2009 クリスマス小説
突撃となりの異次元!コンラート編






ハーレムって男のロマンだよな? (コンラッドを口説こうシリーズ)




くふふふv おれの手元には今、男のロマンをかなえてくれるアイテムが握られている。

うん?誰だ?大きな『しゃもじ』なんて言った奴は?これは、真っ白いご飯を茶碗に盛るもの
じゃないんだぞ!だったら、何を盛るかって?


だからさっきから言っているだろう?!男のロマンさーーー!!!


おれは先日、自分会議なるものを開いた。え?自分会議って何だって?それは、文字通り
このサイトの色々な世界のおれ達に集まってもらって、いかにコンラッドを口説くかという会議さ!
何?そんな馬鹿な会議をしていないで、執務を優先させろ?何言っているんだ!おれにとっては
最重要案件なんだぞ!・・・というか、グウェンは弟さんがおれに取られるのが嫌なだけじゃネ?
・・・・目を逸らした…図星かよ!このブラコンめ!!

まぁ、それは置いといてっと、おれはそこで重要なことを聞いてしまったんだ!

なんと、このシリーズ以外の世界には、

女の子のように愛らしい小さなコンラッド(年下の彼)や、
魔王后として良妻に納まっているコンラッド(堕ちて来い)や、
儚くも初々しい姫コンラッド(美女と野獣)
・・・そっして!!女性になれるコンラッド(今日からママのつく自由業)も
いるらしいのだぁああああ!!!


もっちろん!うちのコンラッド(コンラッドを口説こう)が一番良いさ!うんうん、そうだ。
例え、毎回好きだと言っても にこやかにスルーされようと、追いかければ さりげなーく執務室に
戻されて仕事漬けにされようと、最近はおれの気持ちを知って、手玉にとってイマセンカー?と、
言う気もしないでもなくともっっ!!おれのコンラッドが一番なのだ!
ええ、そうだよ。全然相手されてネーヨ!ぐすん、あ、目から汗が出てきちゃった(TT)。

だから、年に一度くらい良い夢を見てもいいはずだ!なにせ、今日はクリスマス〜♪この一年
頑張っていたいい子のおれには、プレゼントがあってもいいよね?
折角、アニシナさんがコレを貸してくれたんだし〜♪(←と、延々とぐずっていたら、憐れに
思った毒女がコレ(巨大しゃもじ)を貸してくれたもよう)

話は戻るが、このサイトの別シリーズには、色々なコンラッドがいるらしい。特に、見目麗しい
女性のコンラッドを見たいと思ちゃったりするのは、男の子の性だよね?だって、世界一の美女
だよ?世界一の美・女!!まっとうな思春期の少年Åと致しましては、気にならないわけが
ナイデスヨネー?



「ハイハイ、何を延々と自己弁護しているのさ。ほら、早くウェラー卿(女性)を呼び出しなよ?
お客さんも待っていることだし」
一人、巨大しゃもじを掲げて悦に入っていたのは、当代魔王陛下、渋谷有利である。
そこに、冷静かつ的確なツッコミを食らわしたのは、伝説の大賢者、有利の相方である村田健だ。

でもって?

「そうだ、早くしろヘナチョコ!」
「じらさないで、早く使ってみてくださいよ、坊ちゃんv」
「うむ」

少し離れた場所で、こちらをじっと見ているのが、わがままプーとお庭番と実はブラコンである
ツンデレ摂政閣下である。

「な〜?村田はともかく、何でお前らがいるの?」
じと〜〜〜っと、視線に邪魔者と言う非難を込めて言うと、途端に噛み付いてきたのは、プーこと
自称婚約者だ。

「なんだと?僕はお前の婚約者だぞ?お前が浮気をしようとするのを止めるのが、正式な伴侶たる
僕の役目だ」
「はいはーい!グリ江は、健ちゃんの護衛でーーす!これから猛獣達(?)が現れるのに、一人に
なんて出来ませんよ〜」
「いや、私は、折角別世界のコンラートが来るなら、国政の参考になる事を聞けたらと・・・ゴニョ
ゴニョ」


「まぁまぁ、いいじゃないか?観客がいたほうが盛り上がるだろう?さぁ、僕が君の魔力を増幅して
あげるから、さっさとやるよ?」
「あ、あぁ、わかった(イマイチ納得は出来ないけど)よし、行くぞ!!」

有利の肩に村田が手を置くと、有利は両手で巨大なしゃもじコト、『突撃!隣の異次元君!』を
掲げた。これは、見てくれこそ『しゃもじ』であるが、近しい世界へと、突撃訪問することが
出来るという、なんともすんばらしい魔道装置なのだ。ソレを応用して、前回は近しい世界の
自分達を呼んだのであったが、今度はソレをさらに応用して、コンラートを呼びつけようというのだ。
有利はかつて無いほど集中してしゃもじに魔力を注ぎ込む。(これくらい執務に集中してくれたらと、
某摂政は思ったそうだ)そして、二人の魔力が増大していき、しゃもじ・・いや、突撃隣の異次元君!
から、まばゆいばかりの光が溢れたのであった!!




「あれ?何だ、今の光は?」
「眩しい」
「いったい何が?」
「痛い・・・」


すると、今までいなかったはずの声がした。一つは女性の、二つは良く聞き覚えのある、
それでいて微妙に違う、そして最後の一つは、まだ幼い声であった。

やがて光が収まり、周りが見えるようになれば、そこには彼らの良く知る、それでいてまったく
知らない者が4人いた。共通するのは、薄茶の髪に琥珀の瞳、そしてその瞳には見間違えのない
世にも珍しい銀色の虹彩が輝いていた。

そう、その特徴を持つ人物は一人。彼らの護衛であり、兄弟であり、友人であり、ライバルである
ウェラー卿コンラートただ一人のはずだが・・・

今現在、魔王の部屋には、4人のコンラートがきょとんと驚いた顔して、そこにいたのであった!





「えっと、僕はコンラート・ウェラーですが?お姉さんとお兄さん達は・・もしかして僕の親戚
ですか?」

意外なことに、最初に驚愕から逃れたのは、一番小さなコンラートだった。未だ幼い風貌の彼は、
ざっと見、7〜9歳くらいに見える。子供故に、頭が柔軟なのだろう?それに、小首を傾げる様子が
なんとも愛らしい!それに、女の子?と思ってしまえるほど、可愛らしい容貌だ。

「いや、違うと思う、俺は血族は俺だけだって聞いていたし、それに俺もコンラート・ウェラー
なんだけど・・・(困惑)」
それを受けて困惑気味に答えたのは、少年の域を超えて、青年になったばかりという感じの
コンラートだ。なにやら、儚げな印象を受ける。もしかして、彼が姫コンラッドか?

「う〜ん、地球というかボストンになら血縁がいるはずだけど?でも、眞魔国ではウェラー卿
コンラートは、俺だけなんだけどな?ちなみに、俺はお姉さんじゃないよ?諸事情で母親をして
いるだけで、性別は男だからお兄さんかな?」
と、飄々と答えたのは、唯一の女性。しかも、見目麗しさは神々しいほど!彼が有利が一番
会いたかった大本命、世界一の美女であるコンラートだ。

「あの、俺も、ウェラー卿コンラートです。でも今は、結婚してコンラート・シブヤ・ウェラー
ですけど?やはり眞魔国でウェラー卿っていうと王配である俺だけのはず・・・コレは一体?」
ウェラー卿という言葉に反応したのは、真っ黒な軍服を着たコンラート。彼らの中では一番年上
らしい。そして名乗りからも、どうやら彼が異世界の魔王后らしい。その身につけている服が魔王と
近親者にのみ許された禁色である黒を纏っていることからも間違いはない。

4人のコンラートは、お互いに気がついて、呆然としつつも互いの認識をし始める。
これは、一体どうしたものか?どう見ても、自分らしき人間が他に三人いるのだ。世の中には、
自分と同じ顔があと3つあるというからそれか?という事にするには、無理があるほどに過ぎている。

と、そこに?

「やったあ!大成功!コンラッドが一杯だぁぁvv」

という、なんとも能天気な声が!4人はそこで初めて自分達の他に人がいることを知った。普段、人の
気配に鋭敏な彼にしては、認識が遅れたが、それだけ今の状況に混乱していたのだから仕方ない。


「「「「ユーリ!?」」」」

見事に揃った4つの声、あぁ、やっぱり彼らは自分らしい。(変なところで確信)
そこには、彼らが良く知る人物がいた。

「え?ユーリ?どうして、そんなに大きいの!?」と、叫んだのは、お子様コンラート。
「ユーリ、どうしたんですか?若返っていますよ!?」真逆の声を上げたのは、黒衣の青年。
「ユーリ??どうして、貴方が・・・」呆然と呟くのは、儚げな姫のようなコンラート。
「・・・・・・・・・・・・・・・う〜ん、なんか解かった気がする」と、言い知れぬ笑顔なのは、女性である
コンラートだ。

そして、さらにその向うには

「へぇ〜、本当にウェラー卿?なんか、こっちの彼とは微妙にちがうよね?」
「というか、健ちゃん、内二人は確実に違います」
「ななな、こ、ココココンラートに、僕の兄に胸が胸・・うわぁああああ!!」
「ち、小さいコンラートvvv」

色とりどり(?)のコンラートに、青くなったり赤くなったりせわしない外野陣までがいた。


「あれ?猊下まで若い?」と、黒衣の青年は、アレレ?と首を傾げ。
「ヨザ?お前、何しているんだ?」親友を見つけた青年は、ポカンと目を見開き。
「ヴォルフってば、同じ反応だな〜」と、一人なにやら気がついた風な女性は、クスリと笑い。

まぁ、ここまではいい。

「・・・お兄ちゃん達、誰ですか?」
見知っているようで違う人々に、コテンと小首を傾げて上目遣いで爆弾を落としたのは、小さな
お子様コンラートだった。


「「「「「お、お兄ちゃん!!??」」」」」

瞬間動いたのは、グウェンダルだった!元々、小さなコンラートが現れた時から、手がわしゃわしゃと
架空編み物をして危なげだったのだが、このお兄ちゃん萌え―(〃д〃)―゚.:。+゚発言で、ぶっちり
理性が切れたらしい。

「コココ、コンラート!お兄ちゃんでちゅよー!!!」
「うわああああ!!!」
がしっ!っと、お子様を捕まえると、ぎゅぎゅうっぅ〜〜っと抱きしめて、頬擦りという暴挙に
出たのだ!

「あ、ずっるーーい!グリ江も可愛いタイチョーをなでなでしたーーい!」
「え・もしかして、ヨザか?って、ぎゃああああ!!!」
そこに、お調子者のヨザックが、お子様を抱いたままのグウェンダルごと逞しい上腕二等筋にて
抱きしめた上に、反対の頬に擦り寄ったものだから、小さなコンラートからは、耐え難いという
ような悲鳴が上がった。

「あ、コラ!コンラッドは全部おれのだ!!」
「ずるいですよ兄上!僕だって、小さなコンラートを構いたいです!」
先を越されて、有利とヴォルフラムが二人をコンラートから引き剥がそうとする。

一人争奪戦には参加していない村田だが、
「お兄ちゃん・・いったい誰がこんな日を予想できただろう・よりによって、ウェラー卿で
『お兄ちゃん萌え』を体現できる日が来るなんて・・ブツブツ」
そうだな?グレタの服なら着せれるか?と、ドレスを調達に行きそうな彼も、十分危ない。


それに際して、同時に動いたのは、やはりというか、この御方たち。

「子供に何をしているんですか!?」
正義感に溢れる瞳で、真っ向から団子状になってお子様を取り合う4人の中に飛び込んだのは、
先程まで儚げな様子をみせていたコンラート。その視線には、か弱きものを助けようとする
確固たる意思が見えた。

「ユーリ!ヴォルフ!ヨザ!グウェン!その手を離しなさい!!」
毅然とした態度でそう命令を下したのは、黒衣の魔王后。その堂に入った態度に、思わず4人が
動きを止めた。そこへ飛び込んでいたコンラートが、小さな自分を助け出す。

「ふ、ふぇぇ〜〜ん」
泣き出した子供に手を差し伸べたのは、女性であるコンラート。その体を青年から受け取ると、
ソファーまでつれていき、膝に乗せて抱きしめる。トントンと優しく背中をなでる姿は、まさしく
聖母!

そして、最後に5番目のコンラートの声が、騒いでいた4人を凍らせた。

「おや?賑やかですねー?皆揃って悪だくみですか?俺にナイショで酷いな〜」

ぎっくん!!×4人

振り返りたくはないが、怖いもの見たさでついつい振り返った先には、外套を羽織ったままで、
いかにも外から今帰りましたという風情のコンラート。

もちろん、この世界の、正真正銘のコンラートだ。

「こ、コンラッドお帰り〜」
「はい、只今帰還いたしました『陛下』。」

「は、早かったなコンラート、疲れただろう、報告は明日で良いぞ」
「えぇ、『兄上』。『突然の視察』でしたからね?でも思ったより早く終わって、馬を飛ばして
きたんですが」

「そ、そうか、コンラート。だったら、風呂にでも入って身なりを整えてから来た方がよかっ・・」
「うん、俺もそうしようと思ったんですが『ビーレフェルト卿』、廊下に子供の悲鳴が聞こえたから、
何事かと思ってね?」

「あ、陛下たちの護衛は、グリ江がちゃーんとしていますから」
「お前は猊下の護衛だろう」

「あぁ、僕のことはお構いなく。渋谷と一緒にいるから、大丈夫」
「大丈夫でもなさそうですね?この・・俺が4人もいる状況が、『大丈夫なわけがない』
ですよねっ?」

「「「「うっっ!!」」」」


ことごとく言い訳を最後まで言わせずに、ばっさり切っていく様子に、女性がやんわりと微笑む。
成る程、どうやらここのコンラートは、『自分』に近いらしい。

「へぇ、どうやら彼がここのコンラートか?なんか懐かしいな」
それと、この黒衣の青年も。

逆に、小さなコンラートや年若い彼は、自分達と少し違う。新に現れた自分に戸惑っているし、
気配がまるっきり人間だ。特に、この腕の中にいる子供の自分は、間違いなく人間だろう。

「で?もちろん説明してくれますよねっ?どうして、俺が沢山いるのかな?うん?兄さん、ヴォルフ、
ユーリ?」

なお、ここで村田に聞かないのは、彼に聞けば色々とミスリードされた答えが出そうな気配がする
からでで、ヨザックに聞かないのは、煙にまくに決まっているので聞くだけ無駄だからだ。

「私は関係ないぞ(ボソ)」
「へぇ〜俺に・朝・突然・外の仕事を押し付けたのに?」
にっこし笑って、核心をえぐるコンラートにダメージを大きくした長兄の様子に、次に振られた
末弟は、つい素直に元凶を白状する。
「こ、これは、ユーリが!!」
「あ、こら、ヴォルフ!!」
慌てたのは、指差された元凶こと、有利陛下。

「では、陛下?これは、どういったことでしょう?」
わざわざ陛下に力を入れて言い放った男に、有利は状況を忘れてぷくーーっと脹れた。

「おや、だんまりですか?」

ずももももっぉぉ〜〜〜っと、コンラートの笑顔の後ろに何かが見えた。

「ひぃ!ごめんなさい!!」
涙ぐむ魔王。ちょっちなさけない。


「ほら、だって、クリスマスだろう?」
「眞魔国にクリスマスはありません」

ザックリ言葉の袈裟懸けに切られた有利は、ううっと胸を押えてよろめいた。

「魔王のおれがクリスマスって言ったらクリスマスなの!クリスマスといえば、サンタさんがいい子に
プレゼントをしてくれるんだぞ?」
「ほう、サンタがね〜?」
「おう!だから、コレ貰ったんだ!突撃となりの異次元君!」
「それは魔道具・・くれたのは、サンタではないのでは?」
「サンタだ!だって、赤い服着ていたからなっ!」

―― それは、きっと赤い悪魔だろう?

「ユーリ、それで、サンタにそれをねだって何をする気ですか?」
「え〜〜//// それはさぁ〜、男のロマン何だよ」
「男のロマン???」


かくかくじかじかと、有利は自分会議をおこなって、そこで色々な世界のコンラートがいることを
知った事を話した。

それで、会ってみたくなり真っ赤な衣装を着たサンタ(アニシナ)に頼み込んで平行世界にいると
いう

有利の妻だというコンラートと 「それは、俺です」ハイっと黒衣の青年が答え
女性だというコンラートと 「否、俺、男ですけど?」どう見ても美女が首を振り、
恋人だというコンラートと 「それは俺でしょうか?でも、恋人では・・」青年が控えめに小さな声
で俯き
年下だというコンラートを 「僕のことですか?」きょとんとしたお子様が赤い目を見上げる。

あってみたかったから呼び寄せた・・と??

「だって、クリスマスにはサンタさんがイイ子にプレゼントをくれるんだぞ!」
何故か胸を張って、再び主張する有利に、この世界のコンラートは軽く眩暈がする。

「ユーリ、この国の成人は16歳です。よって、ユーリはサンタさんの範囲外ですよね?」
「ええーーー!!ケチ」
「ほぉ?」
「あ、ごめんなさい」
「で?集めてどうするつもりだったんですか?」

なにか、嫌な予感がするな〜とおもいつつ、コンラートが質問を続けると、有利の瞳がキラキラ輝く。

あぁ、かわいいな〜、可愛いけど、このような目つきをした有利は、たいがい突拍子もない事を
思いつくのだ。願わくば、ただの好奇心で集めた事にして(←それもどうかと思うが)、すぐに
彼らを元の世界に戻してくれることを願うコンラートであった。

だが、親の心 子知らず とは、よく言ったもので、有利はえっへん!と胸を張って、高らかに
宣言した!

「もちろん!男のロマンだよ!コンラッドでハーレム状態を満喫するんだぁぁぁああ!!」

・・・・・あぁ、やっぱり、ろくな事を考えてなかった・・・。

コンラートは遠い目をして、あまりの事に意識を飛ばしかけた。

「渋谷、それを堂々と本人達の前で言っちゃダメだろう?」
「さすがです、坊ちゃん・・・コンラッドのこととなると後先を考えませんね〜」
コレには流石に、大賢者様もフォローの仕様がなく・・その護衛はといえば、面白そうにしている。

「小僧…お前は、王としてもう少し言い方をだな・・」
摂政閣下が、眉間の皺を深くして、深いため息をつく。
「この尻軽め!!僕という婚約者がいながら、コンラートに色目を使っただけでは飽き足らず、
他の男(?)にまで!その上、こんな子供にまで手を出そうなどと!この『ろりこん』めーーー!!!」
「いや、ビーレフェルト卿、この場合は『ショタコン』なんじゃないかな?」
真っ赤になって怒る美少年に、村田が無駄に要らないフォローというか、知識を入れる。ロリコンの
知識の出所も、多分彼であろう?


「まったく、貴方は・・・」
コンラートが、説教を始めようとすると、どこからともなく『シュン!』と、空気を裂く音がして、
ビシーーーィィ!!と、筋肉だるまを叩く音がした。その際、いったああーーい!と、どこか嬉し
そうな声がしたのは無視だ!!

そして、筋肉を打った物の出所を視線で追った彼らが見たものは、金色の鞭を操る女王様・・ではなく、
すんばらしく怒った女性であった。

「ハーーレム?そんな馬鹿な考えで、俺達をこんな所に呼び出したと?まったく、しばきますよ?」
「って、たいちょーー!もう、グリ江をしばいてから言わないでーーー!!」
「うれしそうだったくせに」
「えーーvv」

このやり取り、まさしく彼女もコンラートで間違いは無いらしい。

「ヨザ・・・コレは本当にヨザックか?」
「あ、お兄さんの所のヨザックも違うの、僕の所のヨザックも、ここまで変じゃないです」
「あぁ、俺の親友も、もう少しまともなような・・・」
あまりのヨザックの姿に、二人のコンラートが困惑している。

と、そこに黒衣の青年も参戦した。腰の剣には触れず、スッと体術の構えを取る。その隙のなさに、
困惑していた年少者の二人も息を呑む。子供であるコンラートから見ても、その構えは自然体で
美しい。まして、もう一人の青年は、傭兵を生業としている以上、人の力量を計る事には些かの
自信があった。この二人・・強い!!

「俺は、貴方のハーレムなんてイヤです。なぜなら、貴方は俺の夫ではない」
「そう、同じユーリだとしても、君は俺の主ではない」

すると、青年の腕の中にいる小さなコンラートも言う。
「僕のユーリでもないです。ユーリは、人の嫌がることをしません」
「そうだな、ユーリは、優しいこだから・・・」
脳裏に彼の世界の有利を思い浮かべたのだろう?共にいる青年もそう応じた。

その言葉が、グサグサっと有利の良心に突き刺さる。

「ですから、俺達を元の世界に帰してくれないなら?」
にっこりと、艶やかな笑みをのせた女性が鞭をかざして、ずいっと一歩前に出て。

「・・・・しばく!」
同じく にっこりと、黒衣の魔王后様がその背中を預かる形で構えた。


二人の背後に、ずももももぉぉおおおぉぉ〜〜っと、黒いナニかが渦巻くのが見えた
ような気がした!あぁ、やっぱり、この人たちもコンラッドなのか。有利は言い知れぬ
身の危険を感じながら、己の浅慮を悟った。

そもそも、この世界のコンラートだけでも、手に負えていないのだ。それが4人も増えた日には、
有利にどうこうできるわけがなかったのだ。それに気がついても後の祭り、ウェラー卿コンラートは、
どこまでいってもウェラー卿コンラートであることをしみじみと身に染みた有利は、がばりと床に
手をつくと――


「う…うわーーーん!!!ごめんなさーーい!」


もう、ハーレムとか言いませぇぇん!!!



誠心誠意全力で謝罪した。いわゆる、土下座である。その誠意が通じたのか?コンラート達は、
ひとまず戦闘態勢を解いてくれた。


その後、魔力のないコンラート達を元の世界に戻すのに、有利の魔力が不足しているために
暫くの間、コンラート達は血盟城に滞在することになった。

右を見ても左を見ても前も後ろもコンラートだというのに、念願が叶った魔王陛下の顔色は、
どこまでも青白かったという。

やはり、赤い服は着ていても、彼女から物を貰うべきではないと、有利はしっかりと反省したのであった。









2009年12月29日UP
同じ赤でも、サンタさんとはちがうようです。赤い悪魔のプレゼント〜は、注意一秒怪我一生?