コンラッドを口説こう
St.Valentine's Day編 前編




バンアレンタイ・・あぁ、星の自転により、外核の中にある鉄の流れが強い電流が生み、磁場ができるって
奴ですね?宇宙まで達して繭の形をした磁気圏を形成して太陽風から地球を守っているでしたよね。
赤道上空を中心に、地球をドーナツ状にとりまく、高エネルギーの粒子が多量に存在している領域で、
放射線帯ともいいますね。

「へ〜〜そうなんだぁ〜〜コンラッドって物知り〜って!ちがう!!」

ちがうんですか?

きょとんと首をかしげる様子は、どうやらワザとではないらしい。

St.Valentine's Day 

チョコレートを贈って、愛の告白をしちゃう日である!
去年までは、お袋からの義理チョコぐらいで、おれとは関係の無い日ではあったが、今年は違う!
なんたって今年は、おれには コンラッド がいるもんねっ!☆゚+。(`・ェ´・+。)bチッチッチ


あぁ、そっち?確か、花やケーキ、カードなど贈り物を、恋人やお世話になった人に贈る日でしたよね?

「あれ??」
「ん?なんです?」

今度は有利が首を傾げたが、いやいやっと、ごまかすと、有利は親友の下にと駆け込んだ。



「そうだよ、欧米だと恋人や友達、家族などがお互いにカードや花束、お菓子などを贈りあう日だよ。 」
「えぇ〜〜!?チョコじゃないの?」
「う〜〜ん、チョコも贈るけれど、日本みたいに女性から男性へとチョコを贈る日ではないよ。」

が――(((゚Д゚;)))―― ん!!!

「こ・・今年こそは、本命チョコレートがもらえると思ったのに・・・。」
「あぁ、ウェラー卿ね? ・・くれるの?」(←素朴な質問)
「え?くれないの?」(←もらえないと思っていなかったらしい)

「いや、僕、ウェラー卿じゃないから・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・くれないかな・・?(o´_`o)ハァ・・・ 」

みるからに、しょぼ〜〜んと、項垂れた魔王陛下に、さすがに悪いと思ったらしい大賢者猊下。
「だったらさ〜、君がウェラー卿にチョコをあげたら?」
「それ、おかしくない?」
「いいんだよ、どっちがあげても・・といういか、むしろ本当は君があげるべきだよね?」

そう、本来、口説いているのは有利なのだから、有利から渡すのが本当だろう。
「そっか!そうだよな・・でもって、ホワイトデーに・・・。」



「ユーリ、ヴァレンタインのお返し受け取ってくれる?」
「え、本当?うれしいな!」
そういって、有利は手を出した。

「あの・・・ちょっと恥ずかしいんで、向こうむいていてくださいね?」
「なに?いいけれど?」

後ろを向くと、カチャカチャと小さな音がして、パサリと何かが落ちる音がした。

「あの・・いいですよ・・。」
そういわれて振り向けば?首にリボンを巻いたコンラートが、シーツをまとって立っていた。

「コ・・コンラッド・・もしかして・・アンタをおれにくれるの?」
コクンと頷く彼・・・。

有利はそっと彼に近づくと、シーツを握りしめる手にそっと自分の手を重ねた。そして、その手を
外させると、ユーリはシーツを彼の体から取り去ったのだ。



なーーんちゃって!?お返しに、コンラッドを貰っちゃったりして?いや〜どうしよう?
バシバシと、村田の背中を叩く有利に、村田もげっそりする。

「そんなこと、(絶対に)有り得ないから安心しなよ・・・。」
ぼそ・・っと、いってみたが、有利には、聞こえてないらしい。



と・・なると、必要なのは、チョコレートである。

「ちょこっと、作りかた教えてくれよ?」
「きみ、何気にウェラー卿の影響ウケテイルね・・・。」

まぁ、有利の親父ギャグはおいといて、チョコを一から作るのは無理。だから、板チョコなどを
溶かして材料にするとのこと。


「・・・・・チョコがないじゃん。」
「うん、だから、作るなら戻らないと、美子さんに手伝ってもらうのが一番良いと思うよ?」
「え〜〜。」
「渋谷君、テンパリングってしっている?」
「てんぱ??」
「うん、溶かして固めるだけの簡単チョコ作りでも必要な工程だから・・・それも解らないんじゃ
手伝ってもらったほうがいいよ?」

どうせあげるなら、ウェラー卿に喜んでもらえるほうが良いだろう?

「コンラッドが喜んでくれる・・・。」
とたんに ぽわ〜〜〜んっ と、夢見る少女の表情になった有利・・・でも、その頭の中は、
親父くさい妄想を飛ばしているのだろうケド・・・。

「わかった!ちょっと恥ずかしいけど、コンラッドが喜んでくれるなら、おれはお袋の羞恥攻撃も
たえてみせるぜぇぇーーー!」

そうときまったら、帰るぞ!

「え!ちょっと??」

ぐいっと、村田を引っ張り込んだ有利は、そのままスタァツァして、行ったのであった!



「え?陛下が帰られた?何で突然?」
眞王廟からの知らせに、コンラートは目をむいた。先程まで、楽しそうにコンラートの周りで
おしゃべりをしていたというのに?一体、どうしたのであろう?


「あんれ〜?陛下が帰ったってことは、もしかして猊下も帰ちゃったんですかぁ?」
おかしいな〜?といいながら、現れたのは幼馴染のヨザックだ。

「俺は、お前がおかしいと言いたい・・。」
ヨザックの本日の格好は、豹柄のフリフリワンピに黒いヒラヒラのエプロン・・イチゴの
ワンポイント付である。

「まぁ、このグリエのセンスが解らないなんて、たいちょーったら、おこちゃま〜!って、あっぶねー!」
ヨザックは間一髪でコンラートの剣から逃げた。
「そうやって、すぐに剣に訴えるのはやめてくださいよぉ〜!」
「だったら、お前こそ!その変な女装をやめろっ!」

いいのよ〜、だって、グリエっちゃばぁ〜健ちゃんに『バレンタインチョコ』を作っているんですもの〜。
心は恋する乙女なのよ〜♥ ♥


「ばれたんたいんちょこ??」

なんで、Valentine's Dayと、chocolateに何の関係が?

「あれ?隊長、地球にいたんですよね?バレンタインチョコ知らないんですか?」
「俺がいた所と、ユーリが生まれた地域は習慣が違うんだ。」
「そうなんですか?ばれんたいんでーには、すきなひとにチョコを贈るって聞きましたけど?」
「・・・St.Valentine's Dayにか?確かに恋人達の日でもあるが、家族やお世話になった人にも、
贈り物を贈るが・・大体はカードや花束であって、チョコを必ず贈ると言うものでは、なかったぞ?」
「そうなんですか?日本では、義理チョコといって、お世話になった人たちに渡すチョコもあるそう
ですが、主に女性から好きな男性にチョコを贈って、告白する日だと聞きましたよ?」
「へ〜〜、日本だとそうなのか?」

コンラートが、文化の違いに感心していると。

ところで、コンラッド?お前さん、陛下にチョコをあげないのか?

「え?」
「あれ・あの坊ちゃんの事だから、きっとアンタからのチョコを楽しみにしていると思ったけどな?」

そういわれてみれば、バレンタインの話をされたような?

「一応、あげたほうが良いと思うぞ、あの陛下なら、絶対に欲しがるだろうし、もらえなかったら、
ショックうけそうだしな〜?」


「・・・・・・・それで、あげた場合・・おれはどうなる?」
「・・あ・・。」

そういえば、あの陛下はこの男の貞操を狙っていたんだっけ?

「う〜〜ん、全力でごまかせ?」
「・・・心強い言葉をありがとうよ・・。」


でも、確かに渡さないと コト だ・・。ユーリをがっかりさせるのは、いま一つ心苦しいし。

「作るなら、チョコわけてやるぞ?」
どうする?と、なおも聞かれて、コンラートは、しばし逡巡した後、分けてもらうことにした。





まぁ!ゆーちゃん!ゆーちゃんが本命チョコを作るなんて、とうとう春なのね〜!相手は誰?
え・あの名付け親さん?いやん、あのキラキラしたコンラッドさんが、私の息子になるのねvv

なにぃ!こ・・こんらっどだと?アイツめ、うちの次男坊に手を出しやがって!

あははは、大丈夫ですよ。手は出されてないですから、というか、彼・・お宅の次男坊から
全力で逃げている節がありますし・・・

なに?コンラッドめ、うちのゆーちゃんの何が不満なんだーー!

「もう、親父はうるさいな!黙っていてくれよ、このチョコ作りには、おれの一生がかかっているん
だからな!でね?お袋?チョコを渡して、プロポーズするんだからおれでも作れて、おいしいやつ!
おしえてお願い!!」

「もう、まかせてゆーちゃん!ママがみつくろって、おしえてあげる!」
「サンキュ!お袋!ふっふっふ、待っているコンラッドーー!おれのチョコを受け取ったときが
年貢の納め時だぜぇー!」


かならず、おれの嫁さんにしちゃうもんねーーー!!!

わっはっはっはっは!!



高笑いする息子をみて、こそっと勝馬は、村田に耳打ちをしてきた。

「ねぇ、村田君?もしかして、ゆーちゃんは?」
「あぁ、気がついちゃいました?そうなんです、オタクの息子さんは、80以上年上の軍人さんを
日々お嫁さんにしようと、たゆまぬ努力をしているんですが・・・。」
「え?ゆーちゃんが、コンラッドを押し倒そうとしているの?なんて無謀なっ!?」
「えぇ、相手は百戦錬磨・・国一番のモテ男ですからね・・今は上手く彼が逃げてくれていますよ。」

ですが、有利君は魔王ですし、そういつまでも彼が逃げ切れるかどうか?

・・・うううう、すまんコンラッド・・・うちの息子が迷惑かけて・・。


「さぁ、チョコでコンラッドをゲットだぜぇぇーーー!」
「きゃぁー、ゆーちゃんすてきーー!」

息子と妻のはしゃぎように、思わず昔なじみに思いっきり謝りたくなった勝馬であった。





たっだいま〜!

元気よく魔王陛下が、庭の噴水から帰還された。この寒空に、何で噴水かといえば?
当然チョコレートが風呂で溶けるのが嫌だったからだ!

なにせ、このチョコには、おれの一生が かかっているんだぁーー!!

「だからって、僕を巻き込まないでよっ!」

今回とばっちりを喰らった大賢者様は、大変ご機嫌が麗しくない。それはそうだ、2月半ばに
噴水から外気に触れて体は段々凍えてゆく、何が哀しくって、血盟城で凍死をしなくてはならないのだっ?


それもこれも、この脳筋族魔王のせいだ!!


「うわぁ!健ちゃん、何処から出てくるんですか!風呂だ風呂!すぐにお連れしますからっ!」
ヨザックが濡れるのも構わずに、バシャバシャと噴水に突っ込んでくると、村田を抱きかかえて
一目散に魔王風呂へと突進していった。・・ちなみに、魔王は置き去りだ。

「・・・なんか、おれの扱いわるくね?」
「自業自得です陛下・・。」
ふわりとバスタオルがかけられて、噴水から出される。


エート・・?すっごく怒っていますね?名付け親?


コンラートは、同じくユーリを抱えると、魔王風呂に直行する。そして、ぽいっと!何と魔王陛下を
風呂に投げ込んだぁ!?

え?

バッシャーーーン!!
「ぎゃぁぁ!チョコレートがぁ!?」
ユーリは慌てて風呂から飛びだすと、持っていたビニール袋を脱衣所に置く・・どうやら、セーフらしい。

「もう、折角チョコを作ってきたのに、溶けたらどうするんだっ!?」
「チョコより、御身を大切にしてください!」

怒鳴り返されて、ユーリはたじろく。

「しかも、猊下まで噴水から出すなんて何を考えているんです!?あんな、氷が張っている中から
出てくるなんて、いくらここが血盟城の中でも自殺行為です!こんなに唇を紫にして!貴方は、御自分の
立場がわかってらっしゃるんですか!?」

怒髪天を抜く・・とは、まさにこのことだ。

本気で怒っている・・

ユーリは急に、しゅんっと項垂れた。そのユーリに近付くと、コンラートが服を脱がす。
有利は逆らう事もなく、素直に脱がされると、そのまま風呂に浸かった。

「ご無礼しいたしました、陛下。」

コンラートは一礼すると、そのまま出て行ってしまった。

「コンラッド・・・。」

「しーぶや、これは君が悪いんだから。」
「そうですよ、このことに関して言えば、コンラッドのほうが正しいです。たかがチョコ一つで
あんな所から出てこないでください。どんなに大事なチョコでも、陛下と猊下の命にはかえられません。」


今回は、ヨザックもかなり怒っているようだ。


それはそうだろう?彼の愛しの猊下まで巻添えを食らったのだ。二人揃って、噴水から震えて
出てきたのを見たとき、コンラッドとヨザックは、心底肝が冷えたのであった!

「もう・・あんなこと、絶対にしないでください・・」
「ご・・ごめんなさい!ヨザック。」
「コンラッドにも、ちゃんと謝るんですよ?アイツ、陛下にチョコを用意してくれていたんですから。」
「へ・・?・・コンラッドが・・。」
「まぁ、アレだけ怒っていますから、くれないかもしれませんが・・。」


がぁぁぁあーーーーーん!il||li (OдO`) il||li


その一言は、なによりも堪えたか?

ふらり・・フラ〜〜〜・・・・ぱしゃん!!!

「あれ、渋谷?おい、有利?」
「え?ぼっちゃん?ちょっと、もしもーーし!?」

有利はその場で・・・ショックから気絶した。






2月9日UP
14日はバレンタインですね。最近では、お中元みたいな感覚なのですね?友チョコなんて
そんな感じ?どうみても、自分で買ってゆく女性がターゲット??という、かわいらしいものも
多いですね。チョコは手作り派・・何故ならいっぱい食べれるから!この時点で、私は乙女の
イベント参加権利はないような?^^;だってーー、おいしいチョコ材料がこの時期じゃないと
出ないんだもん!!有利の方が乙女よねー?