読む前に注意。 こちらは、今日からマ王とコードギアスのW現代パロとなっています。 え〜Wパロなんて論外!というかたは、回れ右してブラウザバックしてください。 設定は、年下の彼です。チビーズにコードギアスから枢木スザク・ルルーシュ・ナナリーのヴィ兄妹 が参加しています。相変わらずの捏造ビシバシ!入りまくりの小説です。 では、どうでもバッチコーーイ!という方のみ、進んでくださいね〜。 年下の彼・特別番外編 ヴァレンタインチョコは、ビターORスウィート? ウェラー君、来週アレ持ってくるから、受け取ってね? 帰り際に、一年生の教室から出ようとしたコンラートに、一人の女子が話しかけてきた。 アレ?? そして、有利を迎えに3年生の階にいくと、やはり あ、コンラート君、来週アレよね?持ってくるから、楽しみにしていてねv と、有利のクラスの女子にも言われた。なんなのだろう?? 「あー、それはきっと、バレンタインチョコだよ。」 次の日、1年3組の教室で、友人にそのことを話すと、そう教えてくれた。 「St. Valentine's Day??」 「うわー、発音が違う〜って、そうじゃなくって、なんだ?コンラッド知らないのか?」 「St. Valentine's Dayは、しっているよ。毎年花束を母上に贈っていたから。」 「花束?」 「あぁ、そういえば俺 聞いたことがある、バレンタインにチョコレートを贈って、好きな人に告白 したりするのは、日本だけなんだって〜。」 「チョコを贈って!告白するのか!?」 コンラートは驚いた!所変わればそんな風習があるだなんて!? ― そ…そんなイベントが、あったなんて!だったら、ユーリにチョコを贈らなくちゃ!! 「うん、ほかに、義理チョコや友チョコなんていうのもあるけどな…まぁ、ほとんどが義理だな。」 「義理でもいいよ…もらえれば…。もてない男子には、酷なイベントだよな。」 いささか、覇気がなくなる友人達。だが、コンラートの耳は、そんな補足説明は入ってきていない。 その小さな頭の中は、『好きな人に、チョコを贈る』ということだけが、ぐるぐると渦巻いていた。 おもえば、ここできっちり聞いておけば良かったのだ。よもや、この後、それを後悔する事になるとは この時のコンラートは、思ってもいなったのである。 とにかく、彼の頭の中は、大好きな年上の少年に、何が何でもチョコレートを贈るという、もはや使命 と言っても良い思いに囚われていたのだ。そして、コンラッドがボソリといった言葉が、新たな展開を 呼び込んだのだった。 「そうか〜、チョコを贈るんだ……あ、でも、チョコってどう作るんだろう??」 なにぃぃ!?ウェラーがチョコを作る? いい、ウェラーなら、男でもチョコレート欲しい! 友チョコでいい!コンラッド!おれにもくれぇぇーー!!o(TдTo) クゥ 「あれ?コンラートもチョコ作るのか?僕も作るんだ。だったら、友チョコというのを 交換しないか?」 そういって、コンラートに近づいてきたのは、黒髪に紫の瞳を持つ男の子。名前をルルーシュ・ ランペルージといって、3学期からの転校生だ。彼はイギリスからの転校生で、アメリカからきた コンラート達のいるクラスに編入された。言葉が通じるものが近くいにいたほうが良いだろうと言う 配慮だった。だが、実際彼は日本語をかなり使いこなしていて、その配慮は要るのか?と、同級生を 唸らせるほどの、難しい言葉を駆使していた。なお、転校生はもう一人いて、日本人であるが、 ルルーシュの幼馴染で、やはりこのクラスに編入されている。 おかげで、このクラス人口は他のクラスより多い。しかも、男子ばかりなのだが・・・4人中、コンラート とルルーシュは女の子以上に可愛いと評判で、ある意味、男女比は釣り合いが取れているようであった。 「え?ルルも!?‥でも、俺‥ヨザックと違って料理が下手で…ルルは作れるの?」 「うちは、大黒柱の母が仕事でおそいからな、必然的に僕が家事担当だ。といっても、まだまだ 納得のゆくレベルのものは出来ない。精々、ハンバーグとかシチューくらいだ。何分、包丁は危ない といって、キッチンバサミと電磁調理器しか使わせてもらえないからな。あまり、レパートリーが 増えないんだ。今は、和食に挑戦しているが、味噌汁を毎朝僕の担当するくらいだな」 そこまでできれば、りっぱだと思う。 というか、小学一年生で料理ができる方が少ない。せいぜい皮むき器で、人参の皮をむくくらいしか 出来ないだろう? 「なにいっているんだ、すごいよルルーシュ!そこまでできるなんて、俺達の年代じゃいないよ」 じゃあ、チョコも楽勝ですね! だが、ルルーシュは、首を横に振る。お菓子作りは、あまりした事がないのだと。 「去年までは母がいたから手伝ってもらっていたけど、単身赴任で世界中を飛び回っているし、 でもだからこそ、今年は一人で作って、妹のナナリーにあげるんだ!!」 まだ幼稚園児だという妹に、さびしい思いをさせたくないという兄心に燃えたルルーシュであった。 といっても、彼も小学一年生。しかも、似ているようで違うお菓子作りへの挑戦だ。どうしても、 不安を感じないわけにはいかない。 ― 全部作るの初めてだから、うまく作れると良いのだけど。 お互い頑張ろうね!そういって励ましあうコンラートとルルーシュ…二人の内どちらでもいい・・ 「「「「その友チョコ俺らにも、ぎぶみーーぷりーず!!」」」」 「は???」 「ほわぁ??」 男子の勢いに、二人が揃って後退りすると・・・ 「あれ?コンラッド?お前さん坊ちゃんに、(本命)チョコ渡す気かよ?」 そこにゴミ捨てに行っていたヨザックが教室に戻ってきた。そしてさり気なく、二人を 自分の背後に庇う。まったく、焼却炉まで行ってきただけなのに、チョット目を離した隙に もう男子に襲われ(?)ているなんて。コンラート一人の時でも、害虫退治は大変だったのに そこに、クールビューティーなルルーシュという極上餌があわさって、彼の苦労は2倍どころか 4倍6倍くらいに膨れ上がっている気がする。 そういえば、ルルーシュ専用番犬は?教室に視線を走らせれば、いつもヨザックと一緒に害虫退治を してくれる真新しいもう一人の友人がいない。そういえば、日直だったな?と思い出して、しまった! と舌打ちする。彼がいるから大丈夫だと思っていたのに、日誌でも置きに行ってしまったのか? そんな、ヨザックの気苦労も知らないで、コンラートは拳を突き上げて、力説をしている。そんな姿すら アンタ、可愛いです!と思った時点で、ヨザックの負けだ。ガックシ Orz 「だって!俺が渡さないで、ユーリが他の人から貰ったらどうするんだ?」 「・・・・いや、もらっても、本命チョコとは限らないだろう?」 「グリエは解ってないな、たとえ本気でなくとも自分以外から貰って喜ばれると不安なんだよ、な? コンラート!」 「ルル!そうなんだ、ユーリは可愛いから心配なんだ!!」 そもそも、ユーリは、その辺の女の子より可愛い・・それが問題なのだ。自分より可愛い男子を 彼氏に!なんて、思う女子はあまりいない。おかげで、有利はそういう意味で女子にはもてないのだ。 しかも、有利には、これまた女子より可愛いと評判のコンラートが、猛アタックをかけていることは 周知の事実である。ただし、本人(有利)以外……。(←ちょっと、コン哀れ) よって、この二人の間に割って入ろうなんていう女子は、今のところこの学校にはいない。 つまり…有利が今年もチョコを貰う確立は、甚だ0に近いだろう。 「いいや、ユーリはあんなに可愛いんだ。きっと一杯もらうんだ…どうしよう、そんな風習が あっただなんて・・習い事も有るし、もう来週だって言うのに・・うまく作れるかな?」 図書館でお菓子の本を借りれば?でもな・・・うーーん?? 「・・・・・・わかった・・・教える。」(←ちょっと複雑) 「ヨザック!お前、お菓子も作れるのか?」 「施設にいた時、バザー用に、しこたまクッキーを作らされていたんだ。それに、他にも色々とな? 日本は色々な国のレシピが入ってきていて、おもしろいぜ。簡単で量を作れるものを探してやるよ。 なにせ、坊ちゃんの攻略は質より量だろうよ?」 たしかに、それは言える。1000円の高級トリュフ1個より、100円の板チョコ10枚のほうが喜ぶタイプだ。 「だったら、父上にも、渋谷家にも作りたいな。」 急にホクホクと元気になったコンラートに、ヨザックは まぁいいか・・と…コンラッドが、こんなに 喜べばいいじゃないか?という気になる。 「とりあえず、おれがレシピ探すから、コンラッドはラッピング用品を買いに行っておいてくれ」 「だったら、僕も一緒に行っていいか?僕、まだこのあたりに詳しくないから」 「うん、俺も一人でいくより、心強いよ、一緒に行こう!」 「ありがとうコンラート!」 にこにこと、今日の帰りに一緒に買い物に行く約束をした二人であったが、それが思わぬ誤解を 呼ぶとは?果たして、誰が思ったであろう? 「あれ?ルルーシュは?」 日直で、職員室まで日誌を置きに言ってきた少年が教室に戻ると、自分を待っているはずの人物が いない。少年は、クリクリの大きな翡翠の瞳をしばたかせると、キョロキョロと周辺を見回した。 くるくるふわふわした茶色の髪は、活発な性格を現したように、所々跳ねているのが可愛いと女子に 人気であった。彼が、このクラスのもう一人の転校生。枢木スザク少年である。 「あ、枢木くん、ランペルージ君から伝言。用事が出来たから先に帰るって」 「え?ルルーシュが先に?一人で帰ったのか?」 「ううん、ウェラー君がいっしょよ」 「へ?コンラッド?」 「じゃあ、確かにつたえたから」 そういい残すと、クラスメイトは帰っていった。スザクに伝えるために、待っていてくれた様だ。 「ルルーシュが俺を置いて、別の奴と帰るなんて」 呟きは、誰もいない教室に吸い込まれて消えた。 そして、三年生の6時間目の授業の時・・・。 「あれ?渋谷?あそこに帰ってゆくのは、ウェラーじゃないか?」 そういわれて、窓の外をみれば、丁度コンラートが可愛い女の子(?)と連れ立って帰ってゆく姿が あった。 「今日は、別々に帰るのか?いつもなら、お前を待って一緒に帰るのにな?」 めずらしいと、友人に言われるも、有利だってそんな事はわからない。朝は何も言っていなかったし。 一体なんで、あの子と一緒に帰るんだろう? もやもやとした気分で、授業を終えて掃除も終わる頃になると、有利の元にヨザックがやってきた。 「ぼっちゃーーん、終りました?」 「ヨザック!帰ったんじゃなかったの?」 「??なんでです?たしかに、今週は飼育当番で朝は一緒じゃないですが?」 「だって、コンラッドは、帰ったじゃないか?」 「あれ、なんで知っているんです?そうですよ。ちょっと、用事が出来たんで先に帰ると伝えて 欲しいって。」 「用事って?」 「用事は用事でしょう?そんなの知りませんよ〜?あ、来週は、おれとコンラッド、習い事方面の 用事が有るんで、わるいけど、先に帰らせてもらいますね?」 「えぇー!来週いっぱい?」 「あら、グリエと一緒じゃないって寂しいのかしらん?」 ぼっちゃん、かわいい〜♥ ♥ ぴっとり、背中につくと、有利が、うぎゃぁ!と叫んで逃げた。 ・・・失礼だな〜vホクホク(←ヨザ楽しんでいる) 「ウェラーがいないと、渋谷って可哀相だな・・・ツッコミがいないから、グリエが暴走して ゆく・・・。」 級友達は、いいように年下に遊ばれてゆく有利を見送った。あえて、誰も助けないのは、迂闊に 助けると嫉妬の炎を燃やす、もう一人の年下の存在があったからであった。 「すまん、渋谷。俺たち、ウェラーを敵に回したくないんだ。」 コンラートには、クラスの女子の応援がついている。つまりは、彼を敵に回すと、同時に女子をも 敵にまわす恐れがあり、このバレンタイン前の大切な時期に、そんな恐ろしいことは出来る訳が なかった! 「薄情だと言うがいいさ!それでも、俺達は義理でいいからチョコがほしいんだ」 「つーか、だいたい渋谷には、確実にウェラーから1個くるしな・・・しかも、本命チョコ」 「男からだけどな。」 「ウェラーなら、欲しがる男子は一杯いるだろうな」 「・・・ばかっ!しーーーぃ!欲しがっているのなら、そこにもいるだろう?」 くいくい!と彼の指差すほうには、一人妄想の世界に行ってしまっている友人が・・・。 「コンラートちゃんのチョコ…。」 机に頬杖ついて、天上を見上げている少年は、最初、コンラートの事を可愛い女の子だと思って いたのだ。それが実は男子と知った後も、諦めきれない様なのであった。 なお、当のコンラートからは、有利の友人だから挨拶くらいはするが、あまり関りたくないという ように、ビミョーに避けられている。 『先輩!これ・・・よかったら受け取ってもらえますか?』 『コンラートちゃん、これはもしかして?』 『あの、初めて作ったので、恥ずかしいのですが、先輩のために頑張ったんです。』 『ありがとう、もちろん、貰うよ!』 「あはは、コンラートちゃん、恥ずかしがっちゃって可愛いな〜。」 「「「・・・・・・・。」」」 一同、可哀相なモノを見る目つきで、逝っちゃっている友人を見た。彼の夢が叶う日は、当然ながら 永遠に来はしない!!(←断言) それから毎日、ウェラー家の子供達は、学校が終ると、一目散に家を目指して帰り、有利は別の 友人達と帰る日々を過ごしていた。 そして、決戦前の土曜日。ウェラー家には、エプロン姿の少年二人が、真剣な面持ちでキッチンに いたのだった。 「で?ルルも スザク にあげるの?」 コンラートは、ハートの型抜きでクッキー生地を抜き取っては、それをオーブンの鉄板に並べながら、 隣でチョコレートを湯煎にかけてテンパリングをしている黒髪の少年に話しかけた。 ガッシャン! あ、小麦粉が舞った。普段は冷静沈着なのに、不意打ちに弱いんだな〜。 「…な、何でっ」 パクパクと、口を開閉して、真っ赤になった友人に、こともなげにコンラートは続けた。 「だって、妹さんのナナリーちゃんにあげるのは、さっき作っていたトリュフだろう?今作っている ケーキは、スザクにあげるんじゃないの?この前、ケーキをワンホール食べたいって言っていたよね?」 「そ、それは、その、あいつにあげないと五月蝿いからで」 何で覚えているんだー!?ルルーシュは、一生懸命 優秀な頭をフル回転させた!ここでのいい訳は 32通り!その中で、一番怪しまれずにすむいい訳は!? 「そう!ナナリーのついでだ!」 あぁーー!僕の馬鹿ぁーー!? だが、口から出たのは、最悪のいいわけだった。頭をフル回転させすぎて、口との連携がとれて いなかった、ルルーシュの敗北である。Orz 「そう?」 しかし、更なるツッコミはなかった。どうやら、単なる確認事項だったようだ。 だよな、僕とスザクは親友なんだし、今は枢木の家に預けられている身だし、ヴァレンタインにチョコを 作ってもお世話になっているお礼としてもおかしくないよな?それに、僕達は男同士だし、僕がスザクを 好きだなんて、バレる訳がない! そうだ、きっとただの確認だったんだと、ホッと胸を撫で下ろすルルーシュ。(←甘い) 案の定、コンラートには、そんな誤魔化しは効いていなかった。 なにせ、ついでのほうが、力が入っているように見えるのは、コンラートだけだろうか?いや違う。 コンラートの嗅覚が、自分と同じように淡い片思いをしている同士をかぎ分けていた。それにどんなに 否定しても真っ赤になってうろたえる様は、説得力がないだろう・・。 今、二人はコンラートの家のキッチンに立っている。家にはスザクがいるので、ゆっくりとお菓子が 作れないと困っている彼に、コンラートが一緒に作らないかと誘ったのだ。なにせ、ウェラー家は、 普段から人がいない。 一家の大黒柱の父ダンヒーリは、会社の社長で忙しい身であるので、普段子供達は父の友人である 渋谷勝馬の家に預けられているのだ。父の帰りが遅いときは、そのままお泊りする事もしばしばで ある。そんなこんなで、人気のない家は、ナイショのプレゼントを作るには、もってこいの環境である。 スザクは、ふわふわの薄茶の癖毛に翡翠のどんぐり瞳を持つ可愛いが、かなりの腕白坊主だ。 武道一般を習っていて、特に剣道は始めたばかりのコンラート達とは違い、すでにかなりの腕前で ある。彼は好奇心も旺盛で、食欲も旺盛。たしかに、甘い匂いをさせて台所に立つルルーシュを みつけたら、味見と称して焼く側から食べられかねない。 そして、ルルーシュは、彼に強請られると絶対の断れないであろう。なにせスザクは、ルルーシュの (隠しているが)初恋の相手であったから。(←やっぱり、バレています) 「コンラートこそ、ユーリにあげるんだろう?」 「もちろん、本命だしね!」 逆にコンラートは一切隠し立てしない。満開の好意をただ一人に向ける。それを、ルルーシュは 羨ましい。自分はどうして素直ではないのだろう?無駄に高いプライドがどうしても邪魔をする。 「このハートがユーリので、他の人はこの花型にするつもりなんだ」 そういって、今度はくりぬいた生地の真ん中にちょこんと苺ジャムを乗せてゆく。その鉄板の一番 上の端には、見本としてヨザックが作ったクッキーが置かれていた。この後 といた卵黄を刷毛で ジャムの周りに塗ってその上にもう一枚、同じ形の生地をかぶせるのだ。上に乗せるハート型の 生地の真ん中はふた周り小さなハートでくりぬかれていて、そこから苺ジャムがのぞき出るのだ。 なお、クッキー生地にはチョコが混ぜ込んであり、焼き上げてからピンクのチョコペンで飾りを つけるという工程になっている。 ヨザックがジャムクッキーのレシピをアレンジしてくれたのだ。ルルーシュは、ヨザックはすごい奴 だと思っている。彼は、このコンラートが好きなのだ。学校でも、何気なさを装って彼の側で彼を 守っている。なのに、他の人にあげるバレンタインチョコの手ほどきを、コンラートにしたのだ。 そんな事をすれば、ますます自分の恋に可能性がなくなるのに。 それでもコンラート(好きな人)が幸せになれるなら、それでいいと笑う彼の強さが好きと思った。 スザクは、そんなヨザックの事をもどかしいようだが、自分は彼に共感した。 自分も、スザクやナナリーや母が幸せになれるのなら、それを優先する。 一見、太陽のように明るく元気な子供である、スザクとヨザックは似ていると思われているが、 実際にはヨザックはルルーシュと似ているのだ。だから、今ここにいないヨザックの気持ちが 良くわかる。 好きな人の幸せを願っている。それでも、その人が別の人に恋情を向けるのを見るのは、辛くない わけはない。だから、ルルーシュはヨザックに枢木家に遊びに行ってもらっている。今日は、 ルルーシュとヨザックの交換お泊り会という事になっているのだった。スザクは俺様な性格だが、 肝心な所は優しい。妹のナナリーも、そういった部分に敏感だ。きっと、今頃は、彼も楽しく 過しているだろう。 そう思考の海に沈みながらも、流石は普段から料理をするだけあって、彼の手際は見事だ。あっと 言う間にガトーショコラの生地が出来上がっていっている。 それを少しだけ型に生地に流し込むと、半分に切ったドライストロベリーを適当に散らばす、そして また生地を流し込み、それを2回繰り返す。 丁度その時、オーブンからコンラートのクッキーが焼けた事を知らせるタイマーの音がした。 それを素早く取り出すと、再び温度設定をしてから余熱加熱を始めた。直前までクッキーを焼いて いたオーブンは、すぐに温まって、ルルーシュが別の鉄板にのせたケーキをオーブンの中に入れた。 ピピっとスタート!これで、数十分後にはガトーショコラが出来るだろう。 さて、その間にと、コンラートはお茶の準備をした。お茶請けは、焼いたばかりのクッキー。 贈る前に味見の時間だ。 「抹茶玄米茶とコーヒーがあるけど、どっちがいい?」 「玄米茶」 「りょーかい」 「クッキーと合うかは、微妙だがな?」 「だね?でも、美味しいよね。日本茶も」 「あぁ、紅茶ともまた違った味わいだ」 あついお茶を飲むと、ほ〜〜と一息つく。また〜りとした空気が漂ったところで、コンラートが なにげなーく話しかけた。 「ところでさ、ルルーシュ?」 「?」 「スザクにチョコを渡す時に、告白はしないの?」 「‥っ!!??」 けほっ!かほっ!%〇★◎▲▽↑↓?? ニッコリと笑ったコンラートに悪魔の羽と尻尾が見えた気がした。 「ヨザック情報だと、スザクを狙っている女子が、バレンタインにかこつけて告白しようと しているって」 「なんだとっ!?」 とんでもない情報に、ルルーシュは とっさに取り繕う事も忘れて、素っ頓狂な声を張り上げた。 そして、はっと我に返ってみれば、ニコニコと上機嫌のコンラート。 まさか?僕の好きが、恋だって・・ば、バレているとか?いやいや、まさか?ここは、全力で誤魔化 すんだ!ルルーシュ・ランペルージ!大丈夫だ、コンラートは素直だし、ここで違うと納得させれば いいんだ! 「こ、コンラート」 「うん、告白するの?」ニコニコ 「僕は別に」 「とられるよ?」ニコニコ 「う・・」 「好きなんだよね?」ニコニコ 「・・・」 ここにきて、ルルーシュは、目の前の出来たばかりの友人が、素直なだけの少年でない事に ようやく(←遅い)気がついた。一筋縄ではいかないこの笑顔。数刻前の彼の素直さに羨ましさを 感じた自分に言いたい。 間違っているぞ自分!コイツは素直なだけの可愛い性格じゃない!ぜったい、腹にナニかを飼って いるにちがいない!(←大当たり) ニコニコと微笑み続けるコンラートの全力攻撃に、彼が屈する事になるまで、あと5分。 2010年2月14日UP 初のコラボ小説です。W主従コンビの小さな恋の行方は?最後を手直ししているので 前後編にわけました。もう少しお待ちください。 |