すと、じゃぁ!皆またな〜と挨拶して帰っていった。
その後を、では、皆さん、お先に失礼致します。とぺこりと頭を下げてコンラートが続き、
チャーミングなおねーさん達またね〜〜。とヨザックが手を振りながらかけていった。
なんとも、ピンクと青が混ざってえもいわれぬ紫?になったような不穏な空気をのこして。
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4月20日UP 4月21日LONGに格納
あ〜〜い〜〜う〜〜〜?今日は長かった。コンと有利のいちゃつくと長くなるな〜
第6幕 衝突
「なに!うちの可愛いユーちゃんが襲われた??ええぃ、どこの男だ!!」
・・・・・・男限定かよ。たしかに、男だったけどさ〜。あーあ、最近見直していたのに。
やっぱ、勝利は勝利だ・・・もうお兄ちゃんなんて呼んでやらねー。
「ちがいます、最初に絡まれたのは俺で、有利は助けようとしてくれたんです!」
「まぁ!ゆーちゃん、コンちゃんを守ろうとしただなんて!まるで騎士みたいね。さすが、うちの自慢の息子ね!」
「でも、結局は、コンラッドの機転とヨザックの援護のおかげで何も無かっただけだよ。俺は別に。」
「何言ってるんですか?坊ちゃん、坊ちゃんが止めに入ってくれたから、脱出できたんですよ?」
なにせ、坊ちゃんが来なかったら、コンラートがキレるなんて事にならないし・・・。アイツ、自分の事だと
我慢しちまうからな〜。
「なんだ、コンラッドにヨザック?イジメか?だったら言えよ。早期発見と解決がイジメの基本だからな。」
あ・・・いえ・・その・・・・と、コンラートの歯切れは悪い。
「え〜〜と、ちがうんだよ。その逆。コンラッドさ、女の子と間違われちゃって、ナンパされたんだよ。」
実際、俺のクラスにもコンラッドを勘違いして、ナンパしようとしていたヤツいるし。
「ヨザックが睨みを効かしてくれるから、遠めに見てる奴が多いらしいんだ。今日の騒ぎでコンラッドが
男だってわかっただろうし、もう絡まれないとは思うけど・・・来週からは朝は一緒に登校できるし、
ヨザックと二人でガードするな!」
「えらいわ!ゆーちゃん、それでこそ男の中の男よ!ヨザちゃんも、コンちゃんを守ってくれていたのね。
えらいわ〜。」
ありがと、と美子ママにぎゅっと抱きしめられて、ヨザックが わたわたしている。
「え・・ちょっと、ジェニファーママくるし〜〜。」
とおもいきや、力が強すぎて苦しかったらしい。抱きしめたというより、絞められちゃったのね・・・。
「おれ、女の子とおもわれてたんですか・・・。」
しょぼ〜〜んとコンラートがうつむく。
「気にするなってコンラッド!確かにコンラッドは、ちっちゃいし可愛いし女の子に見えるけど、
ちゃんと男なんだし 誤解だってすぐ解けるさ!それまで俺が ちゃんと守るから 安心しろよな!」
ー え!?小さくて可愛い・・・女の子!?
思いもよらない有利からの言葉に、コンラートは目を見張る。そんなことに気づかない有利は上機嫌で、
まかせとけ!といって、コンラートの肩を叩こうとするのを、体が勝手にするりとよけた。
「こんらっど?」
どうしたんだ?と、有利は、顔を覗き込もうとするが
「ユーリの・・・」
きっと睨み返されてびっくりする。
「ユーリのばかぁ!」
コンラートは、そのまま走って階段を上っていってしまった。ばたーーん!と力任せにドアを閉めた音がする。
2階の空き部屋にでも、こもったのだろうか
?
あっけに取られる有利。コンラートがあんな風に有利に怒りをぶつけるなんて初めてだ。
「ゆーちゃん、今のはゆーちゃんが悪い。」
軽く弟の頭をはたくと、俺、様子を見てくるわといって、勝利が2階へ昇っていった。
「おれがわるいのか?だって、コンラッドは小さいんだし、俺が守らなきゃ・・。」
有利は、手を振り払われたショックにただ呆然としていた。
「ぼっちゃん。」
ヨザックには原因はわかる。女の子と間違えられてナンパされました。なんて、事実だけでもショック
だったろうに、追い討ちをかけるように、想いを寄せる相手に、ちっちゃくって可愛くって女の子みたいだ
なんて言われたのだ。しかも、守ってやるとまで・・・。コンラートの男としてのプライドはガタガタ
だろうし、ショックは計り知れないのだが・・・有利にそれを言うわけにはいかない。
「どうしたもんかな〜?」
結局、かける言葉が見つからず、美子ママをふりかえる。どうやら、美子も原因が解ったらしいのだが、
どう説明したらいいかと、頭を悩ましているようだった。こういうことは長男に任せるか・・・うん、
うちの長男は口が達者だし、そうしましょう!
にっこり笑う美子ママに、何か名案でも?と思ったヨザックは甘かった。
「ヨザちゃん、二人の事はショーちゃんにまかせて、おいしいご飯の準備をしましょう。」
「え!ジェニファーママ???」
「うふ、腹が減っては、戦は出来ないのよ。」
は?それはどういうことです?と、慌てるヨザックをいいからいいからと、美子ママはキッチンに
連れていてしまった。
後には、未だ呆然としている有利だけが残されたのだった。
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4月21日UP 4月22日LONGに格納
ばかぁ〜〜って・・・・・どこぞのバカップル?あははは。コンが、乙女だぁぁ。
6幕は長くなり3つに分割。ごめんなさい、6〜9はこんな感じで続きます。Orz
第7幕 彼という存在
コンコンと一応ドアをノックする。返事はない。そーとドアのノブを回してみるが、鍵が中から
かけられているようだ。
「コンラッド?いるんだろ?・・・でてこなくていいから、せめて返事をしなさい。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
中から、気配はある。やれやれ、どうしたものかと思いつつ、少しして頭が冷えるまで待ったほうが
良いかと、階下に一旦戻ることにした。トントンと階段を下ってくる音に、有利がはっとして顔を上げる。
それを一瞥すると、勝利はキッチンへと向かった。
「おふくろ。」
「あら?しょーちゃん。コンちゃんの様子はどう?」
ジャガイモをむきつつ、美子がふりかえった。その隣では、ヨザックが心配そうにこちらを伺っていた。
「思ったとおり、空き部屋に、こもって返事もしない・・しばらくすれば頭も冷えるだろう。
そうしたら話をするさ。」
大丈夫だからと、ヨザックの頭を撫でてやった。
「ところで、有利のほうは?」
ちらっと、リビングを振り返る。有利は相変わらずショックが抜けてないようで、ソファーに座ったままだ。
「うーーん、原因はわかるけど、それをどうやって、ゆーちゃんに話すかが問題なのよね?しょーちゃん
、口がうまいんだから頼むわね!ママは、おいしいご飯を作るって使命が有るから!」
だから、おねがいねーー!と追い出されてしまった。ふつう、親がこの役目だろう!という反論は聞いてくれない。
だって、それはパパの役目でしょう?パパは今日もお仕事で遅いのよ〜〜。だから、変わりは長男の役目よね!
と、十分口がうまい母親は、、もはや勝利に反論する隙すらくれやしない。
「ゆーちゃん、何が悪かったか解ったか?」
ふるると首を振る弟。頼るように見上げられたら、もう勝利の完敗だ。弟を溺愛している自覚のある勝利は、
損な役回りだが仕方ないのだと、思うしかなかった。
「じゃぁ、ヒント。ゆーちゃん、いつも俺が可愛いって言うと、男にかわいい言うなっていうだろう?
どうしてだ?」
「だって、それは、男なのにそんなこと言われてうれしいわけがないだろう、俺はマッチョめざしてるんだし」
………あっ!
どうやら、思い当たったらしい。
「だって、コンラッドは、俺の二つ下だし・・・俺守ってやらなきゃって・・・。」
ごにょごにょというと、再びうつむいてしまう。そんな弟の頭をなでてやる。
「ゆーちゃんのな?その自分より小さい子を守ろうって言う正義感は、良い事だと思うぞ。」
いつもなら、色々反発してしまう兄だが、声色が優しいためか?はたまた、最近兄を見直してきたせいか?
有利は素直にうなずいた。
コンラートも、そこのところは解ってくれていると思う。それが、有利の美徳でも有るのだから。
ただ、対象が自分となると複雑なんだろう。
「複雑って?」
・・・・・・・・・・・・・しまった。どう、説明しよう!確かに、コンラートもヨザックも既に弟分だし
可愛いが、生まれてから ずーと守ってきた弟が一番であることは変わり無い。その有利に好意を
持ってるとしたら話は別で・・・いや・・うーーん。えっと。
「ゆ・・ゆーちゃんにとって、コンラッドは何かなぁっ?」
ちょっと、慌てて声が裏返ったが・・・そこは突っ込むな弟よ!
「え?えーと、親友だよ。」
幸い、弟は兄の挙動不審振りに、突っ込むことは無かった。
「そう、親友だよな。ゆーちゃん、親友って言うのはなぁ?対等なんだぞぉ!」
「たいとう。」
「そうだ、対等だ。片方が一方的に守るんじゃなくてだな〜、御互い支え合い補合うのが親友だと思わないか!」
自分で言っておいてなんだが、ちょっとわざとらしいかな?ともおもったが、有利がはっとすると
満面の笑みを浮かべ
「わかったよ、俺、まちがっていたんだね!ありがとう、おにーちゃん!」
俺・・コンラッドに謝ってくる!そういうと、ダダダーーと元気に階段を駆け上っていった。
「お・・・・・おにいちゃん。」
じーーーんと幸せに浸る勝利。やっぱり、ゆーちゃんに言われるのが一番うれしいな〜〜。ほんわ〜〜。
「ジェニファーママ・・・さすがショーリ・・口がうまいとおもいますが・・・アレは?」
アレといって、くいくいっと幸せに浸る勝利を指す。
「うちのしょーちゃん、ゆーちゃんのことになると、ちょぉっと、ねじが飛ぶから。おほほほ。」
前から、ブラコンの気が有るとは知ってはいたが、落ち着いたお兄さんだと思っていた。しかし
・・・ああやってだらしない顔をしているのをみると、もしかしてアレが地?もしかして、危ない人??
弟の信頼を深めた後に、弟分のヨザックの信頼は崩れていってるとは思いもしない勝利だった。
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4月22日UP 4月23日LONGに格納
ヨザック・・・そこは気づいちゃいけなかったよ。次から、仲直りに向けてのバカップルです。[壁]ェ)-)o
第8幕 俺を見て
ショックだった。自分が女の子に見られていたことも、ショックだが、何よりユーリに小さく・可愛い・
女の子に見えると 思われているほうがショックだった。しかも、有利の言動から自分は庇護対象だと知って
更なるショックを受けた。
男として見られてないどころか、弟分でもなく、小さな女の子扱いだ。密かに有利に想いを寄せていた
コンラートにとって、これ以上の仕打ちはない。閉じこもった部屋のドアに寄りかかりながら、ズルズルと
床に崩れる。そのまま、膝を抱え、うずくまるように座り込んだ。
ユーリの馬鹿・・・・・。それで、俺の馬鹿。
そう、馬鹿だ。ヨザックの事についても、二人一緒に異国の学校という物に放り込まれて、アイツも
多少心細いからべったりくっついて来るのかと思っていた。実は女の子と間違えられていたコンラッドを
そうやって守ってくれていただなんて、気づきもしなかった。
ヨザはいつもそうだ。ふざけているから解り難いけど、いつもコンラートの事を考えていてくれる。
有利に会う前、自暴自棄になっていた自分、あの時、口やかましくても、側に居続けてくれたのは彼だった。
その時は、兄貴風をふかす奴をうっとおしいと思っていた。
いや、嫉妬していたんだ。父が連れてきたもう一人の息子。自分より気心の知れた仲で話す彼に父まで
取られたと思った。だから、話しかけられても無視したり、怒りに任せて酷い事を言った事もある。
それでも、奴は変わらず自分の側にいてくれる。少し先に生まれたからと、自分はお前よりお兄さんだからなと、
笑って許してくれている。
俺は、そんなヨザに甘えてきたんだ。なのに、一度も礼もいってないし、謝った事も無い・・・。
自分はこんなにも愚かで弱い・・・・・だから、有利も自分を守るというのだろう。
でも、有利・・・俺は貴方にはそう思って欲しくないんです。俺は・・・俺も男なんです。
アナタに頼ってほしい・・・あなたに認めて欲しい・・・あなたをまもりたい。
どうか、おれをみてくさい・・・・・おなじオトコとして・・・・・・・オレヲミテ・・ユーリ。
こんらっどぉぉぉ〜〜!
だだだだーーー!という音と共に、すごい勢いでかけてくるのは?
「ユーリ?」
なんだか、床が揺れている。そのまま、どん!と扉にぶつかった音と共に、寄りかかったままだった
背中に ビイイ〜〜ンと戸が揺れた衝撃が!
「っっって〜〜〜ぇぇぇ」
ドア越しに聞こえる、うめくこの声はっ!
「ユーリ!」
思わず廊下に飛び出すと、廊下におでこを押さえて転がるユーリが!
「てててて〜〜ぇ、うう、しっぱい。走ったら止れなかったぁ〜」
どうやら勢い良く走ってきて、廊下を止れずにそのまま突き当たりの、この部屋のドアにぶつかったらしい。
「ユーリ!ぶつけたんですか?手を離してみせて?」
痛がるのを手をはずさせてみると、真っ赤になっている。少しコブになっているかな?確認しようと
手を伸ばすと痛かったらしい、有利が小さな悲鳴を上げた。これは冷やしたほうが良いかな?
「有利、下に行って氷と水で冷やしましょう。」
「ま・・待ってコンラッド!」
手を引っ張って立たせると、階下に向かおうとする。それを有利が押しとどめ、自分の部屋へと連れ込んだ。
ベットにコンラッドを座らすと、自分もすわる・・何故か正座で。
「コンラッドごめん!」
突然有利が手を突くとがばりと頭を下げた。いわゆる、土下座である。
「ゆ・ゆーり!?」
頭をぶつけたばかりなのに、そんなに勢い良く頭を振ったら・・・案の定、ユーリはくらりと目が回ったのか、
そのまま突っ伏した。
「ユーリしっかりして!」
「ふみゃ〜〜、めがまわるぅぅ」
力なく横たわるのを、覗き込むと大きな漆黒の瞳が自分を捕らえていた。吸い込まれそうだ。そのまま、
体は傾き・・とすっと軽い音を立てて、ユーリの横にころがる。その間も、二人の視線は絡まったままだ。
「あの、ごめんな、コンラッド・・・俺さ・・さっきなんか・・可愛いとか言って・・・男だもんな、
言われても嬉しくないよな。」
「・・・・・・・・・・・・」
ポツリポツリと話し出す有利に、コンラートは視線を絡めたまま、静かに聴く。
「あと、それと・・俺思い違いしてて・・・・しょーちゃんに言われた。コンラッドは弟じゃないだろうって。」
「ええ、俺は弟じゃありません。」
まして、小さな女の子でもない。
コンラートは、そこだけは、しっかりと否定する。この先、また同じように扱われたくなんて無い。
「うん、俺たち親友だもんな・・親友って言うのは対等で、一方的に守るとかじゃなくて・・・。」
「ええ。」
「その、支えあったり・・・おぎないあったりするものだろうって・・・・・だから・・・俺がわるかったよ。ごめん。」
本当にすまないと思っているだろう。有利の目には真摯な光が宿っていた。
その光で、コンラートをまっすぐに射抜く。
あぁ、ほんとうに、この人はきれいだ。
「はい。」
かなわないなと思いつつ、コンラートは、改めてこの魂に惹かれていく自分を感じた。
すると、有利がちょっと真っ赤になって、はにかんだように笑った。
えへへへ・・・これで仲直りだな。
それが、反則なまでに可愛かったので、つい・・・そう、ちょっとだけ悪戯心が芽生えたのだ。
だから、ちょっと困らせたくて、こんなことを言ってみた。
どうしましょうか? と。
途端に、有利がぽかんとした顔をした。ほら、あなたの方がこんなに可愛いのに、人を女の子扱いした罰は
しても良いだろうか?そう、少しくらいのお仕置きはして置こう。もうちょっとだけ、困らしたら
許してあげようかな?
一方、有利はというと、コンラートが仲直りしてくれないので困惑していた。てっきり、ハイって言って
くれると思ったら、何か意地悪な答えが返ってきた。もしかして、怒っている?と思ってじーーとみると、
にっこり微笑まれた。
うわー、コンラッドの顔ってやっぱり綺麗だな。なんてことを、頭の片隅で思っていたので次の台詞
を聞きそびれたような?
いや・・・脳がスルーしたのか?だって、ありえないだろう?
コンラッドが、俺にキスしてくれなんて いうわけがないんだーーーーー!!!
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4月23日UP 4月24日LONGに格納
小悪魔光臨・・・・あれ?黒いですね?チビちゃんが黒い。すまない、有利!
第9章 キスしてください。
有利から仲直りのキスしてくれたら、許してあげるよ。
綺麗な顔で、綺麗な声で言った言葉は、悪魔のささやきか?ってくらい、俺には衝撃的デシタ・・・・。
アリエネー、よりによってコンラッドから、キキキ・・キスをせがまれるなんて。
可愛い女の子からだって言われたことないのに、初めて言われた相手がコンラッドだなんて、
うう〜〜俺はどうしたら??
コンラッドは、じーと俺からの返事を待っている。やっぱ、間近でみても、コンラッドは綺麗だ。
白磁の肌に薄茶に銀の虹彩の瞳、女の子だったら、お嫁さんに欲しいくらいだ!って何度も思ったしって・・・
イヤ!ちがうだろう。コンラッドは親友だってば!
でも、その親友にキスをせがまれてるんだよな・・・?うん?まてよ、・・・もしかしてこれは、からかわれて
いるのではないか?そうだ、きっと!だって、男にキスなんてされても、コンラッドだって気持ちわるいだろうし!
かわいいな〜〜、あんなに焦っちゃって♪目の前でくるくる変わる有利をじっくり堪能するコンラート。
何を考えているのか?色々と葛藤が有るらしく、うなったり、赤くなったり、はたまた首を振ったりと
百面相をする有利は見ていて飽きない。
そろそろ許してあげようか・・・でも、こんな可愛い顔をさせているのが自分で、それを至近距離で
独り占めっていうのは、中々無いかもしれない・・・だったら、もうちょっとだけ楽しんだって良いだろう。
コンラートは、もう少しだけ今の状況を楽しみたくて、もう少し意地悪をしてみた。
「ユーリ、もしかして、俺と仲直りしたくない?」
うるっとした目でいわれ、うっ!と有利は詰まった。・・・・仲直りはしたいに決まっている・・・。
「いや、そんなことないって!仲直りはしたいわけで・・・でも、俺は日本人で!はずかしいわけデシテ!そのっ!」
うわ〜ん!どうしたらいいんだぁぁぁーー?
真っ赤になった有利は一段と愛らしい・・・だから、ついつい俺も追い詰めたくなった。
「ユーリは、俺のこと嫌い?」
少し視線をはずして、云ってみた。すぐ否定してくれると思ったら、有利は黙ったままなのであれっ?と
おもって顔を上げたら、真っ赤になって泣きそうになっている有利。しまった、やりすぎた!謝らなくては!
「すみません、ユー・・んっ・・!!」
謝ろうと開いた唇に押し当てられたのは、有利の唇で・・・一瞬信じられなかった。
目の前には、真っ赤になって目をキツクつぶった想い人。やがて、ゆっくり離れていって。
「こ・・・・れで、いいんだな・・・。」
ぶっきらぼうに言った有利は、かわいそうなくらい真っ赤だった。しかも、泣きそうな顔で怒っていた。
やはり、やりすぎたようだ。あぁ、折角仲直りするところだったのに、今度は俺が怒らせてしまった。
謝っても許してくれかかったら、今度こそ俺はどうしたらいいのだろう?
「だから、もう言うなよ。おれが・・・コンラッドの事、嫌いになるわけないだろっ!」
だって、ずっと一緒だって約束しただろう。
・・・あっ?・・・おこっていたのは、その言葉?俺が、困らしたからじゃなく?
「コンラッド返事は?これで仲直りなんだよな?俺たち、またいっしょだよな?」
「は・・い、はいユーリ。ずっといっしょです。」
ずっとずーーとそばにいます。そういうと、有利は良かった〜〜といって、泣き笑いした。その顔は、
ぐしゃぐしゃで、うわ、俺って鼻水まで出している!といって、慌てて拭いていたけど、コンラートにとっては、
とてもきれいで、彼は生涯この時の有利の笑顔を胸に抱いていくことになる。
そう、長い年月・・・ずーーとその胸の一番奥の大事なその場所で、彼の笑顔はコンラートを支え続けたのだった。
----------------その後の会話文。---------------------
でも、うれしいな、ユーリのファーストキスの相手は俺ですよね?
は・・・?
ちがうんですか?
・・・・いや、おれ・・はじめてだけど・・・・・・・。
よかった、ちなみに、俺も初めてです。おれ、ユーリに奪われちゃいましたねY
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ユーリ?
ふぁーすときす?
はい、そうですよ。
ぎ・・
ぎ?
ぎゃぁぁぁぁ!俺のファーストキスが!相手が男なんて!そそそんな〜〜!
何言ってるんですか?ユーリがしたほうでしょう。俺のまで奪って。
だって、あれは、コンラッドがしろって!
だって、いつも俺からしてるから、たまにはユーリにして欲しかったんですもん(*vv) ポッ
ですもんって、かわいい・・・・じゃなくって!え?いつも、俺にしてるの?
いつもしてるじゃないですか?寝る前とか、朝起きた時とか。
だって、あれは、おはようのちゅーとかは、あいさつだろ?
そうですよ?
・・・あれ?
ユーリ、キスって唇にすることじゃないですよ。
は?
ほっぺにちゅーでよかったんです。
ひ?
それを、ユーリが唇に。
ふ?
それも、俺のファーストキスまで奪って。
へ?
有利のエッチY
ほ!(ぴきーーん!)
あれ?ユーリどうしました?ユーリ?・・・・。また固まっちゃいました?じゃぁ、アレいこうかな?
ちゅーーーーーーーーーーーーー♪♥Y
んん!コンラッドなにを!
お返しです。奪われた唇は返してもらわないと、ね♪
うわーーーん、セカンドキスまで男とだなんて!
(ほんとうは、これはサードキスで、全部相手は俺なんですけど)
最初の晩に既に奪っていたことはコンラートだけのナイショだ♥
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4月24日UP
すまない・・・私は結局、コンラッドが幸せならいいんだ!
よくあるパターンの会話文ですが、おまけとして付けときました。
ああ、有利のコンの第一印象は、天使だったのに・・今じゃ小悪魔だろうな・・・。
可愛い子悪魔?こ・・・あ・くまだ!(▼へ▼)σ‥---・ Σ('(ェ)';Σあっ!猟友会だ
・・・・脳内がおかしい・・ごまかしてもだめね・・。
第10章 学校に行こう
コンコン パカッ ジュワワワワ。フライパンに卵を割って入れると、蓋をする。弱火にしてから火から離れ、
冷蔵庫からオレンジジュースと、昨日のうちに作っておいたポテトサラダを取り出す。
サラダに、トマトやレタスを付け加えて、よし完成!中々手際よく朝食を準備するのは、この部屋の主。
ダンヒーリー・ウェラー。男くさいワイルドで精悍な姿に似合わず、料理など家事全般をソツなくこなす
意外な特技の持ち主だ。
会社社長なんて肩書きのせいで、夜遅くまで仕事に追われ、可愛い息子達と触れ合う時間もままならないが、
こうして朝食だけは、自ら作って学校に送り出す事を日課と課している。
息子達も、この時間を楽しみにしてくれているらしく、ウェラー家の朝は、この家で一番活気がある。
本日の朝のメニュー。トースト・ベーコンエッグ・フレッシュ野菜とポテトのサラダ・オレンジジュースっと。
さて、チビすけ共は、支度が終わったかな?
「おはよう、ダンぱぱ〜。おー、今日の朝飯もうまそう〜♪」
匂いに釣られたように、息子その一、ヨザックがランドセルを持ってでてきた。
「おはよう、丁度できたところだ。コンラートはどうした?」
ああ、あいつね・・・・ぷっ!くくく・・・。
何が面白いのか、キシシシとひどく面白そうにわらうと、面白いから部屋を見てきなよ〜といわれた。
確かに、いつもなら身支度をピシッときめて、朝から爽やかな我が子が、今日は中々出てこない。
「おはようコンラート。どうした、寝坊したか?」
部屋を訪ねてみると、珍しいことにまだ、パジャマ姿で何やら洋服とにらめっこをしている。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何しているんだ?コンラート?」
「あ、ちちうぇ〜〜〜〜。」
心底困ったというような、情けない様子でトテトテ〜〜と父親に抱きつく。うむ、うちの子は可愛いなーー、
ではなく! こんな年相応な様子で抱きついてくるなんて、一体どうしたというのだ?
「どうした?何かあったのか?」
なるべく優しく声をかけると、おずおずっとした様子で、服が・・という。
服??そういえば、何でこんなに洋服が散らばっているんだ?
「どの服を着ていくかが、決まりません。」
「・・・・・・ん?」
服なら、何を着てもいいだろう?行くのは学校だろう???そこへ、軽い足音がしてヨザックが入ってきた。
「コンラッド〜、まだやってたのかよ。朝食がさめるぞ。ほら、ダンパパも。とりあえず、かばん持って
先に飯!着替えは後!」
日本の朝は戦場なのよ〜〜っと、多分、渋谷ジェニファー美子にでも、吹き込まれたのだろう。ヨザックが、
意味が判るような 解らない様な事をいいながら、コンラートを引っ張っていった。
「コンラート、今日は何かあるのか?」
そう聞くと、トーストをかじりながら、俯いてしまった。うむ、かわいいんだが、パパに話してくれないのかな?
「今日から、坊っちゃんが迎えに来てくれるんだよな〜?コンラッド。」
こくりと、うなずく。今日のこの子は一段と可愛い。こっそり写真にとってボストンのこの子の母親に
送ってやりたい!ふっ!きっと、生(LIVE)で見れなかったことを、泣いて悔しがるにちがいない!・・・っと、
話がそれた。つまりあれだ、初めてのデート(?)で着ていく洋服に困るってパターンだな・・・。
微笑ましいが本人は真剣なんだろう。
そういえば、金曜日に、有利に、『小さなかわいい女の子』にみえると、言われて初けんかをしたと
いっていたな。
「コンラート、洋服もいいが、きちんとご飯を食べるのも大事だぞ、有利もいっていただろう。
朝食は一日の基本だと。」
有利の一言に、コンラートが反応する。本当に、この子は一途な子だ。
これで、有利が女の子だったら即!嫁に貰うのに。
男の子でもいいんだが・・・。たぶん、勝馬と勝利がくれないだろう。
美子さんに頼んだら、くれるかもしれないな・・・ダンヒーリーは、渋谷家の陰の実力者にターゲットを
絞ることにした。 息子のためなら 相手の性別も気にしない父親。ある意味、この子にしてこの親あり?
逆か?ともかく、コンラートにとってこの親を持ったことは、幸いだったかもしれない。
コレが友人で、有利の父である勝馬にとっては最大の不幸かもしれないが。
「それとな、コンラート。服はいつもの格好でいい。美子さんが選んでくれた服なら、今のお前の可愛さを
十分引き出してくれるだろう。」
「父上!おれは、かわいいなんて嫌です!!」
わっははは!甘いなコンラート・・・。
よく考えてみろ、相手はあの有利だぞ。かっこいい男子に迫られても、気づきもしない鈍っ子だ。
オッサンオッサン、普通男が男に迫られてるなんて思わないでしょ・・・。
現にあんたの息子も、男共のアツイ視線の意味をわかってネーし。
ヨザックは、話の方向が怪しくなってきたのを、胡乱気な目でながめた・・。
「その点、お前は有利の親友という、ベストポジションを獲得している。多少、可愛いと思われたって、
その位置にいる限り、いつでも恋人の位置を狙える範囲だ。だからだ・・息子よ。」
可愛いと思われている事を、逆手に取れ!
「逆手ですか?」
いつになく真剣な父と子の会話に、あほらしくなって、ヨザックは食べるほうに専念することにした。
あ〜〜、ポテトおかわりしちゃおうかな〜?・・・どうやら、親子の暴走は、止めてくれる相手を失ったらしい。
なので、馬鹿馬鹿しくも、真剣な父と息子の会話はエスカレートしてきた。
「なまじ、カッコイイと思われて、意識され警戒されるより、可愛いと思われ無防備な有利がお前の前にいる方が
何かと都合がいいだろう。いいか、コンラート。数年もしない内に、お前は男前になる!これは断言してやれる!」
まぁ、そうだろう、ダンヒーリーによく似ているというコンラート。母親もかなりの美女だというし、二人の
遺伝子から言って 美形に育つこと間違いなし、現に 既にその片鱗が 幼さの中に見え隠れしている。
「ほんとうですか?父上!俺、有利に可愛いって思われなくなります?」
キッラッキラ光り輝く目で、期待を込めてコンラートは父親に迫った。よほど、可愛いがショックだったんだろうな。
でも、その性格のうちは、有利に可愛いって言われるだろう。だが、そんな事はもちろん言わない。
「はっはっは!きっと、カッコイイといわれて、熱いまなざしで見てもらえるようになるぞ!」
いや、それはどうかな?カッコイイっていわれて、嫉妬のほうの熱いまなざしで見られるかもな・・・。
ヨザック、心の中でツッコミ。ちなみに、この予想は当たる。
コンラートは、有利にぶーぶー文句を言われる羽目になるのだ。
「だから、コンラート。可愛いと思われているうちに、どんどん深い接触を持つんだ。」
「と、いいますと?」
「触れるだけ触っとけ!有利に、お前が触ることを受け入れさせるんだ!そして、時期を見てベットに押し倒せ!」
おい、おっさん何いってるんだーーー!相手は、まだ7歳の子供だぞ!(←お前もだヨザック)
「ベット?押し倒すですか?俺、もう押し倒されましたよ?」
なにっ!?
ぼぼぼぼ・・ぼちゃーーん、あんた7つの子供に何してるんですかーー!?
「それから、一緒にベットで手をつないで寝ました!」
うれしそうに報告するコンラート・・・何だ焦った。ただ寝ただけかよ。そうだよな、相手はあの坊ちゃん
だもんな。あっちだって、まだ9歳だし・・・7歳と9歳でそんなイカガワシイコトに発展しないか・・・。
「我が息子ながらはピュアだな・・・・ヨザック・・お前、意味わかったな・・・・・このおませさんめ!」
にかっ!と唇にだけ悪い大人の笑みを乗せてダンヒーリーが笑う。へーへー、どうせおれは、ヨゴレですよ。
「まぁ、大人の付き合いは追々教えてやる。今は、KISSでも目指してがんばれ。」
「父上、KISSも済ませましたよ。」
きらきら〜〜とした目で、これまた報告する。
そういえば、コイツ、坊ちゃんに朝起きたときとか、ほっぺにちゅーーってやってたな・・可愛いものだ。
ダンヒーリーも思い当ったのだろう。苦笑すると、それも追々などといっている。本当に追々教えて
しまうんだろうなこの親父。
「コンラッドいい加減、着替えたほうが良くないか?坊ちゃんがそろそろ来るぞ。」
「あ!」
慌てて残りの朝食を食べると、ジュースで流し込んで、皿をキッチンに運ぶ。そのまま部屋に駆け込んでいった。
まさか、本当にサードキスまで済ましてしまった仲だとは思わず、どこまで教えていいものかと考えつつ、
ダンヒーリーは、片付けを始めた。
ピンポーーーン
噂をすれば影だ。どうやら、有利がきたらしい。
がちゃりとドアが開くと、やはり有利がランドセルを背負って待っていた。
「ダンさん、おはよう〜!」
朝からまぶしいような、全開の笑顔だ。あぁ、この子は変わらないで欲しいかも・・。
「おはよう有利。今日から、家の息子達をよろしく頼む。」
「まっかせて!」
おお、頼む!そんな受け答えをしながら、頭をぐりぐりなでると、ぎゃーー頭がボサボサになると抗議された。
朝から、元気ないい子だ。
そこへ、バタバタと息子たちが玄関に向かってくる。
「コンラッド〜ヨザック〜!ほら、学校に行くぞ!」
有利が、ブンブンと手を振ると、ぱぁっ!と、コンラートの顔が輝いた。くくくくっ、いい笑顔だ。
「はーい!じゃぁ、父上行って参ります!」
「ダンパパいってくるわね〜!」
「ダンさんいってきまーす!」
「おう!行って来い!チビすけども!」
さぁ、今日も学校に行こう!
FIN
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4月25日UP 4月26日LONGに格納
拍手にて短期集中連載しておりました。学校へ行こうは、これにて終了しました。
10日間お付き合い下さって有難うございます!