読む前に注意。 こちらは、今日からマ王とコードギアスのW現代パロとなっています。 え〜Wパロなんて論外!というかたは、回れ右してブラウザバックしてください。 設定は、年下の彼です。チビーズにコードギアスから枢木スザク・ルルーシュ・ナナリーのヴィ兄妹 が参加しています。相変わらずの捏造ビシバシ!入りまくりの小説です。 では、どうでもバッチコーーイ!という方のみ、進んでくださいね〜。 年下の彼・特別番外編 ヴァレンタインチョコは、ビターORスウィート? ちらりと、翠の瞳が部屋の時計に視線を走らせた。 これで、12回目だ。ふむふむと、ヨザックは気もそぞろな友人に目を向ける。 「スザク、ルルーシュのことが気になるのか?」 「えっ!き、気になんかならない!誰が、アンナ奴」 「へ〜、その割には、さっきから時間とか、電話とかばかり見ているようだが」 「しるか!」 ぷいっと、口を一文字に結ぶと、スザクは視線を手の中のトランプに戻してしまった。 「どうせ、今頃楽しくやっているだろう。ルルーシュ、最近、コンラッドのことお気に入りだからなっ」 そう、今まで何をやるにも、ルルーシュはスザクと一緒だったのだが、この一週間ほどはいつでも コンラートと一緒に、なにやら話し込むことが多くなってきた。 しかも、彼が側によると、ピタリと話を止めてしまうのだ。はっきりいって、おもしろくない! ― なんだよ、ルルの奴。新しい友達が出来たら、俺の事いらないのかよっ! ふくれっつらのスザクを眺めながら、内心ニヤニヤとほくそえんだ。 そりゃ、ナイショにしなければならないはずだ。なにせ、彼らが作っているのは、本命チョコレート なのだ。コンラートはまだしも、ルルーシュは知られたくないだろう。渡す『本人』には。 現在ヨザックは、『交換お泊り会』と称して、ウェラー家に赴いたルルーシュと入れ替わりに、ここ 枢木家に泊りがけで遊びに来ていた。目の前には、この家の嫡男であるスザク、そしてルルーシュの 妹のナナリーと共に、トランプで七並べに興じていた。ナナリーはアッシュブロンドの波打つフワフワ カール髪を、かわいらしく赤いリボンで頭の上でツインテールに結んでいた。兄のルルーシュよりも 少し薄い紫の瞳は大きく。クリクリの大きな瞳といい、くるふわの髪といい、スザクと並べると、 フンワリ具合が本当の兄弟のようだ。 かわいいv これ、勝利兄に見せたら喜びそうだよな〜。 なんでも、スザクの母が学生時代留学先の寮で同室になったのが、ルルーシュの母親マリアンヌで あったそうだ。意気投合した二人はその後も親交をたもち、年に数回お互いの国を行き来していた。 そんなある日、マリアンヌの仕事の関係上、数カ国をまたにかけて長期出張をする事になったのだ。 さすがに一箇所にとどまらない出張などというのに、子供達を連れ歩く事は出来ない。そこで、 枢木が子供達を預かると申しでたのであった。 と、いうか、渋る夫と遠慮するマリアンヌと困惑する兄妹を、半ば強引に丸め込んだというのが 正しいそうだ。(←この家の嫡男の証言) ちょうと、枢木家も父の仕事で東京に移る事になっていたので、息子スザクを一人で転校させるより、 ルルーシュも引き取って、二人で転校させた方がいいだろうと、この期に二人揃って新生活を開始 させたのであった。 「あー、今頃、ルルーシュのやつ、コンラッドに捕まっているんだろうな〜?」 ボソリと呟いた声に、トランプを真剣な面持ちで睨んでいたくせっ毛の少年が何だと顔をあげる。 「いや、コンラッドがな、思う存分『惚気』をルルーシュ相手に聞かしている頃だな〜とおもって」 「あぁ、有利さんだっけ、コンラッドの好きな相手」 スザクは一度だけ見た事のあるコンラートの想い人を思い浮かべた。ルルーシュ並に真っ黒な サラサラの髪と、真っ黒な大きな瞳の元気そうな印象であった。 「そ、最近じゃ、あいつの周りに話に付き合ってくれる人がいなかったから、今頃犠牲になっている んだろうな〜とおもっていたところ」 犠牲って、どんな話をされているんだ?スザクは、幼馴染がチョット心配になる。 「・・・だいじょうぶな?あいつ」 ただでさえ、彼は人見知りが激しい。学校にも馴染むのに時間がかかるだろうと、身構えていた スザクであったが、何をおもったか、当初は苦手そうにしていたコンラートと仲良くなったのだ。 元々幼馴染としてそだったスザク以外には友人と呼べる相手もいないルルーシュが、あっさり友人 だと、彼らを認めたのには驚いた。しかも、その友人の家に泊るなんてことを言い出した時、スザク だけではなく、枢木家では皆が驚いたのだ。あの、ルルーシュがっ!?っと・・。 その上、代わりに遊びに来たのは、陽気なアメリカ人の少年だ。 「なら、お前が聞くか?いっとくが、アイツに語らせると長い上に、全部ノロケだぞ」 にやりと、チシャ猫のように笑うヨザックに、不穏なものを感じ取ったのか、スザクの眉間に 皺が寄った。 「……うーんと、遠慮する。俺には向かない話っぽい」 「うーん、たしかに、スザクには 向かないかも?」 「あったりまえじゃん!日本男児は、そんな軟弱な話はしない!」 と胸を張った彼に、小さくため息をつく。たしかに、恋心の理解など、この 俺様お子様のスザクには 早いかもしれない。しかし、ここに意外な人物が食いついてきた。 「それって、おにいさまとコンラッドさんが、恋バナで盛り上がっているって事ですねっ!?」 「「恋バナー!?」」 「それとも、ガールズトークって言うのでしょうか?ずるいですお兄さま。わたしも参加したかった です!」 したいのか・・幼稚園児が?と、いいますか?ガールズトークって‥二人とも野郎なんですけど? 「大丈夫です。お兄様は、性別ルルーシュですから!(ニッコリ)」 「は?性別が、ルルーシュって?」 ええっどういうことそれ?っと、ヨザックはナナリーの発言に目を白黒していた。 「って、まったあーー!ナナリー!好きな男が出来たのか?幼稚園か!?それとも近所の ガキか!?」 「まぁ、スザクさんったら」 コロコロと微笑むナナリーは、明確な答えを与えないで、必死に言い募るスザクを煙に巻いて いる。先程の、性別ルルーシュ発言といい。このあしらいの上手さといいこのナナリーと妹、 只者ではない!といいますか、スザク!お前さん、ルルーシュの性別の話はスルーかよっ!? 「スザクさん、そんなにわたしの恋の話が気になりますか?」 「そりゃ、ナナリーを守るのは、俺とルルーシュだしな!」 「ありがとうございます」 「だから、ナナリー!相手はだれだ?」 勢い込んでもう一人の兄とも言うべき少年が聞いてくるのを、ナナリーは小首を傾げてチョット 考えると、パンッ!と手を叩いた。 「そうですわ!でしたら、わたし達も恋バナをいたしましょう」 「ええっ!?」 「ふへ?」 なにがどうして、でしたらになるんだ? 「ね?いいでしょう?」 いいでしょうって、言われましても、えーと?ヨザックが事態についていけてないうちに、幼稚園児 の少女は、有無言わせない強引さで話をサクサク進めてゆく。 「スザクさんが好きなのは、お兄様ですよねっ」(←断定!) 「ええーーっ!?」 しかも、いきなり爆弾発言だ。 「お兄様を取られるのは、腹が立ちますが、お相手がスザクさんなら考えてあげますわ」(←上目線) 「えっ!?え??えええ?」 「ですが、そう簡単にお兄様をお嫁に出来るなんて思わないでクダサイネ?まずは、わたしに認めて もらえるように、精進なさってください?」(←最強の小姑降臨?) 「ええ?嫁?よめって、誰が?だって、ルルーシュは男。俺も男だぞ?えええ?男同士で結婚なんて?」 「あら、世界には、男同士でも結婚できる国はございますわ?」 「へー。そーなんだ?・・・って、だから違う!俺とルルーシュは親友――」 「なんて、あまっちゃろいですわ。どうせなら、超えてみようとは思いませんの?」 「あ、あまっちょろいって?ナナリー、一体どこでそんな言葉を覚えてきたんだあああ!?」 ヨザックは、目の前で繰り広げられる小姑VS婿(?)の戦いを呆然と見守った。どんどん、追詰めら れてゆく友人に、ヨザックはただ一言だけ告げた。 「頑張れスザク…色々な意味で (-人-)ナムナム」 「こらまて、ヨザック!見捨てるなぁああああ!!」 「あ、ワタシ、ニホンゴ、ソコマデ ワカリマセーン」 「さっきまで、ぺらぺらだったじゃないか!?」 「What?」 「おほほほ、スザクさん、わたしとのお話が途中ですよ?」 「ひっ!?」 たすけてーぇ、るるーしゅ!!(るるーしゅ…るるーしゅ←エコー) その夜、ナニかに目覚めた少女の高らかな笑い声と、泣きの入った少年の声と、必死になだめる 少年の声が夜遅くまで続いたという。 ・・・ご愁傷様です。 そして、所変わって、ここは渋谷家。 「お?ゆーちゃんどうした?」 「うーー」 夕方、勝利が部活から帰ってくれば、そこにはソファーの上で、クッションを抱き込んで唸っている 弟が一人むくれていた。 「気にしないで良いわよ、しょーちゃん!コンちゃんとヨザちゃんが別のお友達とお泊り会なんで、 ヤキモチ焼いているのよ」 「やいてない!!」 「…なるほど?」 台所から聞こえてきた母親の声に、有利は怒鳴り返すとまた、クッションに顔を埋めてしまった。 これは、どう反論しても無駄だろう。ようは、自分にだけなついていたコンラートが、別の子と 仲良くするのが気に食わないんだな? 「でもな、ゆーちゃん。コンラッド達だって、そろそろ俺達以外の友好関係を築かないといけない と思うぞ?」 「でも、コンラッドは爆弾を抱えているんだ。もし、そいつらが、知らずにスイッチを押したら・・」 「ふーん、ゆーちゃんも、ただヤキモチ焼いていたわけではないと」 「ヤキモチは余計だ、ばか兄貴!」 クッションを投げつけてくるのを、軽く叩き落として勝利は弟を見る。春の出会いから気付けば 夏を経て、秋を通り過ぎ、冬を見送ろうとしている季節だ。後数週間で、再び春が来る・・そんな 時間を過してきたのか。その間に、この前まで甘えん坊の子供だとばかりに思っていた弟が、 いつの間にか他人を心から慈しめるように成長していたとは。それもこれも、彼の少年の存在 ゆえか? だが、一回り成長していても、まだまだ子供だ。 「有利、たしかにコンラッドは爆弾を抱えている。だけどな?それを怖がって、ごく少数の身内と だけ付き合っていけばいいというものでもない。アイツは、まだ7歳。これからの人生の方が遥かに 長い。その間、避け続けて生きることは、出来はしないんだぞ」 「それはっ!」 「それともお前は、全てから守るために、コンラッドを自分の両手に抱え込む気か・そんなこと すれば、アイツの世界は閉じてしまう。それでは、ボストンに居たころと何も変わらない。お前は、 コンラッドにそんな生き方をさせる気か?」 「違う!そんな事思っていない」 うつむく有利に、勝利は近づくと、ポンっと頭に手を置いた。 「わかっているって、ただ、ちょっとだけ、淋しいんだな?」 「勝利・・・」 じーん、勝利ってば、普段は弟にメイド服をきろとか、お馬鹿なことばかりいうけど、こうやって おれ達の事をよく見てくれているんだな。やっぱり、兄なんだな〜と、ちょっと見直した有利だったが、 「って、おにーちゃんと呼びなさい!わかる、わかるとも!おれだって、ゆーちゃんが『ゆーちゃん、 男の子だもん。もう、しょーちゃんとは一緒に寝ないもん』って、言った時には、そりゃーもう! 淋しいって枕をぬらしたものだ。うんうんわかるぞ、だから、今日はお兄ちゃんが、ひさしぶりに 一緒に寝てやろうともさ!」 さぁ、お兄ちゃんの胸に飛び込んでおいで!と、両腕を広げた勝利に、有利の目が細まった。 …っ!い、いま、見直したばかりだったのにっ!?こ・・コイツ!? ぶるぶると過多が小刻みに震えるのは、怒りのためだ。うっかり、感動したあとなので、その反動も 何時もの倍である。 「・・・・やっぱ、馬鹿兄貴で十分だ。このっっ!ヘンタイギャルゲーオタク!!」 「ガーーンΣ!!」 もう、馬鹿ショーリになんて、相談しない。コンラッドのことは、自分で考えるからいいと、有利は ソファーの上に座りなおした。最近、コンラートは、転校してきたと言う少女と仲がいいらしい。 数日前、仲良く二人っきりで下校する姿を見た。セーラー服の良く似合う綺麗な子だったと思う。 彼女が、コンラッドの彼女であろうか?いや、まだ一年生である彼らだ。恋人という関係はまだ早い かもしれない?だが、コンラッドはアメリカ人、少女はイギリス人という話だ。日本人である自分の 感覚では計り知れない(←??)ものがあるのかも?おりしも、明日はバレンタインという恋人未満 の彼らには、恰好のイベントがあるではないか!? それを期に、二人が恋人になるかもしれない。そう考えると、ツキ・・・と、有利の小さな胸が軋んだ。 「?・・あれ?」 どうしたんだろう?なんか、心臓にトゲが刺さったような感じがしたけど? 「どうしたゆーちゃん、変な顔して?そんなに二人がいなくてさびしいのか?」 春の出会いから、ウェラー家の子供二人は毎週末のように、この家で過していたのだ。有利と三人で いつも騒がしいほど、過していたから久々に静かに一人過す土曜日に、寂しさを感じたのかもしれなかった。 「さびしい?そっか、おれ淋しいのか?」 ほんの少し前まで、当たり前だった週末が今では淋しく思えるほど、有利の中でコンラート達と過す ことは、当たり前のようになっていたのか? だが、兄の人なりは置いといても、言われた事は正しい。コンラートの世界が広がるのを、自分が 淋しいといって邪魔をしてはダメだ。 「うん、そうだよな。コンラッドに可愛い彼女が出来たとしても、おれが邪魔しちゃダメだよな」 「かかか、かのじょぉぉ??」 ぐりん!と、自室に戻ろうとしえいた、勝利が勢いよく振り向く。何、驚いているんだろう? 「最近転校してきた子なんだけど、お人形さんみたいに綺麗な娘なんだ。彼女ならコンラッドと お似合いだよな」 「は?……それは、何かの間違いなんじゃ?まさか、コンラッドに限って、彼女を作るなんて」 「まぁ、コンラッドは、女の子みたいに可愛いけど、男なんだから彼女くらい不思議じゃないぞ?」 いやいや、ゆーちゃん、コンラッドが好きなのは、ゆーちゃんだから! 「そうだ、おれはコンラッドの親友なんだから、ここは一つ、親友の恋路を祝福してやらねばっ!」 「ゆーちゃん、それ、多分誤解だし、そんなことするとコンラッド泣くから」 「何言ってるんだよ、ショーリ。あ、さては、自分より先にコンラッドが彼女を作ったんで、 ねたんでるんだろう?」 男の嫉妬は醜いぞ! 「うるさーーーい!!!」 「そんなことあるか、みよ!コレを!」 勝利は、サブバックをあけると、次々と綺麗に包装された物を出した。 「??」 「今年のバレンタインは、日曜日だからな。前倒しで、今日もらったチョコレートたちだ」 えっへんと、胸を張る勝利。 どうだ、お兄ちゃんはもてるんです! 「どうせ、義理だろう」 だが、弟は冷たい。 「ふふ、この中に義理は一つもない!」 にやりと、不適に笑う勝利に、有利も驚いて立ち上がった!おもわず、テーブルにあるチョコレート の束を凝視してしまう。 「ええーー!これ、全部本命ーー!?」 綺麗にラッピングされたチョコは、ざっと見積もっても10っこ近く有るだろうか? 「いいや、友チョコだ」 だが、それはあっさりと否定された。 しかも、ともちょこって? 「友チョコって?」 なんだろうと、勝利を仰ぎ見れば、弟の疑問がわかったのか?勝利が簡単な説明をしてくれた。 「なんだ、ゆーちゃん知らないのか?最近では、友人同士でチョコの交換をするんだぞ?」 「へ〜。つまり、結局本命はないんだな?」 「ぎく」 さらりと確信をつく弟と、あっさり確信をつれた兄。 「まぁ、そうだよな?シューリみたいな美少女ゲームオタが、もてるはずがないよな?」 ががーーん!! あぁ、ゆーちゃん酷い。コンラッドより、お兄ちゃんの方が先に泣きそうです。 さて、渋谷家と枢木家で一つの悲劇(?)が舞い起こっている頃。 心配されているウェラー家では?その心配されていた当人達は、いたって上機嫌で出来上がった クッキーを綺麗にラッピングしていた。 「これは渋谷家の皆で、これが父上、これがヨザ、で、これが道場の先生達っと」 花型のクッキーは、かご型のプラスチックのギフトケースに入れて、シールをぺたんと張って終わり。 「で、これがユーリへのv」 そういうと、ハート型のクッキーを丁寧にハートのケースに入れると、ふたを閉めてシールで封を する。青い不織布で丁寧に包んでゆくその顔は真剣そのもの!形が形なので中々大変だ。 あっという間に、ぐちゃぐちゃになって、コンラートの眉根が下がった。ふとみると、隣で同じ 作業をしていたルルーシュは、かわいいキ○ィーちゃんのマグカップにチョコトリュフを入れると、 淡いピンクと白の不織布を用意すると、それを四つ折にする。そしてさらに三角に2回折り、細長い 三角に折りたたんだ。そしてピッキングばさみを使ってすべての髪が重なった所を円くきると ふんわりと広げた。すると円い花形の紙ができあがった。それをずらして重ね、中心部分にマグ カップを置くと下からフンワリ包み込み形を整えた。すると包まれたマグカップの上に、綺麗な 大輪の花が咲いた。 ぽかーん!っと、その様子を見ていたコンラートは、自分の手元をみてがっくりと肩を落とした。 きゅっ!と、赤色のリボンでラッピングを終えると、ルルーシュは隣でしょぼくれたコンラートを 発見した。 「コンラート?」 「ルル・・ユーリへのプレゼントが」 その視線の先には、ぐしゃぐしゃになった青い紙。うるうるした瞳に見つめられて、ルルーシュは 言葉に詰まった。 「だ、大丈夫だよ!僕が教えてあげるから!」 気付けば、そんな事を力説していた! 「コンラート、ここにプリーツをいれて、等間隔に」 「う、うん!」 ルルーシュはハートの形をみて、少し考えた後、新しい青い不織布を取り出すと、その真ん中に ハートボックスを置いて大きさを確かめると、鋏でチョキチョキと不織布を円く切り抜いた。 「円柱のボックスを包むときに、折り目を入れながら包むやり方があるんだ。その応用で綺麗に包めるよ」 「ほんと?」 「大丈夫、僕が教えてあげるから、ね?」 「うん!」 コンラートは、何事にもそつなくこなすので、器用な人間だと思っていたが、実際は不器用な部類に 入るらしい。ルルーシュは、悪戦苦闘する彼を見て認識を改めた。だが、元来頭の回転はいいので、 ルルーシュが指示を出していけば、その通りに拙いながらも、丁寧に作業をこなしてゆく。 「あ!」 少し折り目の間隔がずれてしまったのに、コンラートが小さく声を上げる。 「このくらい大丈夫」 「でも、揃ってないと綺麗じゃないよ」 「大切なのは、コレを作ったコンラートの気持ちだろう?」 「でも、綺麗にラッピングしたいんだ。コレを渡した時、ユーリがより多く喜んでくれるもの!」 「・・・。」 真剣な横顔をみて、彼がこのクッキーに賭ける想いを感じずにはいられない。大好きな人に渡すのだ。 大事なのは中身だという事は解かっている。でも、綺麗に包めば、渡した時により喜んでもらえるん ではいのだろうか? その時、ルルーシュの頭の中に、一人の少年の顔が浮かんだ。ひまわりのような笑顔の少年が。 「そう、だな。より多く喜んでもらいたいよな?」 「ルルーシュ?」 苦笑した彼にコンラートが訝しげな声をかけた。 「いや、なんでもないよ。だったら、ここからはこの折り目に合わせて、少し狭く数回おって、 そこからまた元の大きさに戻そう、そしたらアクセントにならないかな?」 「!? それいい!」 嬉々として再び作業を再開したコンラートは、暫くして綺麗に包まれたハートを完成させた。 「あとは、中央の折り目を隠すように、花か何かそえるといい」 「うん、わかった。」 コンラートは、行く本かの造花を見つつ悩むと、一本の銀の薔薇をえらんだ。茶色のリボンで薔薇に かけると、それをシールで張りつけたのだった。 「できた!」 「うん、綺麗だね」 「ありがとう、ルルーシュのおかげだ」 「ううん、気にしないで」 ニッコリと嬉しそうに微笑むコンラートに、こちらも自然に微笑んで返すルルーシュ。 そのルルーシュの前には、真四角のケーキの箱がある。黒い包装紙で包まれて、緑のリボンをかけた だけのシンプルな。 ちらりと、横を見れば綺麗にラッピングされた本命チョコ。 「ちょっと、そっけなさ過ぎたかな」 カラカラカラーン 「え?」 コロコロとテーブルに転がったのは、色とりどりのペン。一旦、自室に戻ったコンラートが、 かき集めてきたものだ。 「はい、これ」 そして渡されたのは、小さなメッセージカード。 「ラッピングのお礼。書いてみれば?自分の気持ち」 「え?」 「みて、ユーリへは野球のボール型のカードなんだ。ユーリは野球が好きだから!」 そういうと、コンラートは、青いペンを迷わず選んで、メッセージカードに何やら書き込み始めた。 時折考えながら書き進む、その横顔は、とても幸せそうだ。きっと、好きな人の喜ぶ顔を浮かべて いるのだろう? ルルーシュは、ペンをじっと見ると、すっと手を伸ばして一本を掴んだ。 それは、思い浮かべた瞳と同じ色の緑のペンであった。 初のコラボ小説・中編です。ちょっと、後編が長いのでまたまた切ってしまいました。 ウェラー家は、乙女が二人。一方、枢木家では、なにやらとんでもない事に? さて、コンラッドとルルーシュは、無事、本命にチョコを渡せるのでしょうか? ぎゃああ、UPするのわすれていたぁぁ。もう3月1日・・ぐはっ! |