お兄ちゃんで遊ぼう 3 グウェンダルの悪夢 |
グウェンダルが部屋に戻ると、そこにはコンラートがいた。
「なんだコンラートー」 来ていたのか?と、続けるはずの言葉は、コンラートの台詞で遮られた。 「お帰りなさいグウェン♥ 食事にしますか?それともお風呂にします?」 それともー? つ・・と、彼はグウェンダルに近づくと、肩に手を置き、少しだけ背伸びをして 「俺にする?」 と、聞いた? 「コ・・コンラート?」 コンラートの琥珀の瞳が熱を持って、悩ましげに潤む。その視線が絡み・・ゆっくりと閉じられてゆく。 口を薄く開いて誘う仕草に、そのまま惹き付けられる様に、唇を重ねようと顔を近づけると? 「おんぎゃぁぁ〜〜!!」 「あっ!赤ちゃんが!」 が、寸前のところで、泣き出した子供に邪魔をされてしまう。スルリと、グウェンダルの抱擁から 擦り抜けたコンラートは、ベットに寝かされている子供に駆け寄った。 まてよ??・・子供だと!? 何で自分の部屋に、子供なんかが いるのだろう?? 「はーい、いい子だね〜。」 慣れた手つきで、コンラートが赤ん坊を抱きかかえると、良し良しとあやしてゆく。 「コンラート・・・その子供は何だ?」 「何言っているのグウェン?俺とグウェンの子供じゃないか?」 ・・・・な??? 「なにぃぃーーーーーー!!??」 「ほら?」 そういって、愛しそうに抱える赤ちゃんは・・なんと!黒髪の悪魔だ。 「げ・猊下ぁ??」 何故あの黒い猊下がが、私の子供なのだぁーーー!!! 「酷い、ぐうぇん・・。やっぱり、俺の事は遊びだったんですね?」 さめざめと泣き始めたコンラートに、グウェンダルはあわてた! 「あ・・いいや!それは違うぞ、コンラート!」 「いいや!アンタは、所詮遊びなのよ!グウェンダル閣下の本命は、このグリエよぉ〜〜ん!!」 おほほほ〜〜と、小指を立てて笑うのは、マッチョなボディにミニスカワンピ(際どいスリッド入り)が、 目にもイタイ(色々な意味で)グリエ・ヨザックだ! あぁ〜〜またややこしいのがでてきたぁー! 「ぐ・・グリエ、貴様が何でっ!」 「何でなんて、野暮なことは、聞いちゃイ・ヤ♥」(←いや、そこ一番肝心な所だから) ちろり・・と、グリエはコンラートを見ると、ふふん・・と鼻で笑った。 「なにその、地味で所帯臭い格好〜。グウェンダル閣下の横にいて、見劣りしちゃうー。」 だからといって、真っ赤な衣装で、股までスリットの入ったドレスもどうかと思うグウェンダルだった。 「そう・・グウェン・・俺の他に愛人がいたんだね・・・。」 俯いて呟くコンラートに、小さな椛のような手が伸びてきて、目元にたまった涙を拭いてくれた。 「そうだったね、俺には坊やがいたんだね?」 「そうだよ、ウェラー卿、二股かけるようなだめ男なんて、こっちから願い下げちゃいなよ。」 ぐわー、何てこと言うんだ!普通だったら、お父さんと別れないで!とか?言うのではないのか? 「健ちゃん・・。」 その柔らかい頬にすりよると、コンラートは、その悲しみに満ちた目をグウェンダルに向けた。 「短い間でしたが、お世話になりました。俺は実家に帰らせていただきます。」 って、まてーー、コンラート、お前は血盟城生まれだろうー!? ハッ!!・・じゃなくって!! 「まて、コンラート!」 「わかっています、子供は俺が育てます。」 「だいじょうぶさ、養育費はきっちり僕が取ってあげるよ!養育費は子供の権利であり、 親はその義務からは逃れられないのさ・・ふふふふ。」 おおよそ、赤ん坊の台詞ではない怖いことを言って、コンラートの腕の仲の子供が笑う。 ぞぞぞぞ・・・!!! 「いや・・そ・・そうだ!二人の子供なら二人で育てよう!両親が揃ってこそ、子供の幸せだと 思わないか?」 「そうなの?」 と、コンラートが首を傾げれば? 「そのとーーり!!」 そこに、またまた第三者が!黒い御髪がきらきらと輝く、クリクリの大きな瞳が 可愛い魔王陛下が乱入してきた。 「ユーリ!」 「小僧!」 「あらん、可愛い坊ちゃん♥」 「コンラッド!グウェンダルの言うとおりだ。子供には、両親揃ったほうが幸せだと思う! 短慮はよして、グウェンダルと話し合おうよ。」 よく言った小僧ー!てっきりまた邪魔が入ったかと思ったが、そうでもないらしい。(←不敬?) 「でも・・・」 ちらりと、コンラートがグウェンダルを見れば、すかさずグリエが、彼の腕をがっちりと取ると シナを作ってすりよった。 「あらん、子供なら、グリエがたんと生んじゃうー!だから、子作り頑張りましょうね?だーりん♥♥」 「こ・・コラ!離せ!!」 グウェンダルは必死に離れようとするが、伊達に立派な上腕2等筋は持っていない!びくともしない どころか、かえって抱き込まれてしまう。 「いやん、グウェンダル閣下ったら、恥ずかしがっちゃってかわいい〜〜♥」 「無理です。俺には、とてもじゃないが、あんなに愛し合っている二人の間には入れません!」 がっくりと、肩を落とすコンラートに、有利が痛ましそうな目を向ける。 「こらーー誰が愛し合っているんだ!?」 「もう、グリエたんとグウェンたんでしょ?」 「こら、グリエ!何を気色悪いことを!!」 「え〜?あ、そうだった!二人っきり以外のときは、そう呼ばない約束だったわ〜。グリエッたら そそかしくって〜つい。うふ♥♥」 「たしかに、アンタの性格じゃ、あそこまでラブラブで愛し合っている二人の間には入れないよね。」 「って、小僧まで!何処を見ているんだー!」 「ユーリすみません、せっかく護衛の仕事に産休まで下さったのに・・。」 「コンラッド・・ねぇ、おれに何か出来ることはない?」 「いえ・・俺は、悪い男にだまされた俺が悪いんですし・・でも、赤ちゃんが不憫で・・。」 よよよよっと泣き崩れると、その様子に火がついたように赤ちゃんが泣き始めた。 おんぎゃーーおんぎゃーと泣く我が子を(さっきまで、ふふふとか?不気味に笑ってなかったか?)必死 にあやすコンラート。しかし、一向に泣き止む気配がない。 「ちょっとかして、コンラッド?」 有利は、コンラートの腕から黒髪の赤ちゃんをうけとると、よしよしとあやしはじめた。 「よしよし、ムラケンどうしたー?」 すると・・ 「ママーーー!!」 と、赤ん坊は有利の胸にしっかりと抱きつくと、ニコニコと笑い始めた。 「「かわいいーーー!!」」 有利とコンラートは、その可愛らしさにめろめろになった。 「コンラッド!おれ決めたよ!」 「はい?」 有利は突然、コンラートに向き直ると、じっと大きな瞳に決意を込めて言い放った。 「おれ・・おれ!この子の母親(?)になるっ!」 「え・・・。」 あれ?母親はコンラートではないのか?? グウェンダルは、話の流れに最早ついていけなかった。 「ほ!ほら、この子黒髪だし、俺の子供って言っても通ると思うんだ!ね?・・だめかな?そのっ! コンラッドは・・・おれじゃ・・いや?」 きゅう〜〜んと、その場にいた男共の目には、有利の頭に、垂れた耳が見えた。なんというか・・ 一生懸命ご主人様にお伺いを立てる仔犬のようで、その可愛らしさに、コンラートは打ち抜かれた! そっと、コンラートは有利の手をとった。 「ユーリ・・いいのですか?この子は、貴方とは血がつながっていませんよ?」 「何いっているんだ、血よりも濃い絆が、おれ達家族には あるじゃないか!?」(←え?いつのまに?) 「ユーリ。」 「コンラッド・・。」 見つめ合う二人、最早完全に二人の世界だ! 「ユーリ、俺と結婚して下さいますか?」 「うん・・おれ、コンラッドのかわいい奥さんになれるように頑張る!」 「ユーリは、そのままで可愛いですよ?」 もう、何言ってるんだよ〜コンラッドは俺に甘すぎ〜♥ てれつつも、まんざらではない有利と、それを蕩けそうに甘い目で見るコンラート 「ムラケン、おれ、ムラケンのいいお母さんになるように頑張るね?」 「ママちゅきーー!」 「うわ〜〜かわいい!ユーリママもムラケンが好きだよ〜。」 ま・・まてーー!!! そこまで、呆然と、コトの成り行きを見ていた グウェンダルが 我に戻った! 「まてまて、コンラート!お前は私の妻ではないのか?」 「え?そうですね、そんなことも有りましたねー。」 そんな遠い過去の事なんて忘れました と、言う元妻に、グウェンダルは、僅か10分前だ!と叫んだ。 「な・・なら、何で、ユーリがお前の妻になれるんだ?」 「うーん・・・かわいいから?」 あまりの言い様に、一瞬呆然とするグウェンダル・・が、すぐに息を吹く返すと、再び コンラートに迫った! 「では、赤ん坊は?お前が生んだのだろう?お前が母親ではないのか?」 「ふむ・・そうですねー?」 これなら、かわせまいと思ったグウェンダルは甘かった!コンラートは、赤ん坊に向かうと、 「健ちゃん、俺は健ちゃんの何かな?」 と、聞いた。すると、赤ちゃんは、元気よく! 「ぱぱー!」 と、答えたではないか?そう、この親子、見た目はまったく似ていないが、中身はそっくりであった! 「じゃぁ、ユーリは?」 「ままー!!」 「本当に、ムラケンは頭がいいな〜。^▽^」 「俺とユーリの子ですから^^b」 「まてまて!コンラート!お前さっきまで、私とお前の子供だといっていただろうにーー!」 「あぁ、俺、過去は振り返らない主義なんです!」 いいきったーーー!!!ガ゙━Σ(゚Д゚||;)━ン!!! 凄いぞコンラッド!君こそ漢だー!!゚+。:.゚ワァォ(*'▽`人)゚.:。+゚ グウェンダルは、最早真っ白に燃え尽きた。 「じゃぁ、眞王廟に離婚届と結婚届出しに行きますか?」 「うん!」 そうして、コンラートとユーリは結婚して家族三人で仲良く暮らしました。その後、二人の間には 可愛くって、ちょっと我が儘なプー王子も生まれ、一層仲良く暮らしましたトサ。 めでたし、めでたし 「へ〜〜すごい、ちゃんとオチもついているんだね!」 と、素直に感心するのは、当代魔王陛下。 「うわ〜僕が、ウェラー卿の息子か?どうやって生まれたんだろう?」 と、変なところに こだわるのは、4000年の記憶を持つと言う大賢者。 「さぁ、何しろ夢ですからね?そのあたりは、いい加減なものなんではないですか?」 と、事も無げに言うのは、マッドマジカリスト・赤い悪魔だ。 その赤い悪魔は、コードが沢山ついた映写機のような物を片付けている。そのコードの先には、 椅子にがっちり拘束されている『もにたあ』・・うなされているのは、夢の内容からして仕方あるまい。 ほんの一時間前、例のごとく執務室に飛び込んできた赤い悪魔は、例によって永遠の被害者である 幼馴染を確保!椅子にくくりつけて、魔道具を装着して、夢を念写(念なんだ?BY有利)すると言う 実験をしてみせたのだが・・・・。 喜んでいるのは、双黒の二人だけで、他の者たちは微妙な顔だ。 「何で俺が・・グウェンダルの妻なんだ?」 と、コンラートが心底嫌そうに言えば? 「なぁ〜、おれってば、色々痛いとか言われてるんだけど?大体あんなドレス、俺の趣味じゃない ですしー、それに、登場した途端に邪魔扱いじゃねー?親分の中で俺って・・・・。(T△T)」 扱いが酷いとヨザックが訴える。 「お前等なんかまだいいさ、僕なんて最後のほうに、有利とコンラッドの子供として出ただけだぞ! しかも、プー王子って何だ!?兄上が、よもや僕をそんな風に思っていただなんて!」 信じられない という ヴォルフラム。 いや、あれは、なまじ出演させられないほうが幸せだろう? 「あぁ、それねー?おれも、ヴォルフを生むのはどうかと?」 「ですねー、俺としては、ユーリ似のかわいい娘がいいかな?」 「もう、何言っているんだよ。でも、コンラッドが欲しいなら頑張ってみようかな〜?」 「「「なにを??」」」(←猊下・ヨザ・ヴォルフ) 「ハッ!何を馬鹿なことを言っているじゃり!こんなの兄上の馬鹿な妄想の中の話じゃり!」 ・・可愛い弟に、馬鹿な妄想呼ばわりされたグウェンダル・・いとかなし・・。 「あぁ、いいねー。そうしたら、僕がお嫁に貰うよ!そうすれば、4人とも名実共に親子だよね?」 が、何故か、大賢者まで話に食いついてくる。 「あぁ、それはいいですねー。そうしたら、娘をずっと手元におけるんですよね?」 「コンラート、まだ、まだ生まれてもいない娘を手放す話か?」 プーさん、すっかり、ツッコミ役だ・・。 「まぁねー、眞王廟で新婚生活は出来ないし、やっぱり、血盟城じゃない?娘ってことは、グレタと 同じように、フォンカーベルニコフ卿に教育してもらえば、 「大賢者まで何を言っている!眞魔国の王位は、世襲制ではないぞ?」 プーにしては、鋭いツッコミだが、突っ込みどころが違うような? 「あははは、だって、眞王が指名するんだろう?だったら、有利の子供を指名させれば良いだけだよ!」 ・・・・おどすんかい!?Σヾ(`д´)ノ 「そうですね〜、次期女王を育てて、女性の地位向上に 役立てるのも いいかもしれません! さぁさぁ、グウェンダル!・・は、もう使えませんね?では、ヴォルフラム!次期女王誕生の為に 栄えある『もにたあ』に、おなりなさい!」 「うわぁぁ、やめろ、たすけろじゃりーー!!!」 首根っこをつかまれて、プーが慌てるも後の祭り、彼女が実験を思いつく前に、逃げなければ遅いのだ。 「ユーリ、子供は何人にします?」 「そうだな〜、アンタ似の娘もほしいよな〜。」 「できれば、息子もいいですね。キャッチボールできますし。」 「そう!キャッチボール!息子とするのが夢だったんだ!」 「なに、馬鹿な話をしているじゃり〜〜!!ぎゃぁぁぁ!!」 イチャツク二人を止めようと、ヴォルフラムが間に割り込もうとするが、がっちりつかまれた 首根っこを逆に締め上げられて、実験室へと連行させてゆく。廊下で喚く声が段々遠のいていくのが あわれを誘う。 「猊下・・・なんか一部正夢になりそうですね・・・。」 それを見送ったヨザックが、アニシナの張り切りように、一抹の不安を感じた。 「僕はそれでもいいよ、あの二人の娘なら、どっちに似ても可愛いし〜♥」 「えぇぇー!・・・本当に、お嫁に貰う気ですか?」 「さぁて?どうだとおもう?」 きらりと、眼鏡を光らせる大賢者。 あははは・・・思わず乾いた笑いしか、返せないヨザックであった。 そのころ、忘れられていたグウェンダルは、未だに、うなされているのであった。 おしまい。 12月21日UP はい、一部の方に人気のあるグウェンで遊ぶコンラートのお話。今回は、夢の中でも コンラートに振り回されているグウェンダルのお話でした。あぁ、頭使わないのって楽〜。 |