今日も元気だ!コンラッドを口説こう!




ちょいと思いついた話し



コンラッドーーー!今日も美人だね〜!



廊下の向こうに、愛しい専属護衛を見つけた陛下は、ブンブンと手を振ると、いそいそと
彼の側まで寄って来た。さっきまで執務で、彼とは別れ別れになっていたのだ。
だいたい、98分ほど・・後2分で100分だ!

「三桁なんて、コンラッド不足で泣いちゃうぞ!」
そういって、目を潤まして上目遣いで可愛い物好きの摂政から、休憩をもぎ取ってきたの
であった。ぱふん!と、その胸に飛び込むと、思いっきり98分ぶりの彼の匂いを吸い込む。


「あははは、ユーリこそ、この世界では絶世の美人ですよ!」
「げぇっぇ!!ありえねーー!アンタラの趣味はマニアックだぁ!」
心底嫌そうに、有利の眉間にしわがよる。

「名付け親に手を出そうなんて考える貴方の趣味ほどではありませんよ〜?」
そういうと、ぺちり!と抱きついていると見せかけて、自分のお尻付近を彷徨う
悪戯な手を叩く。

「そう?コンラッドみたいな美人だったら、普通男は思うものだぞ!」
叩かれた手を恨みがましく、さする有利陛下には、それでも懲りずに、コンラートを
口説こうと言い募る。が!・・相手はルッテンベルクの獅子の異名を持つ男。そう
簡単には、口説かれてなんてくれない。

「それは、ユーリみたいに可愛らしい人ならわかりますが?」
「男に可愛い言うなー!」 
条件反射で、抗議するとーー

「男に美人って言わないでくださいね。」 
にっこりv と、笑顔で撃沈された。


その笑顔に、ただならぬ気配を感じた有利は、ちょっとしまったかも?と、うん臭い笑顔を(←惚れ
ている割には正直な陛下)振りまく男を上目遣いで窺った。

「・・・・・うゅ、ごめん怒っている?」
「えぇ!」
力いっぱい笑顔で肯定されてしまった!?

「えぇ!?そこは、そうでもないですよとか言うんじゃないのぉ?」
「だって、怒ってますから。」

キュラキュラキュララァァ〜*:..。o○☆゚+。*゚¨゚゚


う、似非紳士な笑顔がまぶすぃーーー!・゚・(。>ω<)・゚


「うひゃ・・え?マジ?そんなに嫌だった?」
すっかり、飼い主の怒られた仔犬のようにしゅんとなって俯いた主に、コンラートはそろそろ
許してやるか(←主よりえらい護衛氏?)と、ぽんっと、頭に手を置くと、その至高の漆黒の髪を
すいた。その優しい手の動きに、項垂れていた陛下が顔を上げた。

「クス・・ッ・・いえ、冗談ですよ、そんなでもありません。」

・・そんなでもって・・ははッ・・ちょっと怒っているんデスネ、コンラッドさん。


そりゃどーも、と答えたけれども、何とも言えない気分の有利さん。

「あ〜あ、何か良い口説き文句ないかな?」
毎日、いや会うたびに口説いているというのに、この男は全然有利になびいてくれないのだ。
さすがに、めげない有利もめげそうになる。

「有りますよ。」
「えっ!!ほんと、何々??」

すると、当人から有り難いお言葉が!思わず食いつく有利!

教えて!教えて!
わくわくと、希望に目を輝かす有利に、護衛の男はにっこりと最上級の笑顔と共に
その言葉を教えてくれた

「ユーリが、『俺の事スキニシテって』言ってくれたら、くらりと来るかも?」
その笑顔に、くらり〜と見惚れれていた有利は、言われるままに言葉を口にしようとした。

「あ〜、そんなんでいいの?コンラッド、おれの事スキニ・・・あれ?」
が、寸前のところで、その台詞がおかしい事に気付く。そろり・・と、護衛を見上げれば
そこにはまぶしい笑顔の彼・・・が・・・・?

「はい?」
だが、この男を好きになって一年ちょいと・・流石にその笑顔の裏が読めるようになってきた
有利は、恐る恐るきいた。

「スキニシテって言った場合、おれはどうなるの?」
「もちろん、俺にすきにされます。」

きっぱり♥

「え・・・・って、それは具体的に?」

そろり・・・

なんとなく、後退しはじめる有利陛下。その肩を、ガシッと掴んだ護衛の顔が間近にせまった。

「具体的にデスカ?う〜〜ん?此処では言いにくいな、ちょっと、俺の部屋まで行きましょうか?」
にっこり♥

サァァァーーーー と、有利陛下の顔から血の気が引く!


「いやいやいや!それはちょっと、貞操の危機を感じるというか?」

必死に言い訳するも

「俺なんて毎日感じていますよ、貴方に。」

と、返されては、日々狙っている身としては言い返せない!

俺様ピーーーンチ!!!

「えぇだって、それは・・あははは、あ〜〜ぁ!ソウダ 執務!執務がアリマシタ!」

ではまた!と、いうと、一目散に逃げ出す魔王陛下!


どひゅ〜〜〜ん!!!!!
野球小僧の足は、それなりに速かった。見る見るうちに廊下の角を曲がっていなくなってしまう。


「あ〜〜ぁ、あんなに急いで逃げちゃって、ホント、ユーリは可愛いなv」
後に残されたのは、くすくすと楽しげに笑う、悪い大人が一人。


だって、愛しい自分の主が、毎日ただの護衛である自分を、口説いてくれるのだ。

「楽しまないって手はなよね?」


さて、次に顔を合わせた時は、どんな風に口説いてくれるのだろうか?

「でも、とりあえずは、執務に戻った陛下に、美味しい差し入れを作ってあげようかな?」


そうだな、自分の存在不足で主が泣くという、100分後に・・・。








その前に行ってやれよ・・と、思ったのですが、うちのちょいと黒くなってきた次男なら、
ジャスト100分後に、ちょっと有利が泣き始めたころ、お菓子を持って登場しそうです。
有利の大好きな次男が、有利の好きなお菓子を作ってきてくれたら、好きの2乗で、
ゆーちゃん大感激でしょうね〜。で、余計に次男にほれ込むのです。計算だな・・次男。