好きにして ♥ |
「コココ、コンラッド!俺のこと好きにしていいぞ っ!」
― よっし、言ったぁぁーー!おれ様偉いぞ!! 「・・・??・・・ユーリ?それは一体なんでですか??」 「・・・・・・・・・・・。」 「????。」 「マジで?」 「・・・はい?」 きょとり・・・と、自分を見るコンラートの顔は、いつも通りの好青年だ。 おかしいい?ヨザックに聞いたら、そう言えば、慣れているコンラッドの方でリードしてくれるから、 おれは全部彼に任せて、言われるままにすればいいって・・・・なのに、何で不思議そうな顔をされるの? 「あの〜?ユーリ、今日は何かあるの?」 「・・・え??いや、その!な・・なんでもない!あ、おれ、ちょっと・・・・グリエちゃんを探してくる!」 「あ・・待ってユーリ、一人では!?」 どっぴゅーーーん!!と、健脚な魔王陛下は、コンラートの部屋から飛び出した。 ハテ?今のは 何だったのだろう?自室で執務をしていたコンラートを訪ねてきたのだから、当然コンラートに 用事があるはずだった。なのに、有利はヨザックを探し出て行ってしまった。 「むーーーーぅ。」 なにやら面白くはない。とりあえず、コンラートは一人で出て行ってしまった魔王陛下を探しにでたのだった。 いくら、血盟城の中だとはいえ、魔王が一人で出歩くのは危険だ。 だが、中庭にて別の双黒を発見。 「猊下、もしかしてお一人ですか?」 「あ、やっほー!ウェラー卿。」 ヤッホーではない、なんで陛下といい・・こうも 御一人で歩かれるのだ?と、そのフットワークの軽い双黒達に くらっと眩暈がした。 「猊下、陛下にも毎回言っているのですが?」 「あぁ、一人で出歩くな?それなんだけどね〜?さっきまで、ヨザと二人だったんだよ。そこに急に 渋谷が来て、ヨザを連れて行っちゃって・・・で、僕一人になったという・わ・け?」 不可抗力って、解かってくれたかな?と、肩をすくめて見せる大賢者様に、あぁ!と、納得したコンラート。 「陛下の仕業でしたか?・・・すみません、今日は別行動でしたので、捕獲しそこなってしまい、猊下にまで ご迷惑をおかけしました。」 「捕獲って・・・渋谷は、マングースか?タイワンリスかい?」 「どちらかというと、リスではないでしょうか?夜中にお菓子を隠して食べている姿などは、まさしく リスのような?」 「・・・・渋谷(汗)」 コンラートが、幼馴染の変わりに つかの間の護衛を申し出ると、それよりもどうにかして もらいたい緊急事態があるという。 「緊急事態?それはいったい?」 「実は・・・。」 やけに深刻な顔をするものだから、コンラートも 何かと気を引き締めてみれば? 「グリ江ちゃんを連れて行かれちゃったんで、おやつ抜きになっちゃったんだよ〜。どうにかしてくれない? ウェラー卿ぉ〜〜。僕、お昼抜いちゃってさ〜もうだめ!」 いかにも、おなかが減りましたと、がっくり肩を落とす村田に、彼も食べ盛りの少年であることを思い出す。 「クスクス・・・何かと思えば?了解いたしました。それで、今日はどんなものをご所望ですか?」 「うーーん、そうだな〜、今日は午前中は図書館で調べ物をしていたし〜甘いのが欲しいな〜。」 「そうですか?わかりました。では、少しお待ちください。テラスに用意させますので。」 近くにいたメイドを呼び寄せ、コンラートが指示を出すと、メイドは急いで厨房へと向かった。 「では猊下、今日は風が爽やかですし、のんびりとテラスで休憩なさいませんか?」 「いいね〜、じゃぁ、ヨザの変わりを暫らくしてくれるかい?」 「はい、謹んで。」 二人は連れ立って、中庭が一望できるテラスへと向かった。 さて、魔王陛下はといえば? 「どういうこと?折角おれが、勇気を出して誘ったって言うのに、アイツ全然解かってくれないんだぜ!?」 「はぁ? ・・・・・・・ところで坊ちゃん、隊長には なんと言ってお誘いを?」 「だから〜、お・・おれをすきにしていいぞ・・って!」 「・・・・それ、この真昼間から言ったんですか?」 「おうよ!善は急げって言うじゃないか!」 ― ・・・・・いや、大変、男らしいご決断ですが・・・。 そういえば、この魔王陛下、思い立った後の行動力は素早いものがあったっけ?うっかり忘れていたが、 でもまさか、これくらい自分で気がつかれると思っていましたよ、おれは・・・。 ― 軽く頭痛がする気が・・・。 なんで、そんな台詞をこの昼間から言いに行くかな?普通は、夜、コッソリ人目を忍んでコンラートの部屋に行き 彼がどうしたのか?と聞いて来たら、ベットに誘いながら言うとか?シュチュエーションに拘れとかまでは 言わないが・・・常識的に考えて、こんな真昼間の人の活動時間に、男を誘いに行かないで欲しい!えぇ、切実に!! 「えーー、そういうことは、早く行ってよグリ江ちゃん!」 「常識です!昼真っから、何を盛ろうとしているんですか?陛下!!こういうのは夜!当然夜です!!」 「わかった、じゃぁ、夜行くよ。」 「・・・いや、もう夜行くだけでは無理かもしれません。隊長の事だから、昼間も言っていたけどなんですか? とか、きっと聞きますよ?ちゃんと、隊長にも そういったお誘いだとわかるように、坊ちゃんの方でもう少し ムードを上げる努力をなさらないと?」 さすがはグリ江ちゃん!と、有利はどうするのかと聞いた。 それには、ウッ・・・とつまった。面白がって迂闊な入れ知恵をした場合、アイツにバレた時が怖い。 すでに、余計な入れ知恵をした時点で、ヨザックには、かなりの危険が付きまとっているのだ。 「そこは、坊ちゃんが頑張って、キスの一つもするとか?」 「キキキキきすぅ〜〜??」 「何を驚いているんです、コンラッドに好きにされた場合、もっとすごい事までされちゃうんですよ?」 「もっと?」 「・・…まさか坊ちゃん…性交の仕方がわかっていないとか?」 「そういえば、男同士ってどうやるの?」 あっけらか〜んと、聞いてきた魔王に、ヨザックは呆気に取られた!! 「……そこからですか?そこからなんですね?…ぶっちゃけ、もう、諦めた方が良くないですか?」 「えぇ〜〜そんな〜?」 「せめて、仕方ぐらい解かる様になってから、隊長にアタックしてください。」 でないと、その気になってから、こんな事をするとまで思わなかった!なんて言われたら、隊長でなくともへこむ。 これは、真剣に房事の授業を早いトコ、受けさせた方が良くないか?と、真面目に心配になったヨザックだった。 一番いいのは、コンラートが手取り足取り腰取り・・イヤ・・・まぁ、教えちゃうのがいいのだが、せめてやり方くらい 知識として入れておいたほうが、彼の王と言う立場を思うと必要ではないかと思う? もしもの時の為に、今度、上司に報告しておこう・・・・報告する自分も嫌だが、聞くことになる上司も聞きたく ないに違いない。確実に、そんな事を言い出そうものなら、保護者馬鹿の奴に、短剣の一本も投げられるだろ うからだ。 「・・・・・・・俺、次は長期任務にしてもらおう・・・。」 「え?なになに〜?」 当の原因は、いたって何も分かてない・・・。これは、本当に当分、城を空けた方が懸命だ。優秀なお庭番は、 魔王様を幼馴染に届けたらすぐに、逃げる事にした。が・・! おっと!その前に、可愛い賢者様を、迎えに行かなくては!? ついうっかり、魔王の衝撃の告白に忘れそうになったが、本来の護衛対象は、一体どこに行ってしまったの だろう? 元気な魔王陛下と違って、彼は動き回らないだろうから、執務室にでもいるかもしれない。 そうだ、まずは、その彼に相談しよう?なにせ、この魔王の親友だ。きっといい知恵を貸してくれるだろう? で、その良い知恵を貸してくれそうな、彼はといえば?既に、別の人に捕まって相談を受けていた。 「と、いうわけなんですよ?一体、ユーリは何の用があって きたのだろう?しかも、すぐに帰ってしまうし、 ヨザに用事ってなんなんでしょうか?」 はあ〜とため息をつけば、返事がないので相談相手の大賢者様に目を向ければ? パッカーーーー!!と、双黒の大賢者様は、大口を開けて固まった。 「猊下!?どうしたんですか?」 食べかけのサンドイッチから、ポトリ・・・とハムがこぼれた。 「猊下?中身こぼれちゃっていますよ?」 「ハッ!!あ?あぁぁ!もったない。このハムおいしいのに…。」 村田は、お皿の上に落ちたハムをパクッと食べると、ムシャムシャとほおばり始めた。すると、コンラートは 向かいの席から手を伸ばし、口の端についた汚れを親指でくいっとふいた。 「急がないで?ゆっくり食べないと、体に悪いですよ?」 ぱくぱくぱく…… 再び絶句して言葉を失った大賢者様に、どうしました?とコンラートが尋ねる。 「君・・・まじ?」 「はい?」 「そうか、ヨザから聞いていたけど、本当に天然なんだ? アハハハ。」 きょとん?としている所をみると、どこまでも本気らしい。ちょっと、調べ物をしていたといっただけで、 眼精疲労に効きそうなメニューを指示してくれる等、こんなに良く気が回るのに、何でソコがわからないんだ? ― 誰だ!こんな 天然キラーな美青年を 作り上げたのは?これなら さぞ、周りを振り回してきたんだろうな〜? ・・・・いや、今現在、振り回されているだろう 心当たりが 超身近に一人いた。 「渋谷、恋愛初心者で、何でこうも高いハードルの相手を好きになるかな?」 せめて、普通に可愛い女の子と恋愛をしてから、ステップアップとして、麗しい美青年に行って欲しかった。 そのステップアップも、どうかとは思うけどさ? 「何ですかそれは?ヨザが何か?あぁ、アイツの言うことは気にしないでください。半分冗談で、半分嘘ですから」 それでは、ヨザックの話は全部作り事になってしまう。(−−;) 「キミ、ヨザには、ほんっと!容赦って物が無いね?」 「あぁ、いいんですよ。アイツは、打たれ強いというか・・それで喜ぶというか?」 「・・・M子だったのか。」 ― 成る程、それなら意外にSのウェラー卿と仲良しなのがわかる。 「それで、猊下?地球でこの時期イベントかなにかありましたか?」 「6月のイベント??それは、父の日くらいだけど。」 くらいで済まされる、父の日憐れ・・・。 「そうか!それだ!」 ― どれ? 「父の日か?何だ、だから、好きにしてか?」 ― ?え?え??父の日と、好きにしてって何の関係が? 「有難うございます、おかげでユーリの考えていたことがわかりました。」 ― いや、絶対に違うから!?きっと違うと思うから! 村田様が慌てて訂正しようとした時だった! 「あーーー!!ずるい!村田ばかり コンラッドとお茶しているーー!!」 どっぴゅーーん!!と、さすがは野球小僧だ。滑り込むように、有利がやってきて、あっという間に コンラートに飛びつく。 「おれもおれも!」 「はいはい、今、用意させますから。」 コンラートが近くのメイドを呼びつけると、有利用にナッツ系のお菓子を用意するように頼む。 そして自身は、有利にミルクティーを入れてあげる。 そしてその間、自分が勝手にヨザックを連れて行ったくせに、何で僕を睨むのかな〜? 村田大賢者様のコメカミが ヒクヒクと動いた。 ― コンラッドとった!コンラッドおれの! そんな思念が、ビシバシと村田に向かって飛んでくる。 うっとおしい! 「ヨザ。そこの、うっとおしいお子様を、ちょーーと、黙らしてくれるカイ?」 「ギャーーゲイカ!それって、俺に、奴に斬られろって言っています?」 「あははは、キミ、マゾっ子なんだって?ちょっと斬られるくらいが気持ちいいだろう?」 「そりゃ、ちょっと冷たい視線とか、ぞくぞくしますけどぉ〜、それとこれは、レベルが違い過ぎますぅ。」 ゾクゾクするんだ?それで、毎度、ウェラー卿に絡んで、好みの視線を浴びているわけね?・・変態め! 「ところでユーリ、さっきのお話ですけど?」 「さっきの?」 両手でカップを持って、たっぷりのミルクティーを飲み干す有利は、ちゃっかりコンラートの膝の上だ。 いくら可愛い魔王陛下といえど、そこは男の子だ、周りがでかいので気がつかないが、これでも有利は 170センチの身長がある。それを、膝に乗せるってどうなのよ?ウェラー卿・・・。 「ほら、好きにしていいという?」 ブホッ!! 紅茶を思わず噴出した有利は、寸前で名づけ親にかけないように、横を向くことに成功する。 「な・・ッ??ゴホゴホっ?・・・」 「あぁ、大丈夫?ほら、意地汚く飲むから。」 ― 何気に失礼だね〜、彼ってば?でもって、渋谷が吹いたのは、君の発言のせいだよ? ウェラー卿・・・。 あーぁ、と、村田は呆れながら、隣の本来の護衛を見た。彼も、坊ちゃんカワイソーと、同情の視線を送っていた。 「だ・・・ゴホっ!‥いきなり・・・いうっ!・・・ゴホゴホッ!」 「・・・?そんな驚くこと?だって、ユーリが言ったんですよ?」 ― 確かに言った。コンラッドに好きにしていいって、でも人前でいきなり持ち出すかな!? 恨みがましい目で、つい見上げた有利に、自分だってさっき、昼間から変なことを迫ったくせにと、 ヨザックが不敬にも思った。似たもの同士なのだ、この二人は― 。 「もしかして、言っておいて やっぱり嫌だとか言います?」 「なっ!?・・そりゃ・・ちょっと怖いけど、コ・・コンラッドなら・・イイデス///」 ポポポポッっと、頬を赤らめて、有利が頷く。 「おーい、俺達が、ここにいるの分っていますか?たいちょーに坊ちゃん?」 「だめだ、既に自分達の世界を作ってしまったようだよ。ヤレヤレ、まったく渋谷は乙女だな〜。」 すっかり蚊帳の外に、外されてしまった二人が ぶつくさと文句を言う。だが、どうせ聞こえていないのだろう? 「怖がらなくても大丈夫、俺に任せて?」 「コンラッド!」 ― あぁ、ヨザックの言うとおり、コンラッドが後は全部リードしてくれるんだね?でもって、おれは今日、 大人の階段を昇っちゃうんだ〜vv そこでハタッと気がついた。そういえば、男同士ってどうするんだろう? 「コ・コンラッドあのね?おれ、男同士の仕方知らないんだけど?」 「男同士?・・・大丈夫、あまり関係ないよ?」 「なーんだ、そうなんだv」 良かったっと、胸をなでおろした有利に対して、ヨザックが大丈夫かという視線を幼馴染に向けた。 男には、受け入れる器官がないのだ。《そういう事》を致す時には、それなりの心積もりが必要なのだが? 「おい、コン・・・」 「まって、ヨザック。多分・・彼は理解していないから(ーー;)」 「はい?・・・・・・なんですって? だったら、アイツ陛下に何をやらすつもりなんです?」 「あははは、さぁ?」 それは、聞いてみないとわからない。 「ところで確認ですが、今日はこれから、ずっと俺が貴方を好きにして良いのですね?」 「う・うん、どーーんとこいって!」 腐っても鯛ならぬ、腐ってもキャッチャーだ!捕手である有利は、コンラートのことならば、 どどーんと受け止める決意が有った! 「決意だけは、りっぱだよ渋谷。」 「ソコで、男気を出さなくても・・・。」 二人の親友達は、有利の決意だけは、立派だけど・・・と、この後の騒動が予想されるだけに いっそ、ここで断った方がイイとも思う。 ― その方が被害も少ないし・・(←本音^^;) 「では、好きにさせてもらいますね?」 「お・・おう!。」 にこっと、コンラートが嬉しそうに微笑む。それに、ちょこっと見惚れながらも、有利は頷いた。 ― そ、それにしても、何されるのかな?やっぱり、ききき・・キスとかするのかな? ドキドキと、希望(?)に胸を膨らませる青少年。つい、目が端正な口元へと向いてしまう。 そこに、メイドが有利のおやつを持ってきてくれた。一見普通のミルフィーユだ。 コンラートはそれを受け取ると、まずは毒見とばかりにぱくっと食べた。パイ生地にはキャラメル状にした 飴が判らないように貼り付けてあり、そこにナッツを香ばしくカリカリにした物が隠してあった。 これなら、きっと有利も驚くだろう。料理長もやるな〜とおもいつつ、既に食べたそうに釘付けの有利をみる。 お預けを待っている、可愛い子犬のようだ。コンラートは、フォークで綺麗にミリフィーユの層を切り分けて―。 「はい、あーーん?」 「えぇぇっ!?」 な・・なんで急に、そんな新婚さんのような!? 「ほら、約束でしょう?おれの好きにさせてくれるって?」 「あ、そうか?」 有利は、約束を思い出して、素直にぱくりとフォークの上からミルフィーユを食べた。きっとこれは、気分を 盛り上げるためにしているんだろうと、有利は思ったのだ。なにせ、ウェラー卿コンラートは、眞魔国で一番 モテル男なのだ。きっと、雰囲気作りからしてくれるのだろう?このマメさが、きっと彼のモテル要因だと 有利は勝手に分析した。 ― そして盛り上がったところで、夜にきっと vv さすがは、コンラッドだな〜なんて、すっかり信じてしまっている有利。 だが、それは遠からず裏切られるだろうと、村田達は予想していた。その時、盛大に切れるだろう魔王陛下を 思って、夜が来る前に眞王廟に逃げようと思った、村田とヨザックであった。 それからと言うもの、コンラートに強請られて、移動の時は手をつなぎ、食事は二人きりでコンラートの部屋で とって、それからお風呂も一緒だ。今日は、このままお泊りなのだという。 かぽーーん!と、湯船に浸かりながら、有利はコンラートの足の上に座ったまま、緊張に身を固めていた。 「どうしたのユーリ?かちんこちんに固まっているよ?」 「だ・・だだだって。」 緊張するなという方が無理だ!大好きな人と全裸で湯船に浸かっているんだぞ!しかも、彼の太ももの上に お邪魔しているのだ。腰にはしっかり男性のしっかりとした腕が回されているし、肩越しにはクスクス笑う 男の吐息が掛かる。その度に、濡れた首筋に掛かる息に、体を震わせて仕舞うのだ。 「そろそろ体を洗おうか?もちろん、俺に洗わせてね?」 「え・・えぇぇ!?」 「ユーリ、や・く・そ・く。」 「うう!」 あまーーい!声で囁かれると、有利は絶対に 逆らえないような 気がするのは なぜだ!? 沈黙を肯定と取ったコンラートは、有利を抱き上げると洗い場へと連れてゆく。 「うひゃぁ!!」 急に宙に浮いた有利は、思わずコンラートの首にとすがりといた! そのまま、姫抱っこで運ばれた有利は、またしてもコンラートの太ももの上に座らされた。 ― ぎゃぁぁ!何の羞恥PLAYですか?コンラッドさん!? これが、ヨザックの言っていた、色々すごい事をされるということか?確かに、これでは、自分の心臓が持たない! ふわふわの泡をスポンジで作ると、コンラートはにこにこと、有利の体を隅々まで洗い始めた。 グッタリ・・・。(o_ _)o~~† ― ほ・・本当に、隅々まで洗われてしまった。もう、お婿にいけない・・・。しくしく・・・。 「って、コンラッドに、お嫁に貰ってもらえばいいんだけどさ。」 そうだ!その手があった v 「俺が何?」 そこに、コンラートが、色々もってきた。 「え?えへへ? あれ?それは何?」 笑って誤魔化すと、彼の手の中に有るものが気になった。 あぁ、これですか?といって、コンラートは、トレーに乗せた一式をベッドサイドに置いた。 「有利を天国に連れて行くものかな?」 というと、バスローブ姿でうつ伏せでベットに転がる有利の上に跨った。 「え?なに?」 うろたえる有利のバスローブを肌蹴ると、背中を大きくあらわにする。 「言ったでしょう?今日は俺の好きにしていいって?だから、気持ちよくしてあげる。」 にこっと、蠱惑的な笑みを浮かべたコンラートは、トレーの上のビンを開けると、たっぷりトロリ・・とした オイルを手にとって、それを掌で暖めると、そっと有利の肢体に手を伸ばした。 「まずは、ほぐさないとね?」 ― それは一体、何を?? きょとんと、見上げた先には、夜の匂いを纏う男がいた ――――。 「ンッ・・・・」 「気持ちイイ? ヨカッタら、声を出して・・・?」 ― その方が、心が解放されて気持ちイイよ。 ゆっくりと、男の手が背中の中心を捉えて型まで上がり、そして脇を降りて行く・・・ゆっくりと ―― 。 何度も繰り返して、彼の体のこわばりを解くと、その手は今度は腕へと伸ばされる。 まるで覆いかぶさるように、男は少年の肢体の上で好き勝手に動く、腕を付け根からぐぐっと先まで男の手が 行き来をして、先端にある手を捕まえると、ちゅっと恭しく唇を落とした後、指の腹で一本一本をまるで悪戯 するように、くるくると動かして指を丹念にオイルで濡らしてゆく。 指をたっぷりぬらすと、気が済んだのだろうか?再び白い背中に戻って手を彷徨わせていたが、体をずらして 膝の上に座ると、バスローブをずらして、まろやかな曲線をあらわすお尻を半分だけ出した。 そして、その尻を二つの手で円を描いて揉み解し始める。男の動きで、タプンっとたわわに動く肉。 コンラートの眼が細くなって、その様子を見る。 「うにゃぁ〜vv」 「ふふ、地球産のネコですか?」 コンラートの手が、オイルのすべりを借りて今度は、すらりと伸びた足へと挑みかかった。 すすすっと、大きな腕が包み込むように、足先から徐々にのぼってきて、バスローブの裾から入り込んだ。 その先は、有利の隠された場所だ。実は先程から、チョーーット反応してしまっている自身・・・。 それを知られるのは、恥ずかしいけれども?あ・・相手は、その・・好きな人だし・・・・。 バスローブの中の手が、太ももをゆっくりと揉みしだいて、足の付け根へとそわされる。 い、いよいよ、バレちゃうーー!! ぎゅっと眼を瞑ってみれば? 「はい!終わりです。」 「へれ?」 急に軽くなった体、圧し掛かっていた男が退いたのだと理解する頃には、コンラートはトレーを片付けに 行ってしまった。 あれ?あれれ? 有利は、?マークをしきりに飛ばして、コンラートの後姿を見た。ラフな部屋着を着た背中は、真っ直ぐに 伸びていて、ちょっと前かがみっぽい自分とは、まったく違うではないか? 「ユーリ、ちゃんと部屋着に着替えてくださいね。」 そして、未だボケラッターとしていた有利に、服を着ろという?おかしい?Hって、服を脱ぐんじゃないの? 「はっ!もしかして、脱衣から楽しむつもりなのか!?」 そうだ、こう見えて、コンラッドはお祖父ちゃんより長寿だ!爽やか好青年にみえて、けっこうマニアックな 趣味があってもおかしくない!(←曲解な陛下) 「だとしたら、ここは、期待に応えなくっちゃ!」 いそいそと、有利はいつもの部屋着を着た。さぁ、コンラッド!おれはどんなアンタでも受け止めて見せるぜ! 無駄に男らしい有利は、どんなPlayでも応えてみせるぜ!と、胸を叩いて見せた。・・・でも、裸エプロンは、 へこむからな〜。と、その割には、要求内容によっては、ちょっと検討の余地があるらしい。どうやら、有利は 兄から所々 変な知識を頂いてしまっているらしかった。^^; 「エプロンが、どうかしましたか?」 「ひゃ!!」 いつの間にか、すぐ近くに来ていたコンラートに、有利は飛び上がって驚いて、ズッサササーー!と、後退った! たった今、何でも受け止めると言う割には、かなりビクついている様子が、微笑ましい。 「ユーリ、じゃぁ、一緒に寝ようか?」 「ね・・ねる!?」 「嫌?」 「い!いえ、ふ・・不束者ですが、よろしくお願いしますデアリマス。」 陛下、それでは嫁入りです。というか、語尾は軍曹です。 「はい、今夜一晩ヨロシクね?」 「ヨロシクデアリマス!」 ベットの上で、びしっと、直立不動で固まる有利を、コンラートが微笑ましそうに見やる。 「大きくなりましたね?」 「え?」 「最初お会いした時は、健やかに眠る赤子だったのに・・・。」 すいっと、片手が伸ばされて、頬に温かな手が添えられる。柔らかな頬は、あの頃と変わらない。 にこっと、コンラートが微笑む。その瞳が、有利を愛しいと語っている。 そのまま抱き寄せられるままに、その胸にぽすっと収まる。そのまま二人して、ベットに転がった。 毛布が引っ張りあげられて、肩まできっちりとかけられて、明かりを消されると・・・そこにはもう、月明かりで 少し浮かび上がるお互いの姿しかなく・・・。 コンラートが、顔を近づけると、鼻の頭に唇を寄せた。 「ユーリ、今日は有難う。」 「え?」 「俺の好きにさせてくれて。」 「う・・うん、どういたしまして?」 おかしい?これから始まるんだよね?なんだか、〆の挨拶のように聞こえるのは、気のせいなのか? 「でも、昼間は驚きましたよ、いきなり来て、俺を好きにしてくれなんて・・・何事かと思いました。」 くすくすと、ユーリは意表をつくのが上手いと褒められても、何故だかあまり嬉しくない・・・ ― というか、なんかおかしくね? 「でも、猊下に地球で何の日か聞いて、納得しましたよ。」 「ほえ?」 ― 地球で何かあったっけな?えーと、6月6月・・・?梅雨入り?は、眞魔国に梅雨がないし? まてよ?ジューンブライド!そうか、6月の花嫁か!? 案外ロマンチストだな〜コンラッドってvv そんな事を考え付いていた有利は、だから最初、次の台詞が頭に入って来なかった。 「今日は、父の日なんですってね?《名づけ親の俺にまでプレゼントをしてくれる》なんて、 ユーリは優しいね?」 「父の日?」 ― あれ?ジューンブライドは??6月の花嫁は?? ― と、いうか?今変な台詞を聞きませんでしたか?? 名づけ親へのプレゼントだとか? 「勝馬には何をあげたんですか?」 「え?何も・・・」 「あぁ、品物じゃなくって、肩をもんだとか?」 勝馬なら、泣いて喜んだでしょう? ― いいえ、本当に何もあげてない・・・つか、今の今まで父の日忘れてましたぁ〜。 そう忘れていた。なのになんで、おれがアンタに 父の日 のプレゼントをやるんだよ! 「今日は、いつもは絶対に やらしてくれない事まで、ユーリを構えたし、ホントつきあってくれて 有難うございます。」 心底嬉しいと、その瞳がキラキラ輝いていっていた。大好きな人が、自分の前で幸せそうに笑っていたら 普通、男ならその笑顔を守りたいと思うだろう!?そう、もちろんおれだって! だから、内心かなり、揺れ動いてぐらぐらだった有利も、かろうじて体裁を整えた。 「いや、喜んでもらえたなら・・名づけ子としても嬉しい限リデアリマス・・・。」 その後、そっと枕を涙でぬらした有利であった。 でもって、当然? むらたぁぁあーー! 朝一番に、眞王廟で響いた魔王陛下のお声で、大賢者様は全てを悟ったらしい。 「不可抗力だぁぁーー!!」C= C= C=(o>д)ノスタタタターー と、叫びながら逃げ惑った。 「陛下は、一体何を怒ってらっしゃるんだ?」 「あははは、隊長・・・アンタってお人は・・・(T▽T)」 もちろん一緒に護衛としてついてきたコンラートは、有利が村田を追い回すのを不思議そうに見ていた。 その横で、ヨザックは村田を助けると魔王が怖いし、助けないと賢者が怖いという理不尽な立場に立たした 幼馴染に、そのボケ・・・マジで治して下さいと、心底思ったという。 「口は災いの元って!体で教えてくれるわーー!」 「ちょっと、上様出さないでよーーー!!」 どっぴゅーーん!と、双黒たちが二人の前を駆け抜けた。あ・・!と、何かをコンラートは気がついたらしい! 「陛下ー!あとちょっとで朝食ですよー!(/'o')ゞ 」 ずべっーーーーーーー!!! しょうもない事を云うなーーー!と、双黒たちは思った瞬間、二人は見事に滑って? どっぽーーーーん!! 池に落ちた・・・そして、そのまま吸い込まれていく。どうやら、地球に戻されたらしい。 「眞王陛下ですね・・・。」 とは、ヨザック。きっと、朝から五月蝿くって怒ったに違いない、何分ここは眞王廟・・・静かに祈りを捧げる 場所である。朝から追いかけっこをする場所ではない。それで、二人を帰したのであろう?揉め事は余所で やれと言うことだ。 「あぁ、帰ってしまわれた。折角、お二人のじゃれ合いが可愛かったのに・・。」 ・・・・じゃれあいって、陛下は本気で殺気を飛ばしてましたが? 「眞王陛下も混じるなら、一言おっしゃって下されば良いのに、あんな風に無理やり池に落とすなんて。」 ・・・・いいや、池に落ちたのは、アンタの発言のせいデス。というか、混じるって何?まさか、眞王陛下が 追いかけっこに参加したかった とでも思っているのかっ!? 池を見て、あーぁ、と・・ため息をついていても麗しい男を見る。その眼にうそは無い!! 恐るべし!ウェラー卿!ボケもここまでくれば、災害だ!! ヨザックは、しみじみ思った。城に帰ったら、上司に陛下の房事の勉強について進言すると同時に、 弟さんのずれた感性を直す手立てを講じて欲しいと訴えなければなるまい。 房事は検討してくれるだろうが・・・弟の再教育については、あの上司でも、無理かもしれない。 なにせ、散々、眞王陛下にもお願いしても、聞き届けられる気配がないのだから。 そこで、ハタッとある事に気がついた!そして、そーーーっと、ヨザックは、その場から離れた・・・。 陛下が帰った=ウェラー卿は、暇。(←陛下との予定がなくなったから) 猊下が帰った=ヨザも暇に違いない。(←実際は報告やら、仕事はたんまりある!) 「どこへ行くんだ?ヨザック?」 ぎっくーーん!! 「あ〜、グリエ〜ぇv 編み物閣下にぃ〜陛下が帰られたことぉ〜お伝えしに言ってきますわv」 てへ?と、笑っていってみた。 「それなら、一緒に行こう。」 ニッコリ笑った男に、ヨザックは、逃げ切れなかったことを悟った。 「あぁ、もちろん。昨日、陛下と何を話していたか、(洗いざらい) 「きゃぁぁぁ!!」 すいません、眞王陛下、マジで今すぐ、コイツをどうにかしてくださいぃぃーーー!! だが、当たり前といえば当たり前だが、やっぱりこの願いだけは、聞き届けられそうもなかった。 憐れヨザックは、ドナドナのごとく、コンラートに引きずられていったのであった。 2009年6月20日UP 父の日に間に合った!どうも、父の日に絡んだコンユを書いて見ました。ヨザックはその後、どうにか誤魔化す ことには成功したのだが、変わりに昨日一日の有利がどんなに可愛かったかを、聞かされる羽目になったという。 あわれ・・・。きっと、数ヶ月は戻ってこないよ、彼!長期任務を貰っ他方がマシだ!と思っているでしょう。 |