| 今日からママシリーズ 番外・If・・ もしも地球にコンママがきちゃったら? その2−2 美人台風上陸? |
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10万打企画・リクエスト はぁはぁはぁ!なんでだ?どうして俺が!? 少年は路地を走りぬける。イキナリ声をかけられたと思ったら、囲まれて路地に引きずり込まれそうになった。 一体なんなんだ?あの・・ 女子高生の集団はぁぁーーー??? 「ふっふっふ、良くぞ聞いてくれました!」 「うわっ!でたっ!!」 少年は、突然行く手を阻まれ、急停止した。 「私達は、CFC日本支部の構成員です!我等がお姉さまコンスタンツェ様を、こそこそかぎまわって いるのは、貴方ですね!」 妙な迫力のある女子高生に、道の四方から囲まれてしまった。 「だったら、なんだよ!」 やけになって、少年は叫んだ!いつもは、徒党を組んで学生から金を巻き上げたりして、腕にも多少は 自信があるが、相手はやたら人数が多い女子高生だ。 14・5人はいるだろうし、訳のわからないことを言っている!構成員って?CFCってなんだよ?CIAとかKGBとか の親戚かよ!!あぁ、こんなことなら、学校にいた時ちゃんと勉強しておくんだった!(←教科書にはない) 「もちろん、吐いてもらいます。知っていることは全て・・知らないこともねっ!」 いや、知らないことは無理だろう? 「なんで、コンラッドが、コンスタンツェの姿でここにいるの?」 夕食を食べながら、有利がもっともな質問をする。コンスタンツェとは、コンラートが女性の時に使う偽名だ。 「だって、俺、前にこちらに前に来たときに、女性姿で認識されてしまいましたので、一応変装してきました。」 変装とは・・性別を変えちゃうものなのか?? 「いいじゃないか、今回は僕が招待したんだよ。ほら、今度の学園祭で有利君が初の主役をするからね〜?」 ぶっぶーー!!! 「こら、ゆーちゃん!味噌汁をふくなー!きちゃないな!まったく、いつまでたっても、お子ちゃまなんだから。」 「う・・うるさい勝利!つーか、何で村田がそれを知っているんだ?俺、隠していたのにっ!」 「あっはっはっは、渋谷・・・僕に隠し事なんて4000年早いよ。」 おそるべしっ!!4000年の熟成は伊達じゃなかったか!? 「あ、もちろん、ゆーちゃんの艶姿は、ママもパパもショーちゃんも見に行くわよ?」 お姫様役がんばってね!うふ♥ そして、ハマのジェニファーと、二つ名を持つ母親も 伊達ではなかった! 「な・・なな何でお袋達まで知っているんだ!」 「いやね、お袋じゃなくって、ママでしょ?マ・マ!」 「ちゃんと、DVDに残してやるからな・・安心して、がんばれよ。」 「余計なことをするんやねぇ!バカ勝利!!」 「勝利!そのDVD、俺にもコピーしてくださいね?」 キラキラした目で、コンラートは、勝利を見た! 「コ・・コンラッド!?」 「再生装置はあるのか?」 「えぇ、以前猊下にいただきました。」 「そうか、じゃぁ、大丈夫だな?」 大丈夫じゃなーーーーい!! 「勝利!弟の恥を未来永劫保存しようとは何事だ!コンラッドも!そんなもの欲しがるんじゃありません!」 憤る弟に、兄は黙々と栗ご飯を平らげると、おもむろに言った。 「・・・・・・・・・・いや、ゆーちゃんが嫌なら撮らなくてもいいが・・いいんだな?」 やけにあっさりと引いた兄に、有利は拍子抜けしながらも頷く。当然いいに決まって・・・ 「 酷い・・。せっかく勝利が映像にしてくれるって言ってくれているのに・・。」 だが、有利の正面から、じと〜〜と恨みがましい目で、異世界からの恋人の抗議が来た。 「まぁまぁ、仕方ないだろうコンラッド。ゆーちゃんが、お前 に 映像を渡すのは だめだって言っているんだし。」 -- え?俺は、羞恥映像を撮るなと、兄貴に文句を言ったはずなのに? 「せっかく、グレタに有利の艶姿を見せてあげようと思ったのに・・。」 「うわぁぁ、やめて〜〜!娘にそんな羞恥PLAYを見せないで〜〜!!」 「何言っているんだい?学芸会なんてたいしたことないだろう?大体、キミ向うでミュージカルしたって言う じゃないか?それに比べれば歌がない分、こっちの方がましじゃないか?」 村田の中では、羞恥の度合いは、女装劇<ミュージカルなのか!? 「とにかく、だめったら、だめ!!というか、みにくるなーー!!」 有利は、劇に出るのも恥ずかしいが、それが女装でお姫様役というのが、今でさえイヤなのだ。 それを、家族総出で見に来られ・・あまつさえ、恋人にまで見られ、その上、異世界の娘にまで 映像として見られるなんて、もってのほかであった。 「ひ・・ひどい、ユーリは俺が来たのなんて迷惑なんですね!?」 うるるん・・・と、コンラートは瞳を潤ませて、有利を見た。 「へ?」 「酷いわゆーちゃん!なにも、異世界からわざわざいらしてくれたコンラッドさんに、そんな事いうなんて!」 -- いや・・だから、おれは、兄貴とかお袋とか村田とかに言ったのであって、別にコンラッドに・・ 「すまないな、コンラッド。こんな薄情な弟で。そうだ、変わりに俺が、いい所に連れて行ってやろう」 勝利が心底同情したように、いたわりの言葉をかけると、コンラートは勝利を見つめた。 なに!? 「勝利・・・。」 「そうだね、せっかく来たんだ。勝利さんに地球観光に連れて行ってもらえばいいよ。薄・情・な! 名づけ子兼主なんて放ってね。」 村田も気落ちするコンラートに、横からそっと肩を抱いて慰める。 「猊下・・そうですね。」 えぇ!! 「じゃぁ、決まりだ。あ、泊まるのは僕の家に来なよ。部屋が余っているし、いつもおいしいご飯を食べ さしてもらっているお礼さ。帰りも僕が当然送るからさ、安心して遊んでいきなよ」 「はい、では、当分ご厄介になります。」 じょうだんではない!!! 「まてまてまてーーぇぇ!!わかった!見に来て良い!いいから!!」 有利は、あわててコンラートを引き止めたが、見返す彼の目は冷たい。 「ユーリ、別に無理しないでいいですよ。俺は、猊下の家から国に帰りますから・・もうここにはきませんから!」 すっかり、へそを曲げてしまったコンラートは、では早速、行きましょうと、村田と連れ立って出て行こうとする。 「まって〜〜!見に来てください!もうぜひ!!コンラッドさんに見て欲しいな〜〜!」 有利は椅子を蹴倒して立ち上がると、出て行こうとする美人の名付け親にすがりついた! 「・・DVDとってもいい?」(←すかさず、更なるおねだりが!) 「う・・・そ・・それは・・。」(←せめてもの抵抗) 「猊下行きましょう!」(←交渉決裂?) 「いい!もうばっちり、羞恥PLAYでも何でも撮っちゃってぇぇ!そのかわり、映像見て気持ち悪くなっても 知らないからなっ!」 半ばやけになって有利はわめいた。目にはうっすらと涙が溜まっている。 「俺が行っても迷惑じゃない?」 「おれは、コンラッドを迷惑だなんて、思ったことないからな!!」 ぱっと、コンラートの表情が輝いた。くりんと振り返ると、そのまま小さな主に飛びつく。 「うれしい!ユーリ」 「おれもうれしい・・・胸の感触が♥」 鼻の下を伸ばしている有利は気がつかなかったが、コンラートは有利の肩越しにVサインを出し、 美子・勝利・村田が、親指を立てて『グッジョブ!』と、彼の演技に答えていた。世の中知らないことが 幸せって事もある・・。そんな、一場面であった。そこにーー 村田の携帯が、懐かしいアニメのOPテーマを流し始めた。最近、増やした着メロは、とある構成員達用だ。 ちなみに、選曲は『ベ○サイユのバラ』・・・彼女達のノリには、ナイスなチョイスだと思う。 『大変です会長!伊藤君たちが危ない!』 電話に出た途端に、物騒なことを口にした構成員の女子高生に、流石に村田も驚く。 「どういうことだい?」 なんてことだ、あの上久保という男、思った以上に小悪党だったようだ。 「あ、ウェラー卿、ちょっとこっちに。」 村田は電話をしながら、コンラートを手招きする。少しだけ声を潜めると、渋谷家の皆さんには 聞こえないように話す。 「大至急、○×公園にむかって、劇の王子役の男子生徒が塾帰りにその道を通るはずなんだ。君の事を 探っていた男達が、彼をそこで待ち伏せしている。早くいってあげて、僕はもう一人、狙われている 学級委員の男子生徒のバイト先まで行くから。」 CFCの構成員達が捕まえた小者のヤンキーを締め上げてみれば(一体どうやったんだろう?)、彼の口から とんでもないことを聞き出せた。彼等を動かしているのは、あの上久保健也であった。 あの男、よりによって、なんと!?渋谷有利に目をつけたらしい。あの野球小僧を、美少女と信じた上久保は、 少々強引に彼女(笑)を手に入れるために、今度の学園祭で行われる有利のクラスの劇に目をつけたようだ。 相手役の王子の生徒に、怪我をさせて、入れ替わるつもりだったようだ。そして、その障害となる学級委員の 伊東も学校にこれないようにする気なのである。 「待って猊下、○×公園なら助っ人を頼んだ方が早い。もう一人の伊東君のバイト先は?」 「ここからが渋谷の学校に行く途中に、コンビニがあるだろう?あそこ・・時間は9時まで。」 ちらりと時計を見れば、まだ終わるまで20分ある。それだけ時間があれば大丈夫だ。 「まずは公園ですね。」 おもむろに、コンラートは電話をかけ始める。 「夜分すみません、コンスタンツェ・ウェラーと申しますが、桜木さんのお宅でしょうか?」 桜木さん??あぁ、確か公園前に住んでいる元気のいいおじいちゃんの?・・ってまさか?? 「おじいちゃんをお願いします。」 どたばたどたーーんと!電話口からけたたましい音が、一体向うの家で何が起っているんだ? 「あれ?流川のおじいちゃん?どうして桜木さんの家に?でも、ちょうどよかった、実はおじいちゃん達に お願いがあるんです。・・うふ♥」 ウェラー卿・・うふって・・・。(ーー;) 「お先に失礼しまーす。」 伊藤は、従業員用の上着を脱ぐと、学生服の上着を着込んでバイトのコンビニを後にしようとした。 すると、ポケットに入れている携帯から電話が鳴った。 『あ、伊藤君?ひさしぶり。』 声は女性のものだ・・だが、聞き覚えがないはずの声に・・得体の知れない恐怖を感じる。 いやまさか、アノヒトだとしても、何で俺の携帯番号を知っているんだ? 『いつぞやは、俺のユーリにお弁当を貢いでくれたよね?』 「・・・・・・・ま・・まさか、コココ・・コンスタンツェ・・さん?」 『いいから、今から俺が行くまで従業員室から出ないように、出たら・・泣くことになるよ?』 ひぃぃーーー!! コンスタンツェとは、クラスの友人である渋谷有利の『名付け親』の美人さんである。 だが、彼女は、名づけ子を溺愛しており、不用意にちょっかいを出せば、男女問わず凄まじくも美しいでもって、 身の毛も凍る微笑を浮かべて相手を威嚇するのに、名づけ子にはその気配すらつかませないという、離れ業を持つ お人である。伊藤は初対面の時に、弁当がなく空腹であえいでいた有利に自らの弁当を差し出した所、彼女が 豪華算段重ね弁当を持参して現れ、以来、有利に餌付けしようとする輩と認識されてしまい・・・笑顔を向けられて なぜか命の危険を感じるという恐怖を味あわされたのだった。 しかし、彼女は自国に帰ったと聞いていた。もしかして聞き間違い?自国じゃなく地獄?・・では、あの 美人さんは、地獄の使者ーー!! 出るなといわれたが、出ないでここに居たら、恐怖の大魔神さまが降臨なさる〜〜〜!! 突然の電話で、すっかりパニックになった伊藤は、出るなといわれた従業員室から飛び出してしまった。 店から出た所で、薄暗い駐車場の物陰から、いかにも柄の悪そうな20歳前後の若い男達がぞろぞろ出てきた。 「おまえが、伊東か?」 しかも自分を指名だ。 「あ・・あの、一体どちらさまで?」 「ちょっと、面(ツラ)貸してもらおうか?」 「えぇ!!」 がしっと、両脇から肩を組まれて、まるで仲間の一人のように伊藤は近くの空き地へと連れ込まれた。 助けを呼ぼうにも、周りは誰もいない。店を振りかえるも、明るい店内から暗いこの場所は、見えはしなかった。 しかーし!誰も見ていないと思われたその行為は、じつは物陰から三人の女子高生によって目撃されていた。 うち、一人が携帯を取り出すと、短縮で電話をかけた。 「もしもし、会長?保護対象が敵に捕獲されました。向かった先は、コンビニの先の空き地のようです。」 『了解、後5分くらいでつくから、もし保護対象者が危険と判断したら、叫び声の一発でもあげてくれる?』 「お任せください、当方には合唱部がおります。』 『たのもしい!じゃ、5分後に』 プチッと通話を切ると、彼女達は、不振人物達を見張るために、ススススーと闇夜にまぎれた。 一方、コンラートの忠告を聞かなかった伊東くんは、男達にぐるっと囲まれて怯えていた。 「学級委員さんなんだってな?なるほど、いかにもそんな感じだな。しかしちょっと、でしゃばった性格 が仇になったようだな?悪いが、しばらく動けない体にさせてもらうぜ?」 両方の腕をとられ、動けないように地面に膝をつかされる。 正面に立つ男が、持っていた長いくぎ抜きのような重たい棒を振り上げた。 「ひぃ!!」 がしっ!! 「こらこら、いたいけな亀をいじめちゃいけないな?」 「いててて!」 だが、襲いかかるはずの痛みは襲ってこず、変わりに悲鳴を上げたのは、目の前の男の方であった。 男は、後ろ手に腕を捻じ曲げられて、痛みに唸っていた。 「こら、出るなといっただろう?おかげでヤッパリ泣く事になっただろう?」 人の親切は、ちゃんとうけとるべきじゃないかな? 伊東と目が合ったのは、やはりというか、渋谷有利の名付け親美人さんだ。 「ごごごご・・・ごめめんなさ・・いいいい」 助けられたはずが逆に涙目だ。 「ウェラー卿・・相手をここまでビビらすなんて、君はいったい何をしたんだよ・・。」 「さぁ?伊東君に聞いてください。」 いやぁぁーきかないでーーー!!! 「いってて、おい、いい加減腕を離せ!」 文句をいう若者を、コンラートはぺいっと離した。痛みに体を曲げながらも、仲間の下ににげる。 「この女!舐めた真似をして!」 集団に戻った途端に元気がいいな〜。なんて、コンラートたちは、にこやかに雑談している。 「あぁ、キミタチ、先に行っておくよ?君等がした事は、彼への拉致・傷害未遂・恐喝だ。素直に警察に 行くなら見逃してあげるけれど、どうするんだい?」 村田が自首をすすめるが、当然このような小者が行くわけがない。 「うるせえ、だったらお前等も話せなくしてやるよ。女は自分から話せないような体験させてやるからな」 「猊下、どこの世界も、何で小者ってこう同じ事を言うのでしょう?」 「ボキャブラリーが豊富なほど、勉強しないからじゃない?せめて、新聞は読んだほうがいいよー。」 そういいながら、コンラートが前に進み出て、村田が伊東をつれて彼の邪魔にならない所まで下がった。 「お・・おい、コンスタンツェさん、一人で大丈夫か?相手は、凶器を持っているし、人数だって!」 「大丈夫だ、悪党にも段階があってね、若い頃はわるだったんですーーなんて、笑っていえる程度の 覚悟しか持ってない半端者に、ルッテンベルクの獅子は倒せないよ。」 ルッテンベルクの獅子?? 「きゃぁ、それって、お姉さまの二つ名ってやつ?」 「いやん、獅子ですって、私もたべられたい!」 「かっこいい、流石お姉さま!」 「うわぁぁぁ!だ・・誰だって・・お前、大和に明日葉?なんでここに?って、もう一人は誰?」 「あ、合唱部で明日葉先輩と仲良くさせてもらっている、飛鳥です。」 「あぁ、これはご丁寧に。こいつ等のクラスの学級委員をしている伊東です。」 じゃなくって!なんでここに、うちのクラスの女子がいるんだーー! 「彼女等が、君の危機を教えてくれたんだよ。感謝したまえ。」 突然現れたクラスの女子に、わけのわからない伊東を、村田が短く制す。 「さぁ、始まる・・僕らは、少し物陰に移動しよう。」 そう言われて視線を戻せば、手に鉄の棒やナイフをもち、威嚇するように唸る男達に対して、 コンラートの方は実に自然体だ。村田たちの位置からは、まっすぐに通った背中だけが見えた。 先に動いたのは男達、ナイフをちらつかせても、驚きもしない相手に業を煮やして突っ込んできた。 振り回すナイフの先を、しっかりと目で捉えて、コンラートは状態を少し揺らしただけでかわし続ける。 「す・・すごいコンスタンツェさんって・・何者?」 伊東たちも、その常人ではない動きに、すぐに彼女が通の人間ではないことに気がついた。 となれば、当然、相対している方も、そうと気がつく。だが、彼等は、所詮はこの平和な日本で、武器も何も 持っていない相手を多数で取り囲んで脅すことしか出来ないような不良君たちである。 自分より弱い相手としか相手をしてこなかったがゆえに、彼等は戦いにおいて、数の優位と性別の優位で 物を判断することしかできなかった。 だから、通常通りに判断し、女一人を男数人で押さえ込めると信じた。 だが、それは間違いだ・・・それに気がついた時はすでに、彼等は全員地べたに這いずり倒れていた。 彼等は、何が起こったかわからないだろう?だが、遠くから見ていた伊東たちには見えていた。 まず、コンラートは、ナイフをかわし続けて、相手がナイフをまっすぐ突き出したところを、上体を後ろに 反らすように傾けて、その反動で蹴り上げた足で、その手のナイフを蹴り飛ばした! 「バック転でけったぁ!?」 何その、映画みたいな技は!? 「あぁ、この前テレビでマ○リクスを見て、やってみたいって言っていたな・・。」 なんでも、彼女は最近、DVDで色々昔の映画やアニメを見ているそうなのだ。 驚きの技を繰り出した後、着地した反動を今度は使って、コンラートは勢い良く飛び出し、低い姿勢のまま 男の懐に飛び込んで、鳩尾に一発叩き込んだ。そして、自分に向かって前かがみで崩れる男の顎に、全身を使った アッパーカットが炸裂!! 「あ、そういえば、あした○ジョーをみて、ボクシングに興味を持ったようだったな。」 村田さん、いったい何を見せているのだ? 吹っ飛んだ仲間に、男達の視線がむくと、コンラートはすばやく死角から男達に近づき、まずは鉄の武器を 持っている男の顔面に回転を加えた拳を叩き込んだ。 その動きに気がついた仲間がコンラートを視界に入れた瞬間・・・! コンラートのおみ足がキレイな弧を描いた・・・・。 「「「きゃぁぁ〜。キレイなおみ足!」」」 そのキレイなおみ足が・・一番手前の男の胴にヒットして、後ろにいた二人を巻き込んで吹っ飛ぶ! 「そろそろかな?」 後ろから、複数の足音がこちらに向かってくる音を、村田の耳は捉えた。もちろん、人の気配に敏い彼も 気がついただろう。 「あ、おまわりさーん!こっちです。」 村田は、わかりやすいように通りに出て、複数の女子高生と一緒に走ってきた警官を手招きした。 警察官と、女子高生が到着すると、そこには地面に這いつくばっている5・6人の若い男と、中央に立つ若い女性。 「コココ・・コンスタンツェさん!!!いつ日本へ!?」 あぁ、ここにも、FANがいたか・・・つくづく、女性になったウェラー卿はすごいよ・・。村田は、だがやりやすいと、 警官に向けて、携帯を見せた。そこには、今にも襲われそうな高校生とそれを取り囲む男達の姿があった。 「じつは、そこの彼女達が彼のクラスメイトで、偶然に彼を襲う彼等の会話を聞いて、僕に相談の電話を入れて きたんです。ちょうど、僕は友人の家にいまして、彼女に一緒に来ていただいたんです。そしたら、もう、襲われる 寸前で・・すいません、彼を連れて逃げるだけの予定だったんですが、ナイフや鉄の棒で襲われてつい、反撃を・・・。」 その反撃の結果が、この地面に倒れ付している状態らしい。やっと、状況が飲みこめた警察官。 もう、怖かったです。と、村田はいかにも恐怖体験だったという様子をかもし出し、うんうんと女子高生もそれに 追随する。伊東は、怖い思いをしたのは自分だけだとおもったが、流石に言い出しにくく、同じく頷いた。 「あれ?あの時のおまわりさん、お久しぶりです。すみません、また同じような状況で。」 コンスタンツェは、警官にお手数をおかけしますと、頭を下げた。 「いいいいえ、また、犯罪者から一般市民を救っていただいて感謝いたいます!!」 ビシッと敬礼をする警官に、コンラートも微笑んで敬礼を返す。その堂に入った敬礼の仕方で、警官は形ばかり でないその様子に、あれ?と目を見開いた。 「あぁ、俺、元軍人なんです。ですから、簡単な護身術が使えるんですよ。」 その視線の意味をわかったのだろう?コンラートは、怪しまれない程度に、にこやかに答えた。 護身術程度では、こんなに男が簡単に転がらないだろうが・・・。 とりあえず、動けるので若者達は、応援で呼ばれたパトカーに乗せられた。コンラートたちも、その場で 事情徴収をされたが、なにせばっちりと、証拠写真もあるし、複数の証言もある。 被害者も、助けてもらえなかったら、大怪我をしていただろうし、男達が先に手を出してきたこともあり、 今回は正当防衛ということで、コンスタンツェにはお咎めはなかった。 伊東君たちは、自分が送りましょうと、コンスタンツェが申し出たことにより、彼等はまた何かあったら 後日呼ばれることになって、その場から家に帰ることが許された。 現場から、一行は足早に去ると、村田が携帯を取り出して、電話をかけた。実は先程から何度かかけたのだが もう一人のほうに向かった構成員に連絡がつかなかった。 何度目かのコールの後、やっと電話が繋がった。ほっと胸をなでおろそうとしたが、今病院にいると聞いて 村田は間に合わなかったかと危惧した。だが、どうやらそうではないらしい。公園で襲われそうにはなったが、 公園前に住む元気の良いおじいちゃん達が助けてくれたおかげで、無事ですんだのだが、襲ってくる男達を見て 驚いた拍子に、階段を踏み外して捻挫してしまったらしい。それで、おじいさんの知り合いの病院で手当てをして もらっていたのだという。 「うん、わかった。じゃぁ、襲われて怪我をしたわけじゃないんだね?うん、よかった。君達も気をつけて帰ってね。 あぁ、こっちはコンスタンツェさんがのして・・『きゃぁぁ!お姉さまいらしているんですか!?』・・」 キーンと耳元で大きな声を上げられた村田は、携帯をコンラートへと渡した。 「えっと、もしもし?」 『きゃぁ!お姉さま、いつ日本に?』 「今回は大変だったね?日本には今日ついたんだ。また、学校に行くときはヨロシクね。」 『はぁ〜〜い、おまちしています。』 元気良く、電話は切られた。 「あの、一体何が起こっているんですか?」 伊東が恐々とコンスタンツェに聞く。 「さぁ、それは俺にも?俺も、ユーリが危ないから、至急来るように呼び出された口でね?」 そういって、コンスタンツェは村田を見る。 「そうだね、君も、もう巻き込まれてしまったみたいだし、ここは君の協力も仰ぐとしよう。」 さて、翌朝・・有利が教室に着くと、すでにそこは戦場だった。 役者班全員が、台本を片手にブツブツと台詞を唱え、衣装班が布をもって家庭科室に飛び込んで行き! 大道具は・・関係なさそうだった。 「一体これは?」 「あ、来た来た、有利姫!」 「姫言うなっ!で、これは何事?」 「急いで、この台本を覚えて!」 「は?ま・・まさか、台本変わったの?だって、もう3日後には、本番だろう?」 クラスの女子に、新しい台本だというそれを渡されて、有利は目を白黒させた! 「渋谷、じつはな、王子役が足を捻挫してしまって・・急遽、台本を作り変えることになったんだ。」 学級委員兼舞台監督の伊東が、主役の有利に駆け寄って事情を説明した・ 「えぇ!!一体どうしたんだ!?」 「階段を踏み外して捻挫した。」 その前後のことはすっとばして、事実だけを有利に伝える。彼は何も知らなくていい。 『渋谷には何も言わない方が良い。なにせ彼は大根だからね〜。』 村田に、そういわれているのだ。たしかに、台詞はイマイチ棒読み感が抜けない。 というか、未だに姫役を恥ずかしがっているのだ。 だが、その恥じらいが、彼を姫らしく見せている側面もあるので、+−ならば、+の方に軍配が上がる。 なので、そこはむしろOK!!と、いうことで・・。 「じゃぁ、王子役は?」 「いいから、とにかく渋谷は、劇の流れだけおぼえて。」 はぁ?? 「脳筋族が、余計なことを考えない!渋谷は、クラスメイトを信じればいいんだ。」 うんうん!と、クラス全体が頷く。 「渋谷、俺たちを信じろ!」 「そうよ、渋谷君、私達、全力でバックアップをするからね!」 なぜか、ここにきて、クラス全体が燃えている。 「お・・おう、ありがとう??」 それに、半ば気圧されるように、有利は頷くのであった。 2009年4月13日UP はい、コンラートママ、めでたく異世界から日本上陸です。イキナリ、戦闘態勢ですね。 クラスメイトと一緒にドタバタ予定ですので、クラスの皆さんにもがんばって欲しいものです。 ところで、今学校って一クラス何人?私のときって、42〜6人くらいでした。教室が狭いよ。 |