今日からママのつくもしも、シリーズ?


もしも、地球にコンママが来ちゃったら? その5-2 温泉編


富士から少し戻って、慰安旅行って行ったら、箱根だよね!ということで、やってきました温泉に!

ここは、ボブ持ちだから!と村田に言われて着いたのは、やけに立派な旅館。でかーー!

しかも、特別室に連れて来られました!一泊何十万だよ!

「専用内風呂はわかる・・だけど専用露天風呂ってなんだー!しかも、泉質が違うじゃん!」
「ゆーちゃん、よく気がついたな、ここ強羅温泉は、パステルの湯と言われてな、泉質も色も
違う温泉がでるんだぞ。効能も違うから、ここの宿みたいに一つの温泉で複数の源泉から
引いているのもあるんだ。」
「へ〜すっげ〜。」
こういう時、意外に勝利は役に立つ。なんて思っていると、去り際に一言、特に此処の湯は切り傷に
いいぞと言い残して部屋に入っていった。・・切り傷って!・・おれは、にやりと笑うと意外は
取り消そしてやろうと、兄の評価をちょっと上げたのだった。

「渋谷、専用露天はこの部屋の人間のみだ、いつでも『気にしないで』入れるよ。」
「!!! ・・・・うん、ありがとう村田!」

有利は、気にしないでの意味を、たがえず受け取った。それはつまり、コンラッドだ。
彼の体には、無数の切り傷がある、特にわき腹の傷などこの平和な日本では目立ちすぎる。
そのうえ、今は女性に体が変ってしまっている。女性用にも男性用にも入れない彼。
だから、特別室を借りてくれたんだな。友人と兄の気遣いが、たまらなく嬉しい有利であった。


「では、まずはひっと風呂浴びに入るか!」
「では、お背中流しますね?」
「え?えへへ、ありがとうコンラッド!」

と、単純に喜んだ自分が馬鹿だった。相手は"あの"コンラッドである事を忘れていたおれ・・。


「だからって!アンタまで裸にならなくてもいいんだよぉぉ!!」


そうなのだ・・・コンラッドに自分が女性という意識はあまりない・・というか、皆無だ!
なので、いつもの調子で男性陣が露天に入っているのに、自分も普通に裸になって
入ってきたのだ。

「ですがユーリ。いつも言っているじゃないですか?お風呂の基本は裸だって。」
「だからって!アンタ今、自分の姿が女性だって事忘れているだろう!?背中流さなくて
いいから、内風呂のほうで温まってきてーーぇ!」

慌てたのは、有利と父勝馬とコンラートの弟であるヴォルフ。特にヴォルフは、真っ赤になって
いいのか、はたまた、真っ青になっていいのか?解らずに、真っ白になっていた。
弟としては複雑なのだろう。ナムナム(−人−)

有利としては名付け親兼妻であるコンラートの裸・・なんて誰にも見せたくはない・・。裸・・
うわ、コンラッドってやっぱ色白いな・・いいな〜胸が大きい〜・・って。いかんいかん!!

「ユーリこそ忘れてませんか?おれなんですよ?」

微妙に、コンラートの機嫌が悪くなる。


「いいじゃん、渋谷。ウェラー卿だって、ちゃんとバスタオル巻いているんだし、貸切なん
だから、問題ないよね。護衛の弟さんも一緒だし、身の安全の確保できているしね?」

その言葉で、真っ白になっていたヴォルフラムが急に復活した。そうだ、僕が姉上を守るんだ!

「ももも、もちろんだ!僕が護衛として付いているからには、何も問題はない!!・・(ハズ)」
だ・・だから、コンラート(姉上)は、安心して僕の側にいて平気だからな!
大賢者の口車により、一人陥落。

「思いっきり問題あるーーー!」

「そ・・そうだぞ、健君!いくらなんでも、息子の嫁と一緒にふ・・風呂に浸かるなんて・・。」
「・・勝馬?俺は『嫁』では、ないんだが・・。」
父子そろって、忘れっぽいな〜と、一人ごちるコンラート。

「あ〜俺はいいぞ〜どうせ見えてないし。それに、美人たってどうせ中身はコンラッドだろ?
男同士で問題ナイナイ。」
興味がないとばかりに、もう一人陥落。こうなると、どう抵抗しても多数決で決まりだ。

くっそー!ヴォルフは兄弟だから兎も角、どうりで冷静だと思ったら・・二人とも眼鏡外して
見えてないのか・・ズリーー!


「ウェラー卿、僕ら反対向いているから今のうちに、体洗って風呂に入りなよ。」
「ほら、有利も親父もこっち来い。もういいぞ、コンラッド。ゆっくりでいいから、終わったら
声を掛けてくれ。」
「ありがとうございます、猊下。ショーリ。」

機嫌が良くなったコンラートが、ぱさり・・と、バスタオルを外した。すぐ後ろで、体を洗う水音と
がすると思ったっだけで、ちょっと反応しそうになる自分が恨めしい。

いたたまれず、有利と勝馬が二人に抗議した。もちろん、後ろに聞こえないように、小声でだが。

「なんだよ村田。コンラッドは今、女性なんだぞ。内風呂の方に行ってもらえば・・」
「馬鹿か、ゆーちゃん。内風呂はお袋が入っているんだぞ?まさか、コンラッドに
お袋と一緒に入れって言うのか?」
「うわーそれだめ!嫁さんの肌を他の男には見せません。」
「だろ?だから、親父、コンラッドはこっち・・いいな。」
思い当った事に、勝馬が内風呂だめ宣言をする。まぁ、それはそうだ。
「ま。いいか、コンラッドは知らぬ仲でもないし、今はゆーちゃんお嫁だと思えば、
若い息子の嫁に、背中洗ってもらうのもいいよな。うはははは」


いや、祖父さんより年上だけどな・・。



「でも・・。」
しかし、ここでも、有利がごねる。それに、村田は仕方ないな〜と、ため息をついた。

「渋谷、キミ・・ここで内風呂にウェラー卿を追い出してみなよ。ちょっと前に、ツェリ様と
グレタに風呂に連行された時、見捨てたのは誰だっけ?」
「あ!」
「次は、無いってことだよ?助けてやったんだから、僕に感謝してね?」

すっかり忘れていたが、先日ツェリさまとグレタが、女同士で一緒にお風呂とか言って
嫌がるコンラートを湯殿まで連れて行ったのだ。散々、体を触りまくられたコンラートは、
助けてくれなかった兄弟と夫にかなりご立腹で、最後には自室に戻ってしまったのだった。


まずいまずい!あの時だって、散々謝ってやっと戻ってきてくれたんだった。
確かに、次はない・・。

「あ・・あぶなかった。」
思わず出た汗を、ぬぐうと

「何が危ないんです?」

慌てて振り返ると、すぐ後ろにコンラートさんが!何時の間にか体を洗い終わったらしい。
ほんのり桜色の染まった頬が色っぽーい!って、おっと・・いかんいかん。

「な・・なんでもないよ。それより、どう?温泉の感じは?」
咄嗟にごまかすも、コンラートには気づかれていないようだ。
「えぇ、いいですよ。後で、ユーリの背中を洗ってあげますね。あぁ、もちろん皆さんのも。」

にっこり、上機嫌の妻の様子に、有利は、こっそっと胸をなでおろした。


どうにか、嬉し恥ずかしの背中流しもクリアした。すると、次の難問が!

「ユーリ?これどうやって着るんです?」

コンラートは、浴衣を取り合えず羽織ったものの、どうしていいか解らずに難義したようだ。
だからって・・!!
「うわっ!前!前合わせて〜〜!」


なんで、そのまま部屋の方に出てきてしまうんだぁぁl!!。(号泣)

下着姿で堂々としないでください!コンラッドさん!(滝泣)



ほら、今度は村田も勝利も眼鏡かけているんだし、バッチリ見えちゃったからっ!!

「??別に男同士ですから、それよりこれ、どうやって着るんです?」
それよりって・・アンタ・・・。がっくし・・・。

「おおおーい、よ・・よめさーーん!ちょっと助けて〜ぇ!」
勝馬パパのSOSに、美子がやってきて、困り果てているコンラートと、真っ赤になって
いる男性陣を見つけた。すぐに、事態を察した美子は、コンラートを隣の部屋に連れて行って
くれた。ホッと胸をなでおろす男性陣。


「な・・なんか、裸の時より、ヤバかった・・。」
有利はドキドキしつづける胸を押さえて、唸った。
「まいったね〜。まさか、あそこで出てきちゃうなんて・・さすがだよウェラー卿。天然だ・・。」
この行動は、流石のムラタも読めなかったらしい。バッチリ見てしまった女性の肢体に
ちょっと赤くなる・・・所詮は彼も17歳の少年だ。逆に、変な方向に感心するものが一人。

「下着姿に浴衣を羽織っただけなんて、やるなコンラッド!あの、見えそうで見えない
胸の谷間とか・・、奴め、日本のチラリズムと萌がわかっている!」
奴とは、今度討論してみるかと、ブツブツ言う長男に、父親の冷静な突っ込みも入った。
「しょーちゃん、コンラッドは天然だから・・。」
ついでに、シスコンの横槍も。

「こら、ショーリ!うちの姉上で、萌とかいうな!」
「なにΣ ヴォルフラム!お前はその年で萌がわかっていないのか?なんということだー!」
「え・・え???それはわからないと、いけない事なのか?」
勝利の大げさなリアクションに、ヴォルフラムは半分飲まれていた。そして、ここには彼で
遊ぶのが好きなムラタもいるわけで・・。
「フォンビーレフェルト卿・・萌とは、日本の代表的な文化なんだよ。芸術肌のキミなら
わかるだろう?」
「何ぃ?芸術だと!?」
自称芸術家の彼の目が輝く。


おーい、ヴォルラムさん〜?また、騙されているぞー、いい加減、遊ばれている事に気づけよ。



有利、心の中で突っ込み。勝馬は、暴走した息子に慣れているので、御茶なんて飲んで
いたりする。そこに、ガラッとふすまが開いて、美子とグレタが浴衣姿で出てきた。
「おー、二人とも可愛いなー!」
「えへへへ、ありがとう、勝馬パパ。ジェニファーママに、きせてもらったの〜。」

二人とも、宿備えの白地に紺の浴衣ではなく、美子は黒地にピンクの桜の浴衣。グレタは
白地に大輪の撫子の浴衣に、ピンクの稚児帯を可愛らしく巻いていた。

そして・・。続いて出てきたコンラートに、皆の視線が釘付けになる。

軽く髪を結い上げ、象牙の生地に大輪の紅の薔薇、腰の飾り帯は華と同色で、風呂上りの
血色の良い肌とあいまって、えもいわれぬ色気を纏っていた。まさに彼女こそが薔薇の華
と、いうところだろう。

「こらま・・コンラッド・・化けたな・・。」
年の功か?一番最初に我に返ったのは、勝馬パパだった。
「いいでしょう、宿の女性客用のサービスなのよ。さっきチェックインの時に、選んで
おいたのよ。うっふっふ。どう、みんな?」
美子は、いい仕事が出来たとばかりに、上機嫌だ。

「あ・・あの、ユーリおかしいですか?」
皆ポカーンと口を開いて何も言わないので、コンラートはやっぱり似合わなかったのかな?
と、心配になってきた。その声に、我に返った有利が一番最初にしたこととは!


「村田ーぁっ!!」

「へ、え!!??」
いきなり、有利は村田の方をがっしりつかむ。その衝撃で、村田も我に戻ったものの、
何やら有利から言い知れぬ迫力が・・何で?なに気に、魔王??

「撮るんだ・・」
「え??え?え?」

「カメラだ!!写真だ!コンラッドの艶姿と、うちの可愛い愛娘の

浴衣姿を、撮影するんだぁぁ!!」

「はいぃぃ!!」


迫力に押されて、村田が鞄からカメラを取り出す。ヴォルフラムは、大賢者が魔王にパシリに使われる
という、見たこともない風景に呆気に取られていたままであったが、ハッと何かに気付くとキョロリと周り
を見回し、窓の障子を開けると、邪魔な椅子などをガタガタどけた。

「有利、この障子という変わった窓と、日本庭園をバックに撮ってくれ。どうせなら、日本的な風景が
有ったほうがグレタの良い思い出になる。それに、姉上の美しさも、この柔らかな光によく映えるしな!」
どうやら、父親としての意識と、芸術家の意識に同時に目覚めてしまったらしい。
「美しいものは、より美しく!!!」

どこぞのフィルム会社の昔のCMのような台詞を力説する美少年。

「だよな!こんな素晴しい姿は、きちんと残しておくべきだよな!村田、ちゃんとストロボたけよ。」
「はいはい、今すぐに!」(←もうヤケ!)
「ユーリ、できれば、ロビーとやらに綺麗に飾られた一角があっただろう、あれの前でなんかどうだ?」
「ヴォルフ!今日はまた冴えているな!いいなそれ!よし、次いくぞ次!!」

撮影隊の村田と勝利(お目付け役)と、監督する有利とヴォルフ、モデルのコンラートと
グレタは、ぞろぞろと移動すると、ヴォルフラムが二人を立たせ有利が村田に撮影させる。
その様子を何だと思ったのだろう?ふっと気付くと、回りでカシャカシャ音がする。
なんと、宿泊客(主に男共)が、アングルからいって、浴衣を着た美しい明らかに外国籍の女性
をカメラに収めていた。

「こら!!かってに、うちの妻を撮るな!!」
有利は、近くの男性に注意した。
「妻??あははは!面白いねキミ〜、キミみたいな子供があの彼女とつりあう訳無いでしょう。」
「ΣΣ・・!!」

嘘はもう少し上手くつきなさいと言われて有利は絶句した。

つりあわない・・知っているけど・・つりあわないって・・・

「彼女、素敵な浴衣姿ですね?いかがですか?この先に、素敵なレストランがあるんですが・・。」
有利が固まっていると、客の中から数名がコンラートに近づいていった。

「おじさん、グレタのお母様に何か用?『家族水入らず』の邪魔なんですけどー。」
しかし、最後まで誘う前に、一緒にいる少女に邪魔されてしまう。
「お母様って・・キミといい、さっきの坊やといい、冗談が好きだね〜。年から言って君と彼女が
親子なわけが・・ナイぃぃ????」

突然、コンラートを取り囲んでいた男達の動きが止まった・・いや固まらせられたというべきだろう・・。
中心にいる・・超絶美形の女性によって・・・。


馬鹿め・・姉上を怒らせるからだ。


コンラートの殺気は器用この上ない事に、指向性があるのだ。だから、周りの客も一番近くのグレタも
気付かずにいるが、軍人であるヴォルフラムは気付いた。彼の殺気が男達を絡めとったのを。

コンラートは固まった男から、携帯やカメラを取ると、村田と勝利に渡す。二人は心得たとばかりに
撮影された彼のデーターを消し去った。

「うちの娘と夫に・・無神経きわまりない事言うと・・予期せぬ事故に合いますよ?」
最後に一睨みすると、コンラートはグレタと有利をつれて、部屋へと戻っていった。

「お客様?顔色が悪いようですが、どうなされました?」
彼らが去った後、まるで呪縛されたように動けなかった男達に、不審に思った旅館の者が声をかける。
すると、男達は揃って青白い顔をして、その場に崩れるように手をついた。

その様子を確認すると、村田達もまた部屋へ戻ったのだった。





「ユーリ、はい、あーん
「うわっ!何コンラッド?いい・・いきなりそんな///。」
「いいじゃないですか?俺達夫婦なんでしょう?はい、口開けて下さいね?」
にっこりと、極上の美女に微笑まれて、有利は渋々(内心ドキドキ)で、口を開けた。
ぱくりとスプーンの上の茶碗蒸しが、有利のお腹の中に消える。

「「「・・・・。」」」(←村田・ヴォルフラム・勝利)
目の前で繰り広げられるバカップルの様子に、折角の特別料理が甘くなったような気がする三人。
部屋に帰ってくると、豪華な生き造りの刺身やら、美しく彩られた美味しそうな食事が用意されていた。
さて、いざ夕食をとり始めると、冒頭のようなやり取りが始まったわけで・・・。
食べ始めたばかりで、既にお腹いっぱいデス・・と言いたくなったヤロー達であった。

「わーい、お父様とお母様ラブラブだぁ!」
グレタが嬉しそうに、コンラートの膝の上で手を叩く。
「じゃぁ、グレタもラブラブしようね?はい、あ〜ん。」
「あ〜〜ん。」
もぐもぐ


「やーん、コンラッドさんとゆーちゃんたら、お似合いの夫婦ね〜。うまちゃん、私達も、はいあーん
「おいよせよ、嫁さんったら、あーーん
「って!けっきょくやるのかよ!!」

勝利が馬鹿夫婦(←自分の親なので、遠慮がない)に、すかさず突っ込む!さすが、有利の兄だ。
ツッコミのタイミングも台詞もそっくりだ。

村田は、おや・・、と、コンラートの隣に座るヴォルフラムを見る。いつもなら騒ぐ彼が大人しく
食事をしている。どうやら、彼もコンラートの意図が解ってたようだ。こちらも、流石兄弟ということか。
たまに、ピクピクっと、こめかみが引き攣るのはご愛嬌だろう。

有利とグレタは先程のロビーの件で少なからず動揺している。だから、あえていつも以上に
二人を甘やかしているのだろう。惜しみなく自分の愛情を注ぐコンラートによって、彼らの不安を
埋めてしまおうというのだ。

だからといっても、・・ちょっとやりすぎじゃないかな?とか思うんだけどねー。


何やら三人で食べさせっこに発展しているし、渋谷夫婦もそれを見て真似するし・・ちょーーと
うざったいかな〜?なんて思ったダイケンジャーだった。
ちょとど、そこに仲居さんがお酒を持ってきたので、村田はにっこりわらって、胸焼けの薬を
頼んだのだった。




外は満天の星空。


夏とはいえ、夜になると山は、それなりに涼しい。

「ユーリ、ここにいらしたんですね。」
ふわりと、有利に上着をかけながら、コンラートが声をかけてきた。コンラートは先程まで
グレタとヴォルフと一緒に、露天風呂で温まっていた。グレタが、自分もコンラッドと入りたいと
ごねたのだ。そこで、ヴォルフまでも巻き込まれて、兄弟・親子での混浴と相成ったわけだが・・。
その間に、有利は庭に出てきていた。

「ヴォルフとグレタは?」
「ヴォルフは湯あたりで、グレタはジェニファーとお土産を買いに行きました。」
「ははは、ヴォルフの奴、夕食で、日本酒をがぶ飲みしていたからね。」
そんなに、気に入ったのかな?

「・・・・」
アレは自棄酒だろうな〜。と、コンラートは兄の直感でわかった。一応、ユーリとイチャイチャ
した事に関しては、見逃してはくれたようだが・・。

「コンラッド・・・ホントありがとな。」
「お礼を言うのは俺のほうでしょう?すてきな旅に連れて来て頂いて、有り難うございます。」
「それは、親父達に言ってよ。俺も連れて来て貰ったクチだしね。・・じゃなくって、親父達に
付き合ってくれてさ、お袋なんて娘が出来たって喜んで、お揃いの服まで着ちゃって。」
この旅の間中、美子はコンラートとグレタとお揃いの装いで楽しんでいた。
勝馬も、何だかんだで、息子の嫁に背中を流してもらったり、お酒を一緒に飲んだりと楽しそう
だった。

それに、ゆっくりと、コンラートは首を振った。


「楽しませていただいたのは、俺の方ですよ。俺は・・あまり家族と云う物を知りませんから。」
そうだった、コンラートは幼い頃から難しい立場に立たされていた。その為、長い間家族らしい
ことも出来ずに育ったんだった。

「だからなのか?グレタの母親なんて無茶なことを引き受けたのは?」
「・・・・・・・・あの子には、おれと同じ想いをさせたくありませんから・・。」

「そう・・・やっぱり・・。」
「それに、相手が貴方だから・・。」
「へ?」

「グレタの母親って事は、父親である貴方の相手ってことでしょう?だからですよ。」

ー にっこり・・(←極上の色気付き)


・・・・・・・・ボッ!!!


「〜〜ア・・アンタな、さらっと何恥ずかしいことを!!」
「ユーリ。」
真っ赤になって抗議しようとした有利を、コンラートが間近で見つめる。その瞳に
込もるのは、男のアツイ視線。
そっと、有利の腰を引き寄せると、魅入られた有利は、されるがままに彼の方へと倒れこむ。
顎に細い指がかかり、熱を孕んだ瞳で覗きこまれて、恥ずかしくなった有利が自然と目を閉じた。

クスリと笑った吐息が、唇にかかり、そっと柔らかくてアツイ唇が重なった。そっと重ねられ
るだけの接吻・・悪戯な彼は上唇を食むと、次は下唇を軽く吸った。そして、舌先でその隙間を
ゆっくりとなぞってゆく。有利は、乞われるままに口を少し開けると、するりと彼の舌が口内に
入り込んできた。そのまま、段々深くなる口接けに、体中がしびれてくる。
「〜〜っ・・ふ・・//」
思わず、有利は彼に縋った手に力を入れてしまい


ムニュ


「・ぁ・・ッ!」
思わず声が出たコンラートの反応で、自分が彼の胸・・というか乳房を思いっきり掴んで
しまった事に気づいた。どおりで、柔らかくて気持ちいいって・・わぁぁ!!

「うわぁあ!!ごめんコンラッド。」
慌てて、彼から離れて真っ赤になる有利。コンラートとしては、折角、イイトコロだったのにな〜とちょっと
惜しいが、あうあうと、慌てふためく有利は、すこぶる可愛い。くすりと笑ってコンラートは、色っぽい眼差しを
彼になげると、余計に有利は真っ赤になった。

「ユーリのエッチ


う・・うぇぇえぇええ!!!


あ、いやちがう・・これはわざとでは!と必死に弁解する姿にとうとう耐え切れなくなった
コンラートは、大爆笑してしまい、からかわれた事に気付いた有利は、大いにムクレた。

「あれ〜お母様たち、なにしているの〜?」
「あら、コンラッドさんったら、楽しそうね。」

そこへ、グレタが二人を見つけて走り寄って来た。コンラートは笑ったまま、しゃがむと
手を広げて、そのまま娘を抱きこんだ。

「はい、ちょっと、クスクス・・ねぇ、グレタ?グレタは楽しいかい?」
「うん!!とーーても!」
少女の弾けるような笑顔に、有利も釣られて笑顔になる。
「グレタ、何か良いお土産は有ったのか?」
「うん、ユーリあのね?」


両親に囲まれて、グレタはベアトリスに買ったお土産について、話し始める。それは誰が見ても
仲睦まじい親子の姿であった。



こうして、地球での旅行は、楽しい思い出と共に、彼らの中に新たな絆を深めてくれたのであった。




8月11日UP
手間取った〜。箱根って温泉が多すぎて、どこが傷に効く温泉か探すのに手間取ったわ。
温泉編は、混浴でドッキリ!を書きたかったんですが・・・長くなりそうなんでまた削りました。
がっくし・・・。別の作品で再チャレンジしてやる。この作品はコンユです。コンユったら、コンユなんだー!
と、主張しないと、自分でも忘れそうになって怖いです。