2010年 年初め小説
突撃となりの異次元!コンラート編2
年が明けても居ついちゃっていました!







新年 明けましておめでとうございます。
眞魔国第27代魔王 渋谷有利原宿不利です。
おれは今、新年早々ピンチに立たされています。ほんの少し前まで、平行世界から呼び寄せた
我が愛しのお嫁さん候補!ウェラー卿コンラート『達』に囲まれて、至極幸せな気分でいたハズ
なのに?一体コレは、どういうことなんでしょう?

おれは、十数分前を振り返って肩を落とした。それは、こんな質問から始まった。





「そもそも、どうしてそんな事を思いついたんですか?」

優雅に紅茶のカップを傾けながら、一番の年上らしい黒衣の青年が有利に優しく尋ねた。
この世界もコンラートは存在しており、しかもやはりというか、二人である以上とても仲がいい。で、
あるのに何で態々、別世界のコンラートをつれてくる意味があるのだろうか?という、素朴な疑問だ。


「そ、それは・・・」

有利は言いよどむと、ちらりと目の前に座るコンラート達を見る。結局というか、魔力が4人一度に
返すほど、たまるまでは時間がかかり、とうとう年明けまで彼らはこの眞魔国にいた。
戻す時は、ちゃんと元の世界から飛ばされてきた時間軸まで戻してくれると聞いて、彼らは折角
だからと、この世界のこの国を楽しむことにしたらしい。

といっても、彼らの姿は、この世界の国の英雄ウェラー卿のものだ。7歳のコンラートこと、チビコンと、
女性の姿のコンママは大丈夫だが、後の二人はまずい。黒い軍服を纏った魔王后様は微妙に年上、
青年と少年の中間にいるような19歳の彼はびみょーに若いが・・似すぎているのだ。ただ、コンラートと
並べると、彼のほうが精悍な顔つきをしていて、魔王后様はもう少し柔らかく、19歳という彼は、
全体的に線も細く儚げで、姫という呼称がぴったりという具合だ。これには、チビコンと元祖
コンラートが複雑だとブツブツ二人で言い合っていた。

なお、コンママのお目当ての、この世界のグレタ姫であるが、残念ながらカヴァルケードで年越しの
宴に出席していて、帰ってくるのはまだ先のようだ。あからさまに、淋しそうにしているのに、
チビコンが寄っていってから、彼女は小さい自分の母親をし始めた。見た目からして本物の親子に
しか見えないのがすごい。この姿を目撃したコンラートは、しっかり女性というか、母親をしている
自分を見てしまい、遠い目をしていて幼馴染に励まされていた。

と、まあ、この間に色々あったわけだが、久しぶりに擬似親子が城下に下りずに城の中にいたため、
コンラート達で集まってお茶でも飲もうという話になった。

そこで現在のような、異世界のコンラート達4人と、この世界の有利・コンラッド・村田・ヨザック
がテーブルを挟んで並んで座ってるという、状況になったのだ。

なお、グウェンダルは、小さなコンラートを見て鼻血を出しそうな勢いだったので、魔王后さまの
(有無を言わさない)命令で席を外させられた。
また、ヴォルフラムは、チビコンと姫コンの二人が揃って怯える様子を見せたので、姉命令!と
ばかりに、女性であるコンママが姉の立場を振りかざして黙らせた。

どうやら、コンラートの中でも、この二人は色々な意味で強い分類に入るようだ。


「だって、どうしたら良いかわからなかったから、実際の体験者の参考例を聞きたかったんだ」
「参考例??」
「うん、女性のコンラッドは、グレタを挟んで夫婦だって言うし、既に結婚しているコンラッドも
いるし、恋人になったばかりのコンラッドとかいるって言うから‥その、どうやって向うのおれと
一緒になって良いと思ったかとか、その‥聞いてコンラッドを口説く参考にしようと・・」

言いづらいのか?段々と語尾が小さくなる有利に、村田とヨザックがニヤニヤと生温かい視線を
寄越す。


「だって!もう一年も口説いているのに、コンラッドってば、はぐらかして
ばかりなんだ!(*>ω<*)」



やけくそで叫んだ言葉に、ブホッ!っと、こちらのコンラートが紅茶を吹く。ケホケホと体を
折って咳き込むのを、異世界のコンラート達が見やる。

なんだ、痴話げんかに巻き込まれちゃったのか?っという視線に気がついて、元祖コンラートは
居心地の悪い思いをする。やはり、何だかんだいって自分なのだ。そこの所は、意思の疎通が
スムーズすぎて、逆に居た堪れないのであった。

やれやれと、一息吐くと、年長者として黒衣の青年が口火を切った。

「一年か〜、俺は五年かけて口説かれました」
少しだけ昔を思い出して、魔王后様は有利が望むだろう話の一端を明かす。

「僕は、まだ八ヶ月ですが・・・大人になるまでの長期戦です」
新たな決意に燃えるのは、小さなコンラート。確かに彼ならば、あまりある時間を使って、
ゆっくりと陥落するのだろう。

「・・・・」
なお、いきなり襲われましたとは云えずに、姫コンは黙って紅茶をすすって誤魔化していた。

そして最後の一人、コンママは参考例ね〜といって、考え込んだ。

「でも、魔王后の彼はともかく、俺は参考にならないと思うよ。」
「えぇ!?どうして?」
「俺は、アニシナにグレタの母親になるように仕向けられた事から始まったからね。俺は、
グレタの母親になることは、納得済みで薬を飲んだけど、それは有利の為じゃない。あくまでも、
グレタのためだからね。その副産物で付き合い始めたけれど、同じきっかけで付き合うには、
アニシナに薬を開発させて、なおかつ彼に飲ませなくてはならない」

人差し指を立てて問題点をあげれば、そりゃむりだと彼の幼馴染が可能性を否定した。

まず第一に、薬の開発であるが、その犠牲になるのは彼女の幼馴染であるグウェンダル。まず全力で
逃げ出してしまうだろう?そもそも、女性化する薬だ。そんなものを飲みたいと思うはずがない!
次に出来たとしても、その使用目的を知っているコンラートが大人しく飲む後言えば、

「コンラッドですよ?大人しく飲むわけないじゃないですか?逆に、薬を持って迫ったら、
こっちが飲まされます」(←それも絶対零度の微笑みつき)

そんな人生を棒に振る真似は、誰もやりたくないじゃないか・・・・(−−;)

うんうんと、頷くコンラートに、ほら見てくださいよ〜と、ヨザックは眉根を下げてみせた。

「えぇ〜〜だめ?」
「ダメデス!」
上目遣いでウルウルおねだりしてみても、隣のコンラートからは、すげない返事しか返ってこなかった。

しくしく

大変に憐れを誘う姿であるが、この人は魔王だ。うかつに、情をみせれば薬を作って飲ますこと
くらいするに決まっているので、犠牲になりたくない面々は、黙って紅茶をすすった。


やがて、しくしくと泣き続けた有利の頭に、小さな手がぽんッと乗せられる。
その温かさに顔を上げれば、小さなコンラートがよしよしと頭を撫でてくれていた。

「落ち着いた?僕のユーリもね、いつもこうしてくれるんです。そうすると、すごく安心
するんです」

ちょっと、子ども扱いされているようで複雑なんですけど。

「うん??何で?」
「だって・・」
と、小さいコンラートはモジモジすると、思い切って声を上げた!

「僕の方が二つも年下なんです。可愛いだけじゃ、男としてみてもらえないじゃないですか!?
それでは、ユーリをお嫁さんに出来ません!!」

ブルータス!お前もかっ!?

有利は、よもやの年下だというコンラートにまで、お嫁さんに狙われている自分という存在に、
止めとばかりに衝撃を受け・・・テーブルに撃沈した!しかも、ビミョーに『可愛いだけじゃ男として〜』
の部分に、ダメ出しを感じるのは、おれの心が過敏になっているからでしょうか?

「そうか、チビコン君は、渋谷をオヨメサンにするのか?」
いや〜、小さくてもやはりウェラー卿なにだね〜?と、意味深に村田は言ってみせる。

「うう〜〜ん、一途な隊長って新鮮かも?」
うちの隊長もこのくらいに、まっすぐなら話しは早いような気がしますよね〜?と、その護衛の
オレンジ頭は、同じく意味深な視線を寄越す。

コンラートはそれに苦笑するも、有利はそれどころではない。何で自分がお嫁さん?だって、自分は
魔王なのだ!この眞魔国の王様なのだ。だとしたら、普通自分がコンラートを嫁に貰うべきではないか!!

「いやいやいや、コンラッドが俺のお嫁さんでもいいはずだ!」
特に、こんな愛らしいコンラートである。自分なら今すぐにでも、嫁に頂きたい所なのに!!

思わず本音の漏れた有利の隣で、元祖コンラートがピクリと眉を跳ねさせた。

「ちがいます!僕がユーリをお嫁さんに貰うんです!!」
思わず張り上げた声に、チビコンはすかさず否定する。曰く、有利のほうが絶対にドレスが似合う
とか何とか?

「まてまてまて!チビコンラッド!現実をよく見ろ!アンタの方が断然似合うって!だって、
世界一の美女なんだよ!?

指し示すのは、ふわりとしたワンピースを見事に着こなしている美女。

「ユーリ、俺のこの姿は一時的な薬のタメですよ?元来俺は男です。それも、こちらの俺と変わり
ない姿ですよ、姫コンみたいに、華奢さが残っているならまだしも、元の体格上似合うわけがない
でしょう?」
「え?だって、向うの俺と夫婦なんじゃ?ってことは、コンラッドってずっと女の人じゃないの?」
有利の記憶に間違いがなければ、先程、彼女と向うの自分とグレタは、仲の良い家族だと言っていた。
ということは、自分や父親何だから、必然的に彼女が母親。でもって、自分達は夫婦??

「えぇ、俺とグレタは確かに母娘関係を、とてつもなく良好に築き上げています!なにせ、お母様
大好きが、グレタの口癖ですし〜、親という意味では、ユーリや他の誰にも負けていませんよv」

何故か胸を張って、グレタ自慢をするコンラート。確かにこの世界のコンラートとグレタも中は良が、
お兄さんと妹という感じでしかしない。それに、気のせいか?ユーリともグレタの親の座を争って
いるような節が見える。ぶっちゃけ?

「君って、親ばかだったんだね・・・」
「もちろんです!俺は、グレタの自慢の母親ですからっ!」
えっへん!と、豊かな胸を張るコンラート。(あぁ、やっぱり、ツェリ様の娘なんだ〜と、豊かな
バスとを見て思った有利なのだが・・隣のコンラートからの視線が痛い。)

いや、褒めてないよ、ウェラー卿・・どちらかといえば、呆れたんだが?」
ひくっー!と、口の端を引き攣らせて、流石の村田様も二の句が告げない。

「ですから、俺はユーリの妻ではありません。グレタの母親なんです ^^b」
「ええええぇぇえ!!そんなぁ〜〜」
「俺が欲しければ、有利が嫁いで来てねvv」


Σ(艸゚д゚*)ガガーン…


なんと、一番小さなチビコンと、唯一の女性だというコンママの二人は、有利に嫁ぐ気はないと
いうのだ。というか、逆に嫁いでこいと言う。コンラートをどうやったらお嫁さんにできるか?
という、参考意見を聞こうとしていた有利は、思いっきり当てが外れた。


「ユーリをお嫁さん?俺はそっちの発想の方がないな」
石化しかけていた有利に、希望となる光が注がれたのは、その時であった!

儚げな年若いコンラートこと、姫コンが困ったようにそう呟いた。なお、姫という名称に、元祖
というかこの世界のコンラートは、にこやかな表情の下で、持っていたクッキーを粉々に砕いていた。
きっと、軍服の下には鳥肌があわだっているのだろう?

「ひ、姫コンは、俺のお嫁さんに来てくれるの?」
きらきら〜〜〜っと、大きな目を輝かせて有利は一縷の希望を持って聞いてみた。その時、元祖
コンラートが、ものすっごく!複雑そうな顔をしたのが目の端に見えたが、異世界のコンラートでも
良いから、はいと言ってくれるのを聞いてみたい有利は、淡い夢を持って返事を待った。

「いいえ、俺はユーリと結婚する気自体がないんです」

ざくーー―( ̄_ ̄;→!!正面からナイフで刺されたような衝撃が有利を襲う!

だって、返ってきたのは、それ以前の言葉。

「こここ、コンラッド!まさか、他に誰か好きな人が??」
それに、困ったように微笑む彼に、有利の嫌な予感は増してゆく。

「俺の世界の有利には、婚約者がいるんです。さっき、こちらにもいましたよね?金髪の綺麗な方が。
有利は彼と結婚するので、俺とは別に何ともないんですよ。」

「え?」

金髪の綺麗な?それってまさか??

「あぁ、ビーレフェルト卿のこと?」
「名前は存じませんが」

それに、おやっと?他の者達も首を傾げた?

「君、ビーレフェルト卿の事を知らないの?」
「2度ほどお会いしましたが・・・(というか、命を狙われた)」
「じゃあ、グウェンダルのことは?」
「聞いたこともありませんけど?」

ええ!!彼の世界では、魔族にてない三兄弟は成立していないのぉぉ??

口には出さなかったが、その驚愕した様子で何かを察したらしいのは、またもやこのお方。
女になっているせいか?このコンラートは勘が鋭い。うまく話を姫コンから自分に移してくれた。

「うーん、俺の世界では、こことあまり変わらないと思いますよ。グウェンもヴォルフも中々
操りがい・・いえ、仲良くしていますし、猊下もヨザもいますから」

「ねぇ、今、操りがいがあるって、コンママって もしかして意外に女王様キャラ?」
「うう、タイチョー、向うの世界のアンタは何をしているんですか?」
「・・・俺のせいじゃない。(--;)」


「俺の世界も変わらないと思います。ヴォルフは元々ユーリの婚約者でしたし、でも今は俺のいい
理解者ですよ。ユーリと喧嘩して実家に帰る時は、一緒についてきてくれますし♪」
ご機嫌に発言しながらも、とんでもない事をさらりと言ってくれるのは、魔王后さまだ。

「あ、あの?コンラッドのっ実家って?」
「はい、渋谷家です!ジェニファーには、いつもお世話になっています」
「なんで、おれのうちーー!?」
「それは猊下が、喧嘩した時は実家に帰るものだと教えてくださって、俺は血盟城生まれですし
だったら夫の実家でも良いのではないかとご助言を下さったんです」
向うの猊下にもお世話になっていますと、はにかみながらペコリと頭を下げる魔王后コンに、いやいや、
お役にたてているようで、などと『あの!村田』が返していた。どうも、最年長らしいのだが、
この魔王后様は、可愛らしいところがあり、毒気を抜かれるような気がした。

それにしても、魔王后の世界でも、村田猊下が暗躍しているようだ。さすがは、村田様だ。

が・・・。

「村田、お前だけはおれの味方だと思っていたのにー!」
「まってよ、僕じゃないでしょう?向うの僕のしでかすことまでは、責任もてないよ!!」
有利が涙目で、隣の親友の首を絞めるのを、あわててお庭番が手を解かせた。
魔王陛下には、甚だ余計な事をしているようにしか、見えなかったらしい。

「僕の世界では、義兄はヨザックということになります。今名前の出た二人は、ボストンで僕を
生んでくれた人と住んでいるはずです。僕は・・父に引き取られて日本にいます」
その言い回しに、なにやら複雑な家庭環境が見える気がした。俯き始めたチビコンに、母性(?)を
刺激されたのか?ヨザックがわざと明るく話しかける。

「おや?ちっちゃいコンラッドの世界だと、俺と兄弟になるんですかー?聞きましたタイチョー、
なんなら俺のことお兄ちゃんって呼んで良いですよ?」
「・・・まさか、本当に、俺がヨザックをそんな呼び方を?」
心底、気味悪いと、口を押えて元祖コンラートが青くなるのを、何て失礼な!!とヨザックが憤慨する。

「いえ、ヨザックとは同じ年ですし、ヨザと呼んでいます」
その言葉に、コンラートがホッと安堵する。

「むしろ、お兄ちゃんと呼んでいるのは、有利の兄のショーリお兄ちゃんのほうです」
「「なあああにぃぃいいいい???」」
それに驚いたのは、有利と村田だ。

「チビコン!アンタ!そんな風に呼ばされているのか!?おのれ!我が兄ながら、何てうらやま・・
じゃない!いといけな少年に何をやらすんじゃーーー!!」
「えぇ?まって、ユーリ!違います。呼ばされたわけではなく、僕とヨザックにとっても、彼は
兄なんで、自然と呼び始めただけですよ!」

「えぇえ!うそーー!!」
「・・・・ユーリ、貴方の中のショーリは、一体なんなんですか^^;」
「大丈夫、こちらのユーリとショーリも仲は良いですよ。よく服をプレゼントをしてくれるし^^b」
たしかに、服はくれるよ〜?でも、アレを服のくくりに入れるのか?そう、だってアレは・・

「コンラッド・・・それって、メイド服のこと?」
「へ〜、こっちのショーリもですか?うちのショーリ兄もメイド服を」
「なに!?コンラッドに着せているのか?」
えぇい!馬鹿兄きめ!こんな可愛いコンラッドになにをしさらすのじゃ!!即刻かえって成敗して
くれるわ!(←微妙に上様が降臨しちゃったマ王様)

「いえ、ヨザが気に入って着ています」
だが、あっさりと返ってきたのは、別の人物の名前。
「あぁ、グリ江ちゃんか・・・まぁ、それなら」(←いいのか?)

「・・・ヨザ、お前、向うでも7歳で変態なんだな〜」
「ちょっと、たいちょー!その痛い子を見る目で俺を見ないで!!」


「あぁ、そういえば、俺もショーリにブラとショーツのセットを貰ったことがありました」
「ぶ・・ぶらじゃー?」
「はい、こう三角の紐ので・・」
コンママ!胸の前で指で三角を作って説明せんでいい!というか?
「そ・・それ、どうしてそんなもの!?」
よもや、馬鹿兄貴もコンラッドに懸想を?

「どうやら、俺が愛用している下着が気に入らないようで」
下着が気に入らないって!?なんで、コンラッド愛用下着を勝利が知っているんだ!?

「あったかいのに、毛糸のパンツ‥」
ボソリと呟かれたのは、こんな美女がはくにはどうかという物で・・。

「「「けいとのぱんつぅぅ??」」」(ヨザック・村田・有利)

「えぇ、猊下お勧めのスポット、巣鴨で買ったんです!!」
ちなみに、ブラジャーは高性能のスポーツブラです!というコンラートに、有利は微妙に
泣きたくなった。

なんで、世界一の美人が、巣鴨で下着を買うんだよ〜?

いや、巣鴨が悪いわけではない、けっして!ただ、イメージ的にアレだけの美女ならば、毛糸の
パンツよりレースの紐パンツくらいは、はいて欲しいのが男の夢だろう?

なのに!またしても、お前か!?

「むらたああああ!!!」
「まって、渋谷、だから僕じゃないって!異世界の方まで僕に言われても!」
「まったく、色々な世界で暗躍して!お前はおれの敵なのか?」
「ちょっ!ゆすらないで!」
ヴォルフラム直伝の脳味噌シェイクをくらい、村田は青色吐息である。それを、両脇から護衛二人が
慌てて止めた。

「ちょっと、さっきから、ユーリをからかうのは、いい加減にしてください」
どうも先程から、この女性であるコンラートは、有利の反応を見ては面白がっている節がある。
とうとう、元祖コンラートは、がまんしきれずに、コンママに抗議をいれた。

「いいかげんって?」
だが、流石に彼女もコンラート。何のことかな?というように、小首を傾げている。

その瞬間確信した!わざとだ!

「ユーリをからかわないでくださいと、言っているんです」
キッ!!と、元祖コンラートが微笑む女性を睨みつける。だが、彼女はどこ吹く風よという具合で、
優雅に紅茶を傾けるだけだった。

「ナニカ問題でも?」
「自分の主を愚弄されて、心良く思うわけがない」

バチバチー☆っと、二人の間で火花が散る。

「へ〜、主ってだけ?」
「・・・何が言いたい」
「いや、主というだけなら、例えば俺がこの子を貰っても良いんだよね?」
「なにっ!?」
「だってそうだろう?仕えるご主人様が誰と恋愛関係になったって、臣下には関係ないよね?」
「・・・くっ」
不敵な笑みを浮かべる女性の自分。なまじ自分であるから彼女の言葉が、冗談と考えるのは些か
楽天的だろう。彼女も自分であるなら、有利に向ける感情も己と一緒のはずだ。

「ユーリv俺とイイコトしようか?」
にっこりを艶やかな笑みを、色気と共に目の前の少年王に向ければ、イイコト?と聞き返しながら、
有利の顔が瞬時に熟れたトマトなみに真っ赤になる。
「えっと、イイコトと、もうしますと?」
「ふふ、それはベットの中でのお楽しみかな?」

ぼふん!!

瞬時に沸いた有利の頭は、大人の女性のお色気にあてられて、沸点を超えてしまっている!

「べべべ、ベット!ということは、あの・・その・・」
ぐらぐらする頭で、それでも好奇心からか?有利はその先を彼女に聞こうとして・・

ぐい!!

あれ?っと、気がつけば、体を固い、それでいて安心感のあるものですっぽり包まれていた。
隣から伸びた二本の力強い腕に、その体を抱きこまれていると気がつくのに、十数秒を要した。

「コ、コンラッド?」
「ユーリに手を出すな」
「例え専属護衛でも、臣下が魔王の恋愛にまで口を出すものではないんじゃないかな?」
「うるさい!」
「でも、ユーリはその気があるみたいだよ、ネ?」
「え!?」
そうでしょ?と、顔を赤くした有利に、コンママは小首を傾げてみせる。可愛らしさを秘めた
その仕草に有利のハートが打ち抜かれた。

だだだ、だって、おれは思春期なんです。女性からのお誘いをコトなんてできねーー!

綺麗なお姉さんは好きですか?
もちろん大好きですーー!!(*ノд゚*)ノ))


しかも、彼女はコンラートなのだ。

「だめです!ユーリは渡しません!」
「それはユーリが決めることだ」
二人とも有利の事を譲らずに、舌戦はどんどん熾烈になってゆく。とうとう、彼女は席を立って
有利を奪おうと、その手を伸ばしてきた。それを、コンラートは体全体で避けると、視線だけで
相手を殺しそうな目をして叫んだ!



「だめです!このユーリは俺のだ!!」



すると、それまで執拗に手を伸ばしてきたコンママは、ニヤニヤと人の悪い笑みを浮かべている。
「ふ〜〜ん、俺のユーリ・ね〜?」
いいんじゃない?と、コンママは、ふわりと笑った。


「うわぁ!これって、プロポーズですか?」
手を叩くチビコンは、隣の姫コンに二人を指差して聞いている。

いや、チビコン、指差さないで、珍獣じゃないんだから?

「プロポーズというより、告白かな?」

そして、姫コン、真面目に答えるな!

「まったく、世話の焼ける。コンママよくやったね」

魔王后さま、それはどういう意味で?

「そりゃ、痴話げんかに巻き込まれるのは、コレが最後にしてもらいたいですからね?」
まったく、そんなに取られたくなかったら、素直にお付き合いすればいいのに・・。

って、コンママ?今のはわざと、うちのコンラッドを煽ったの?ってことは、あのお誘いも嘘?
チョット残念と思った瞬間、至近距離から殺気が!思わず目を上げると、不機嫌なコンラートの
琥珀と目が合った。

「ユーリ、今、残念とか思った?」
「え・・・えーーっと、まっさか〜!」
たはははっと、慌てて誤魔化すも、コンラートには、そんな嘘は通じないわけで――。

「ユーリ、俺よりも、あっちの女がいいの?」
淋しそうに微笑まれた有利は、思いっきり首を振る。

そそそ、そんなわけないよ!おれはいちばん、コンラッドが好きだ!!
ありがと、ユーリvv

ふふん (←鼻で哂ってみせるコンラート)

むかっ (←挑発とわかっていても腹が立つコンママ)


「はいはい、コンママも、コンラートもストップ!お互い自分何だから、戦闘になったら洒落に
なりませんよ?」

険悪になりかけたが、鶴の一声というか、魔王后様の一声で二人はどうにか矛を収めた。
にこにこと、穏やかに微笑む彼。数年とはいえ、年を重ねている上に、立場も魔王后として腕を
振るっているという。(主に、夫への叱咤激励と兄弟の操縦)何よりも愛されているという自信に
溢れた彼は、この中のどのコンラートよりも安定しているのだ。

姫コンは、自分もあんな風になりたいな〜と、なにやら魔王后さまを尊敬の目で見ている。
チビコンは、コンママが気に入ったようだ。自分もあんな風に、有利をリードしたい!とキラキラ
した目でコツを聞いている。

いや、そう育つのはどうよ?

有利は、一度だけ会った事のある、9歳の自分に向けて胸のうちで謝罪しておく。すいません、
君の可愛いコンラッドは、見た目を裏切って強かに生まれ変わりそうです。


「ユーリ、ほかの誰かを見てはダメです。」
ぐいっと、コンラート達を見ていたのを顔ごと彼に向けさせられる。その際、ぐぎっ!って軽く音が
したんですが?イテテテテ。

「ユーリは【俺】が好きですよね?」
ニッコ!と満面な笑みで至近距離で微笑まれたおれは、痛む首も忘れて すぐさま縦に首を振った!

わ〜〜わああ〜〜!こんなに近くでコンラッドのキラキラ光る目を見ちゃったよ!きれいだな〜。

「こここ、コンラッドも、おれがすき?」
「はい、もちろんです」
「こ、恋人としてだぞ?」
「えぇ、おれの恋人は貴方です」

コンラッドがすかさず応えてくれる!あぁ、夢じゃなかろうか?


「良かったね渋谷、とうとうくっついて」
「ほんと、やっとですね〜たいちょ」
村田とヨザックが、長かったな〜という意味も込めて、それでも喜んでくれて


「おめでとう、この世界の俺達も幸せになってくださいね」
魔王后さまが、一番に祝ってくれた。一足先に幸せに暮らしている人(未来)からの言葉に
おれたちは嬉しくなる。彼のように、さりげなく人の後ろから支えられる、そんな気遣いのできる人に
なりたいと思う。

「おめでとうございます」
姫コンが、眩しそうに二人を見て、祝いの言葉をくれた。彼自身は、向うの世界のおれと色々ある
ようなのに、まっすぐな言葉に嘘はない。あぁ、やっぱりこの人も、コンラッドだな〜と思った。
他人(?)の幸せを、自分の事のように喜べる、そんな人。あぁ、おれ達もそんな風に他人の喜びを
自分の物として喜べる、そんな素直な心を忘れないでいたい。

「おめでとうございます。ずっと仲良くしていてくださいね」
チビコンが、頬を染めて手を叩く。全身で嬉しいと表現するその無邪気さ。まっすぐな好きと言う
気持ち。子供ゆえの何にも縛られない最初の気持ち。彼はそれを思い出させてくれた。だからそれを
何時までも大切にして生きていきたい

「おめでとう。痴話げんかは程ほどに。迷惑は、ヨザとグウェンとヴォルフくらいにまでで止めて
おいてくれよ」
あはは、兄弟と幼馴染にはいいんだ?でもって、村田やアニシナさんは、やっぱりダメなんですね?
いたずらっ子みたいに、軽口を言うみたいにそんな事を言うのは、コンママだ。でも知っている、
憎まれ口にみせかけても、彼女の言葉は温かい。相手に負担をかけずに、相手の抱え込んだ想いを
推察して解決へと導いてくれる。そんな思慮深い思いやりが出来るように、おれ達もこれからの人生
を積み重ねていきたい。

「ありがとうございます」
と、コンラートは、照れながらも穏やかに微笑み有利を見た。その甘い想いを受け止めて有利も
微笑み返す。

「ありがとう皆!これでやっと、コンラッドが【おれのお嫁さん】に
なってくれるんだね!」



ピシーーッ!!

その瞬間、コンラートの笑顔に亀裂が走った!

「嫁?」
「うん?」
何?と、満面の笑みでふりあおぐ有利に、まだそんな事を!と、コンラートは苦い思いを抱いた。

「嫁・・って、俺がですか?」
「もちろん!」

「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「コンラッド?」
「ユーリが嫁(ボソッ)」
「へ?」
「譲れません」
「え?」
「婿に入っても構いませんが、花嫁はユーリです!」
「ええええぇぇぇぇ〜〜〜!」
「もちろん、ドレス着てくれますよねっっ!」

えっえっえっ?っと、あせっている有利に、どんどん畳み掛けてゆくコンラート!こうなったら、
口先三寸で丸め込んでしまおうというのだ!困った有利は、その視線を親友へとむけた。
困った時の大賢者さま頼みというところだ。

「あーー・・・、ウェラー卿?」
それに、仕方ないとばかりに、村田が口を開く。いつもなら、ここで彼が口を開けば、コンラートと
いえども、その意見を聞き入れなくてはならない為に、有利の希望も通るのだが・・・。

「素敵ですね、ユーリの花嫁姿。ふわふわのドレスなんて、ユーリの可憐さにぴったりですね♪」
と、村田の声を遮る形で、嬉々とした声を上げたのは、コンママである。両手を胸の前で組んで、
頬を染めて見つめるその姿は、可憐な乙女そのもの。

「真っ白なドレスもいいですが、やはり魔王なんですから黒も捨てがたいですね。あ、お色直しを
すればいいんですね!きっと、ジェニファーもドレスを選びたがるでしょうし、母やヴォルフも
選びたがるでしょうから、いっそ皆のを着てもらってもいいですよねっ」

夢見るように、ほわほわと微笑む姿に邪気は感じられない。だが騙されてはいけない。コレは男で、
ウェラー卿コンラートなのだ!!

「もちろん、猊下も考えてくださいますよね?猊下は、異世界の衣装に精通していますし、ユーリの
親友ですので、きっと彼に似合う衣装を用意できますよね?楽しみです、異世界の衣装は刺激的です
し♪」

刺激的――という言葉に、村田の頭に浮かんだのは、有利の黒髪の上に鎮座する猫耳とか、短めの
ゴスロリ風のドレスだとか?絶対領域とされる太ももの領域だとか、そんなものだったに違いない。

「そうだね〜、もちろんそんな事になったら、僕も協力しようじゃないか、なにせ親友だしね!」

「いやいや、親友ならばこの窮地を助けろよぉぉ!」
という、有利の叫びは、綺麗にスルーだ。

「なら、誰の衣装が一番似合うとか?投票してもらうとかイベント性を持たせるのはいかがです?」
「って、魔王后様ぁぁ〜〜?」
何故なぜ?貴方まで、参加しちゃうんですかー?貴方、向うの俺の嫁さんでしょー?

「イベントせい?」
それに、村田の眼鏡がきらりと光る、村田様の本気モードが発言の予感。

「ユーリは、貴族だけでの式よりも、民と共に楽しむことを好む王です。国民が参加できる催し物が
あれば、民が王との一体感を味わえますし、彼らも楽しめますね。投票は誰でも出来るようにして、
同時に誰が一番になるか?予想を立てるのも面白くないですか?そっちは、信用のできるものを
元締めとしてトトを仕掛けて(←この場合、もちろん村田だ)、その収益を運営費に当てれば、
結構な経費削減が見込めますし、ユーリは人気がありますから、観光客も見込めます。経済効果は
かなりあると思いますね」
魔王后として、国政を裏から支える彼は、国庫や経済面からも有意義な具体案を出してくる。

これは、有利が魔王である限り、そうそう抵抗できるものではない。しかも、ここには、政策に多大な
影響を及ぼす男、村田健がいる。あぁ、おれ、もうだめかも?と、有利は涙目になった。くすん(TT)

「そうだな、もしかたら収益の方が上がるかも・・」
あぁ〜〜、やっぱり、村田様がその気になってきている・・。

「服・・・一回着るだけでは、もったいないですよね?」
「ひ、姫コン!さすがだ、アンタだけはおれの味方なんだねっ!」
有利は、青年にむかってヘルプーー!と両手を伸ばした。

だが、姫コンは、有利のヘルプも聞こえていないらしい。ドレス一着で、村の食料が何ヶ月分
買えるんだろう?とか、でも生地や染で仕事が来れば、民の仕事が増えて暮らし向きが良くなるか?
とか、姫コンよ・・・アンタはどんな生活をしているんですかー?

いやいや、ここで姫コンが折角、突破口を用意してくれたんだ。さぁ、ここは自分でガンバだ!

「ほら、姫コンもこう言っているだろう?一回しか着ないドレスにお金をかけるなんて贅沢――」
「あ、そうか!終わってからも、使えばいいんだ!」
ポム!っと、手を叩いた姫コン・・あぁ、なんか嫌な予感がする。さっきも、助けてくれるかと思えば、
奈落のそこに突き落とされたのは記憶に新しい・・・。

「展示しましょう!ドレスの数々を!それで、どの工房が作ったとか?素材の産地とか、携わった
産地や工房を紹介すれば、それを見た観光客から話が広がって、彼らの次の仕事につながるかも
しれません!」
「なるほど、それはいい考えだね、そうなると、雇用も多少増えるし、いいかもしれないね」
あぁ、村田様の頭のそろばんが、高速で弾かれてゆく音が聞こえる・・。

「いいな〜。有利のドレス、可愛いだろうな〜v ねぇ、ユーリさん!僕の有利もドレス着て
くれるかな?」

ちびこーーーーん!
*:.。..。.:+・゚・*:.。.キラキラキラ.。.:+・゚・*:.。..。.:+・゚・っとした視線がまぶスィーです!
そ、そんな期待に満ちた目でおれを見ないでくれ!小さなコンラッドってば、可愛すぎです!
でもでも、ここでうんとか言ったら・・おれのドレス着用と嫁入りが決定してしまう!

おれは、おれは魔王なんだぞーーーー!!

「ユーリさん……僕じゃ、ムリ?」
「ぐぉっ!?」
∪´・ェ・`∪シューン とした、子犬が目の前にいる。なんだろう?この胸をえぐる罪悪感は?
って、なっにぃ!?うるうるんっと、小さなコンラートの瞳に水の膜が!!

「だっ大丈夫だって!君の有利もおれと同じ有利なんだし、きっとコンラッドの事が大好き
だって!」
「じゃあ、お嫁さんにきてくれるかな?」
「う・・・」
それは、っと言いよどんでいると――


じわあ〜〜〜∪ iェi ∪

ぎゃあああ!まてまて!


「行くに決まっているさ!お嫁さんだろうがお婿さんだろうが、コンラッドが望むとおりに!」
半ばヤケになって、有利は叫んだ!


もう、おれが泣きたいよぉぉ〜〜ぉ。゚(。>ω<。)゚。ピー


その台詞を有利が叫ぶと、コンラートが側にやってきて、小さな異世界の自分の前に膝をついて
目線を合わせる。

「そうだよ、君のユーリもきっと君のことが好きだよ。それにね、この世界の有利がお嫁さんに
きてくれるのが決まったから、そっちのユーリも着てくれる確率が上がったと思うよ。」
「確率?ですか?」
「うん、そう。この異世界といってもそう離れた世界じゃないみたいだし、平行世界同士で影響し
あっているはずだ。可能性というのは無限にある。その中で同じ選択をしない場合も多いよね?
でも、俺達は皆、ユーリと幸せになるという選択をしてきている。独りでも多くの俺が同じ選択を
すればするほど、幸せになるという可能性が強くなるのだと思う。だからね?この世界でのユーリが
『俺の花嫁になる』という選択をしたのだから、君の世界でも同じことが起こる可能性が強く
なるってこと」

わかるかな?

そう噛み砕いて説明するコンラートに、チビコンは大きく頷く。

「でも、最後は、君の頑張り次第かな?できるよね?」
「はい、もちろんあきらめません!アタックあるのみです!」
拳を天に掲げて宣誓する少年!大変っ、漢らしいです。
もう、おれってば泣けてくるよーー。(←色々な意味で)

「やだな〜坊ちゃん、感激のうれし泣きですかぁ〜?」
それに気がついたヨザックの茶々が憎らしい。覚えていろ自慢の筋肉が萎むような任務を
言い渡してやる!(←八つ当たり)

「よし、それでこそ俺だな」
「はい、僕も・・いいえ、俺も一日も早くユーリに綺麗な花嫁衣裳を着せることが出来るように、
精進していきます!」

そこだけ見ると、いい話っぽいんですが?おれ魔王なのに、意見はもう挟めないんですね?
ねぇ、おれってば、本当にこの国一番のエライヒトなんでしょうか?


「そうですね、こちらのコンラートさんの言うとおり、幸せになる努力をすることで、本当の望んだ
未来が手に入る可能性が強くなるんですね」
姫コンは、何かを心に受け取ったのか?いつも俯き加減だった顔をあげて、ほわりと笑った。

胸がきゅんきゅん!するーー!何このヒトォォ〜。なんだか、守ってあげたいって気になってしまう。

「ですね、俺も帰ったら、ユーリと仲良くします」

あぁ、貴方は頑張ってください。数少ない俺のお嫁さんなコンラッドナンデスカラーー!(←切実)

「俺も帰ったら、ユーリのドレスの衣装を決めようかな?」
コンママ・・貴方はあまり頑張らないでぇぇーー!でも、女性としては頑張って欲しい。上手くいけば、
ここのコンラッドも女性化・・・。

「俺は女性にはなりませんよ(ボソッ)」
ひぃぃーーなんで、おれの心の声が。

「渋谷、いい加減、心の声を口に出す癖、治しなよ〜〜」
親友が呆れたというため息を吐き出して、そこを指摘すると、ほへ?っと、間抜けな返事が返った。
だめだ、この魔王・・。

有利では、きっと一生、彼には敵うまい。村田はもはや、諦めの境地であった。
だって、色々な世界のコンラートがいるけど、どれも個性豊か(?)で、中々強かだ。どうやっても、
単純・・いや、素直な有利に、物事を斜めに足元をすくっていくような、そんな彼に勝てるわけが
ない、所詮は、自分達は普通の高校生(←とは、チョット違う)であり、100年熟成した捻くれた
精神の持ち主にそう対峙しきれる訳じゃ――

「猊下も4000年熟成発酵しているじゃないですかあ〜vv」

どげしっ!!!

「他人のモノローグに入ってくるな!」

「いやいや、村田、お前も心の内を話しちゃっているから、つーか、いくらグリ江ちゃんだからって
股間を蹴るのはまずいんじゃ?うずくまって動かないけど大丈夫?」

「大丈夫に決まっているだろう?こんなに筋肉だるまに覆われているんだもの」
「筋肉には覆われているかもしれないけど、だるまには覆われてないだろう?」

「ヨザ、跳ねろ・・」
「た、たいちょー、もうお婿にいけなぁい」
「嫁に行け。きっと猊下が貰ってくれる」
「あ、そっかーvv」

「貰わないからねっ!!」


「あぁ、猊下の結婚式は、2年くらいずらしてくださいね。観光客の良い呼び込みになりますから」
魔王后様・・村田まで、えさに使うんですね。
「ですよね、折角だから、お客さんは多い方がいいですよね」
姫コン、客は客でも、観光客だから・・・。

「結婚式か〜、ねぇ、こっちのコンラートさん?グレタにベールを持つ役をやらせたら、可愛い
ですよね!!」
あぁ、確かにグレタがやったら可愛いよね〜って、コンママ、あんた本当に母親業しているんだね?

「えぇ、いいですね。グレタの衣装も、俺達とあわせて作りましょう!グレタの可愛らしさが
際立つものを!」
「ふふ、貴方ならわかってくれると思いましたよ」
って、コンラッド。何さっきまで仲悪そうだったのに、固い握手なんてしているんだよ!

「ウェディングケーキも忘れないでくださいね。ユーリさん王様なんでしょう?きっと大きな
ケーキなんですねっ!苺かな?チョコかな?王様だからメロン?」
子供らしく、食い気にはしったね、チビコン。うん、小さな君が一番まともに見える。
でも、この国には、どれも『もどき』しかないんだよ。しかも色はキテレツな色彩だって知ったら
どうするんだろうか?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

しっかし、どんどん話が決まってゆく。流石は、全員コンラッドだ。同じ目標に向かっていく姿は、
見事な連携プレイだよ。なにせ ――――


魔王であるおれの意見なんて、ひっとつも通りゃしないじゃんかーーー!!


有利は改めて認識した。この国の一番えらいのは、確かに自分だろう?だが、この国最凶はおそらく
親友であり、この国最強のツワモノは?




ウェラー強(←!?)コンラートに、間違いないと!!






「でもユーリは、俺が好きですよね?」(←にっこり)
「はい、その通りです」(←がっくし)




2009年12月31日UP
あけましておめでとうございます。今年一番最初の小説は、コンラッドを口説こうシリーズです。
5人のコンラートでハーレムのつまりが、5人がかりで、あれよあれよというマに、花嫁にされて
みたいですね〜。男のロマンは破れたようですが、乙女の夢は叶ったんだからいいよね?魔王陛下v