88888HIT記念小説
コンラッドを口説こうシリーズ





最近、血盟城では、とある光景をよく見かけるようになっていた。


「あら、今日も、お二方が鬼ごっこをしているわ?」
「えぇ、本当に・・・それにしても、流石は閣下・・逃げ足も速くてらっしゃる。」


彼女等、城勤めのメイド達の視線の先には、余裕の表情で追撃者をかわす、ウェラー卿コンラート閣下
の姿があった。そして、彼を懸命に追うのは、黒衣の少年。この血盟城の主であり、彼女等の偉大なる
第27代魔王・シブヤユーリ陛下である。

この、渋谷有利陛下は、何を思ったのか?御自分の護衛で、名付け親でもあるウェラー卿を口説う
としているのだ。それも・・・末はご自分の后にと考えておられるようだ。


さて、此処で問題なのが、婚約者の存在であった。
実はこの陛下、彼の手違いとはいえ、ウェラー卿の弟であるフォンビーレフェルト卿
ヴォルフラムと婚約をしていたのだが・・・。
なんと、先日、今度はヴォルフラムの手違いで解消となった。(僕は認めないぞー!BYプー)

おかげで、陛下は自由の身となり・・・以来、本命を口説こうと躍起なのであった。

「こらぁ〜〜!コンラッド!いい加減、おれに押し倒されろー!」
全く往生際の悪い!と、プンスカ怒りながらも、有利は追跡の手(足?)を緩めようとはしない。
「あはは、嫌ですよ。陛下こそ、いい加減に諦めたらいかがですかー?」
それを一定距離を保ちつつ、爽やか笑顔を振り撒きながら逃げるコンラート。

「む〜〜陛下言うな!名付け親。」
それでも、お決まりの文句を言う有利陛下に。
「おや、つい癖で・・ごめんね?ユーリ。」
と、至極楽しそうなコンラート閣下。その軽口の間も、二人は素晴しい勢いで廊下を走りぬけてゆく。
目の前を駆け抜ける二人の貴人に、メイド達が頭を たれるも、あっという間に通り過ぎていってしまった。

「ねぇ、あれは、口説いてらっしゃるというより・・陛下が閣下を襲っていらっしゃらないかしら?」
それとも、高貴な方々では、あれが口説くと言う事なのかしら?やけに、直接的な?
「ほほほほ、いやね〜。それは言ってはいけないお約束なのよ?」


そう、お約束なのだ。どうみても、押し倒されるほうと押し倒すほうが逆ならすんなり行くんじゃ?
なんていう疑問も。本気で逃げれば、野球小僧の足くらいでは、追いつけないはずなのに、もしや?
あの閣下は、追いかけられているのを楽しんでいるのでは?とか・・ツッコミどころ満載なのだが
それは、言ってはいけない お約束なのだ!


ゼイゼイ!ハァハァ!さすがに、30分も全力疾走をしていると、有利の息も切れる。
コンラートは、少しだけ速度を緩めてあげる。

チャンス!(ΦωΦ)キラリン☆

「とりゃぁ!!」
と、コンラートの隙を見てタックルすれば、ガシッとコンラートの腰に掴まった!

「やったぁぁ!コンラッドを捕まえたぞ!」
「はいはい、捕まえられました。じゃぁ、今日の鬼ごっこは、これで終ね?」
コンラートが、自分にピットり!と、くっつく有利に、そう提案する。
「何言っているんだ?捕まえたんだから、このまま部屋にLet's go to bed だぜ!」

「う〜〜ん、それは無理だと思うな〜?」
「何でだよ?」
む〜〜と、不満を顕わに、年上の想い人を仰ぎみれば、にっこりと爽やかな笑顔で、後ろ手に
扉が開かれた。



「やっときたか?遅いぞ小僧!」
「げ・・グウェン!って事はここはもしや?」

そう、コンラートに巧みに誘導された有利は、執務室の前まで走ってきていたのだ。
そして、まんまと、部屋の前でコンラートを捕まえたと思ったのだが、実はがっちりと片手で
ホールドされていて・・・どうやら捕まったのは、有利陛下のほうであった!

「し・・しまったぁぁ!!」
実は、執務室から中庭にコンラートの姿を発見した陛下は、ちょーーと、摂政閣下が席を外した隙に
執務からとんずらしたのであった・・。もちろん、優秀な護衛氏がその事に気づかない訳もなく・・
少しだけ、鬼ごっこに付き合うと見せかけて、連れ戻されたのだった!

「さぁ、陛下?仕事がたまっていますので、あちらにどうぞ?」
とは、王佐であるギュンター。
前に獅子、後ろに元鬼教官・・横を見れば・・眉間に皺の御大・・有利陛下の敗北は決定した!




くっそーー折角、捕まえたと思ったのにぃぃーー!
みていろ!次こそ、誰もいない所で捕まえて、美味しくいただいてやるぅぅ!!!


と、陛下は決意を新たにした。だが、そんな所で獅子を捕まえたら、間違いなく食われるのは
御自分であると言う危険には、これっっぽちも、気付いていないようだった。


我等が魔王陛下に幸あらん事をーー。






12月22日UP
88888HIT記念小説です。12月16日に踏んでいただきました。
カウンターにキリバン機能と言うのがついたので、仕込んだ作品です。
踏んだ方だけにの、公開小説でした。そろそろUPしておかないと忘れそう。^^;