クリスマスで苦しみます?
コンユ・イラストのChristmasのおまけです。




「あ、ウェラー卿、見つけた、ちょっときてきて?」

突然廊下で呼び止められた相手は、三黒の大賢者様。そのまま、コンラートは、魔王部屋に連れて
行かれた。そこでは、有利・ヴォルフラム・それと変わったトナカイ姿で女装をする、幼馴染の男が
集合していた。

「ちょっと、キミに着て欲しい衣装があるんだっ!」
そう、にこやかに言う大賢者に、ぎょとしたのは、幼馴染だ。

「無理ですよ猊下!隊長が、こんな服着るわけないじゃないですかぁ〜?」
あとで、八つ当たりされるのは、グリエなんですからぁ〜〜と、半泣きである。

「だって、ヨザックのミニスカトナカイだけじゃつまらないだろう?これは、ミニスカサンタと
セットで完成するんだ!僕はやるからには、完璧を目指す!」
ふんむ!っと、握りこぶしで力説する親友に、魔王陛下がオイオイと、ツッコミを入れる。

「む〜ら〜た〜、完璧を目指すお前の性格は、よくよく知っているけど、コンラッドにコレはナイだろう?」
「そうそう、いくらコンラートでも、これは無理だ。」

「じゃぁ、君らが着る?」
「「イヤだ」」
「だろ?それに、ヨザックとの兼ね合いを考えると彼しかいない!」

と、いうわけで、ウェラー卿!サンタを引き受けてくれたまえ!!


「くれたまえって・・村田ぁ〜〜、お願いじゃないんだ?」
「いいですよ。」
「ほら、コンラッドだっていいって・・・・・・。」

「「「えぇぇーーーー!!!」」」

「っこここんらっど・・?アンタ何あっさり承諾してるんだよーー!?」
「コンラート、わかっているのか?これは、ただの服ではない、女装なんだぞ!?」
「そうですよ隊長!いつも女装とか、嫌がるじゃないですか?」

「スカートといっても、これ、ソックスが長いし、短くても上着も有るし、ズボンで寝ると思えば
たいしたこと無いでしょう?第一、猊下のお願いですし、クリスマスの時くらい、一つお願い聞いても
おかしくないでしょう?」

「さすがは、ウェラー卿!そうそう、純真な子供のお願いの一つを叶えると思えば、このくらい
平気だよね!?」

「純真な子供・・?」
「うわぁ、プー閣下、そこは突っ込んじゃダメですって!」
耳ざとく聞き返したヴォルフラムを慌てて、ヨザックが止める。きらーーんと、村田の眼鏡が光ったが、
コンラートが続けて話しかけたので、事なきを得た。グッジョブ!お兄ちゃん!

「これ、着ればいいんですよね?陛下の護衛があるので他は何も出来ませんが、それでいいですか?」
と、何気にこれ以上の要求を却下した護衛氏・・・流石だ。村田も、余り無理を言って、折角来てくれる
というのを撤回されたくないので、うんうんと頷いた。

「うん、これを着て、ヨザックと一緒に、この後のパーティーに出てくれるだけでいいよ。」
「では、承りました。」
じゃぁ、着替えますね・・そう言って出て行くコンラートを、ポカーーンとした表情で、
有利・ヴォルフ・ヨザックが、見送る・・・コレが噂に聞く聖夜の奇跡??(←どんな奇跡だ!?)
なのだろうか?あのコンラッドが、村田のお願いをあっさりポンッと聞いてしまうなんて!?
「「「恐るべし、聖夜マジック・・・。」」」





チラチラと、先ほどから一点に向かって会場中の野郎の視線が集まっている。
視線の先にいるのは、本日も可愛らしい魔王陛下・・の隣にいる女装二人組みである。

一人は、頭にトナカイの角と耳付のカチューシャをつけ、茶色の肩を出したミニのワンピースを着た、
女装の達人グリエヨザックだ。ワンピースの胸元や裾の白のファーの縁取りに、ワンポイントの
ボンボンがトナカイを可愛らしく演出している。足元の膝丈のレッグウォーマーと、上腕二等筋半ば
まであるロング手袋も同じデザインで、微妙に露出を抑え込まれている。(←村田さんの仕業)

そして、もう一人。こちらはサンタクロースの格好をした青年である。そのサンタの服が問題であった。
真っ赤なベロアに白い縁取りのファーは定番なのであるが、フードのついた上着は胸の所までしかなく
中心でリボンで結ばれている。その下からは、鍛えられたしなやかな肢体が見え隠れしている。
普段、軍服に隠れている首筋から鎖骨にかけてのラインは、惜しげもなく晒され、そこから胸の中心線
をとおり、細い腰までが完全に見えているのだ!

その細い腰を強調するかのように、太くがっちりしたベルトが巻かれていて、それが甘さの中に
彼のかっこよさを出していた。また履いているスカートの丈が素晴しい!!

少し大股で歩こうものなら、下の下着が見えはしないかというような、超ミニスカート!

そして、普段は硬い軍服のズボンで覆われている長くてすらりとした足は、太腿まである真っ赤な
ソックスで覆われ、やはりベルトで落ちないように止められていた。そして、ソックスとミニスカートの
間・・わずか5センチあるかないかではあるが・・・・

ふ・・太ももが見えています、コンラート閣下ぁぁ!!!

頬を染めて、うっとりと見つめる、野郎野郎野郎!見事に野郎の視線の独り占め状態だ!!



で、その視姦されている、本人といえば・・・・我関せずを見事に貫いていた!
さすがは、マイペースの帝王!元王子、人に見られることくらい減っちゃらだい!
その姿は堂々としたもので、恥ずかしがると言うような所は見られなかった。

もしや?コンラッド・・・女装スキとか?露出狂とか・・?

そのようすに、こっそりと名付け子と弟は、コンラートに対して疑惑を覚えた。

「な・・なぁ、コンラッド・・・その、恥ずかしくないの?」
「あぁ、こういうのは恥ずかしがってはダメです。堂々としていないと、直ぐにでも襲われますから。」

・・・今、にっこりと爽やか笑顔で、恐ろしいことを言われたような?

「あぁ、それはいえますね〜。なにせ、隊長・・子供の時は女の子以上に可愛かったですし、そういった
趣味の奴には、最高級肉並みにご馳走ですからね〜。いや、よく連れ込まれていましたよね〜。」
物陰とか、空き部屋とか?

「「な・・なにぃ!!」」
これには、有利とヴォルフはびっくりだ!

「それで、どうしたんだい?」
恐れを知らない村田だけは、続きを促す。

もちろん、泣いて出てきましたよ。

「なんだと!コンラッドを泣かせたやつだと?誰だ!とっちめてやる!!」
「コンラート、言え!!今からでも遅くない、僕が丸焼きにしてやるからなっ!」
何を思ったか、少年二人が、女装のサンタさんに詰めよる。

「坊ちゃん方・・何誤解しているんです?泣いたのは相手のほうです。」
「「は?」」
コンラートは普段から服に武器を隠し持ち、不埒な輩を退治しまくっていたのだという。


「獅子と猫の子は似ているが・・獅子は、子供の時から獅子なんだね〜。」
うわぁ〜〜くわばらくわばら〜と、村田はワザとらしく怖がってみせた。

「「・・・・・・・。」」

丁度そこへ、領地からグウェンダルが帰ってきた。

コンラートの姿を見ると、眼を丸くして驚き、固まった・・・。

「まぁ、仕方ないか?グリエちゃんどころか、弟さんが女装しているんじゃ〜な〜。」
あはははと、乾いた笑いをこぼす有利。だが、長男は眉間の皺を三割増しにすると、ツカツカと
コンラートのほうに真っ直ぐに歩いてきた。

「コンラート!なんだその格好はっ!?」
凄い剣幕で迫る長男に、あわてて有利陛下が、間に入る。もとはといえば、これは親友の村田の
仕業である。ここは、コンラートをかばわなくては!!
「わぁ〜〜まって、グウェン!これは、村田が!!」

「私の贈った衣装はどうした!?」
「これは猊下のご所望でね?おや?《兄さん》?まさか、猊下の頼みより自分のご趣味を優先させると?」

あれ・・・?

「何、猊下が?お前は猊下の頼みだと、こ・こここんな破廉恥な衣装もきるのかっ!?」
「破廉恥って・・・猊下の選んで下さった衣装に文句があると?」
「あれ?なに?フォンヴォルテール卿?僕の趣味が何だって?」
「ぐ・・・。」

きらりと、自分のセレクトを貶された村田の眼鏡が光る・・彼の眼鏡が光るときは要注意信号だ!
途端に、グウェンダルが詰まる。

「大体、これが破廉恥なら、兄さんの衣装は、猥褻物です!」
「な・・なにーー!!」

「ヴォルフ!しっかりしろ!目が点になっているぞっ!」
「・・・卑猥・・ひわいって・・兄上は一体どんな衣装をコンラートに?」
兄二人の会話に、ブツブツ何事かを言い始めた末っ子の肩を、有利があわててゆする。
「うわぁ〜〜!ヴォルフ・・かえってこーーい!」
魂が半分ぬけちゃっているぞ〜〜!


「なるほど・・道理で、あの衣装をあっさり着たわけですね。」
「なんだ、僕は良い様に利用されただけか?ま・・今回は彼の艶姿も見れたし、よしとするか?」
どうやら、コンラートがあっさりぽんと女装をし訳もわかって、妙に納得顔のヨザック。
事の顛末を知って、怒るかと思われた村田に関しては、どうやら無問題らしい。

むしろ問題ありなのは、長男と次男だろう?

一体、毎回毎回、何で長男は次男にばかり衣装を着せさせようと言うのだろう?女装なら、断然
三男のほうが、似合うはずなのに。

「親分・・・ハロウィンの時に、うっかり開けちゃった扉がまだ閉まってないようですね〜。」
「彼の秘密の部屋には、一回解放したら、収まりつかないものが、入っていたみたいだね〜。」
人の不幸であるので、この主従は傍観の構えだ。たしかに、傍で見ている分には、楽しい三兄弟だ。
そのうち、長男次男のいい争いがエスカレートしてきた。こうなると、もはや、子供のけんかだ。


「いいじゃないですか、この衣装は全部猊下が俺の為に選んでくれたんです!折角のご厚意を
無にするよりは、このくらい着たって!」
「なに、全部だと?ではこの下も私が贈った ふわふわウサタンパンツではないのだか?」

「「うさたんぱんつ??」」←有利とヴォルフ同時ツッコミ!

あっ!!??

何を思ったか?グウェンダルは、コンラートのスカートを・・めくった・・!!!

その下には、お揃いのレースの真っ赤な紐のショーツ。もちろん縁取りは白いファーだ。
「うわぁぁぁ!!??」
あわてて、コンラートがスカートを押さえるが、もう時既に遅し!周りの男達は、スカートの中という
聖域をバッチリ見てしまったのであったぁぁー!

ぶっぷーー!!!!!

会場中を真っ赤な虹が幾重にもかかった。おぉ!ファンタスティック!(?)その後、バタバタと
男たちが血だまりに倒れる・・・。累々と転がる屍は、まるで戦場のようである。
ただし、皆幸せな顔をしているところが、かえって不気味だ。きっと脳内には、翻ったスカートを
必死で押さえる瞬間が焼きついているのであろう?


「な・・なにをっ!」
「何をする!この痴れ者がぁぁぁ!!!!」

ちゅっどーーーん!!!!


コンラートが怒りに鉄拳制裁をする前に、その名付け子が切れた。サンタさんのミニスカートを
めくった犯人は、突然沸き起こった血で出来た水蛇に咥えられて飛んでいってしまった。
床掃除が大変だと嘆いていたメイドさん達から、やんややんやの拍手喝采!後には元より綺麗に
なった床があり、きらりと光る床に、陛下のコンラート閣下への愛が窺えると、乙女たちは
思ったとか思わないとか?

が、収まりきらないのが、当の陛下だ。もう、ブチブチと額の血管が切れまくっている。

「守備兵!!すぐさま、今飛んでったフォンヴォルテール卿を、アニシナさんの地下室に
監禁しちゃって!」

「「はいぃぃ!陛下!!」」
ぜいぜいぜ!!と、肩で息をしつつ、魔王陛下は警備に当っていた兵士に指示を飛ばす。
憐れ、ハロウィンに続き、クリスマスも魔王陛下に飛ばされた長男ー。且つ、赤い悪魔への
貢ぎ物に決定。

「年明けまでかえってくんなーーー!!!!」

あぁ、どうやら、新しい年明けも拝めなくなった模様・・・。つくづく、アニシナの薬を誤飲したせい
とはいえ、弟さんに良からぬ懸想した罪は重かった。

「ゆ・・ゆーり?」
どうどうと、興奮気味の魔王を鎮めようとするコンラート。が・・それでは馬だ・・。

ぎん!!
やはりというか、それでは納まらないらしい。凄い目つきで、コンラートまでが睨まれた。

「コンラッド!帰るぞ!でもって、着替えるんだ。おれ、いつものコンラッドが一番好きだからなっ!」
「ユーリ!! −はい!直ぐに着替えますね?」(←妙にウキウキした声)

魔王は肩で風を切ってズンズン!っと、その護衛を連れて出て行った。向かう先は、魔王部屋。

どうやら、このまま入浴タイムのようだ。

それを見送る、トナカイと賢者・・ちなみにいつもうるさい三男はといえばーー

「兄上が・・コンラートのスカートをめくった・・・あははは・・」
なにやら、認めたくない物があるらしく?壁に向かって、ブツブツ呟いていた。



「はぁ、例え兄弟でも、他の男が触るのがいやなんだな〜。」
「だから、お風呂で洗い流すって?・・親分たら、すっかりバイ菌扱いね〜?かわいそーー!
でもって、ぼっちゃんったら、しっとぶかぁ〜〜い!」
くねくねと、シナを作って面白がるトナカイ。

「でも、それが解っていて、やっている節があるからね〜〜かれ・・。」
それに、ツコミを入れるわけでなく、どうどうとお酒を飲んでいるのは大賢者だ。

「でしょうねー?隊長は、隙あらば、坊ちゃんから愛の言葉を引き出そうとしていますからね〜。」
何分、恥ずかしがり屋の有利は、中々その手合いの言葉を言ってはくれないのだと、酒の席になると
愚痴をこぼす幼馴染を思い出す。


「あ〜〜!!」
「どうしました?猊下?」
突然何かを思い出したかのように叫ぶ村田に、トナカイもびっくりくりくり!

「やられたー!今年最後のTOTOって、明日が発売日か!?」
多分、この様子をみた城の者は、こぞってウェラー卿コンラート株を買い求めるであろう?
となると、今年最後の『陛下ご寵愛トト』の第一位は、コンラートということになる。

「あらま、じゃぁ、今年の総合優勝も隊長が一位ですね♥」


もしや、そのために女装すらもしたのか?


本当に、手段を選ばないね・・
隊長ったら、お腹『真っ黒い』ですから。
純黒だねー
じゅんぐろですぅー♥


と、言いつつ、このトナカイはコンラート株の大量保持者だ。例え儲けは少なくとも、確実に取れる方が
いいにきまっている。(村田は賭けにならない事はしない)

失血で倒れている者(主に兵士)、陛下と閣下のうわさをする者(主にメイド)我感ぜずで地下室で
実験を繰り返す者、そこに貢ぎ者を連行する兵士に、引き渡された血まみれの男・・・悲喜こもごも
で、クリスマスイブは、暮れて行く。


とうぜん、ここ魔王部屋でも。

「うわぁ!コンラッドさん?何で押し倒されているの?おれ?」
「だって、今夜は、日本では恋人達の夜でしょう?」
「なんで、地域限定な風習をアンタがって、ムラタ!ムラタだな!?ちっくしょー!余計なことをぉ!」
ベットの上では、まな板の上の鯉ならぬ、褥の中の魔王だ!当然、いただくのはこの人・・魔王の護衛にて
恋人でもあるウェラー卿コンラート。風呂から出たばかりなので、その髪はしっとりと濡れ、色気が通常の
三割り増しである。(魔王様比)

「でも、いつもの俺が好きだって言ったのは貴方だ。だから、服も脱いだし、いつもの俺に戻った俺を
愛して下さらないんですか?」

切ない瞳で・声で 訴えられると、有利にはあがないきれない物がある。なにせ、秘密の恋人(←と、
思っているのは有利だけ、皆気付いている)であるコンラートには、普段から色々我慢してもらている。
こんな日ぐらい、滅多に言わない我が儘くらい(←しょっちゅう言っているが、そうと感じさせない
コンラートのテクニック)叶えてあげなくて、恋人といえないではないか!?

不肖渋谷有利、野球小僧であるが、一応魔王でもある、ここで逃げちゃ、男が廃るってものだぁぁーー!

無駄に男気のある陛下は、ころっと護衛氏の術中にハマッテしまい。了承の意味で、そっと男の背に
両腕を回した。その意を正しく受け取って、コンラートが天使かと言う様に、綺麗に微笑めばーー


恋人達の熱い夜は、まだまだ続くのでした






12月2日UP
じんぐるべーるじんぐるべーる〜鈴が鳴る〜〜とくりゃ、はーい!一日遅れで、イラスト付随の
小説が出来ました。もち、コンユです!有利の愛を勝ち取るためならば、女装もいとわない!
流石ですコンラート閣下!愛ですね〜。こちらもフリーです。イラストとあわせてどうぞ〜。