今日からママのつく自由業 番外 バカンスの陰謀 |
いそいそ♪るんるん♪ その日、血盟城のとある一室には、旅行鞄に色々詰め込んでいるこの部屋の主がいた。 名を、ウェラー卿コンラート。魔王専属護衛であり、名づけ親であり、一番の臣下である彼が、 大・大・大好きな魔王陛下が、こちらの世界にいるにもかかわらず休暇の申請をした! あの!有利至上主義!護衛の名のもと、ベッタリ張り付いて、カルガモの親子とまで言わて 喜ぶような、あの(←クドイ)ウェラー卿コンラートが、有利陛下がいるというのに、休暇申請!?!? その時、執務室にいた全員が思った! 「「「ありえない(だろ・ジャリ・です)」」」 ということで、何事かと思い、部屋に戻った彼を追いかけてみれば? 鼻歌交じりに旅の支度をしているコンラートがいたのであった。 コンラートが旅=ユーリとのお忍び旅行かっ!? そう、コンラートがこのように旅の支度をするときは、必ずといっていいほど最愛の魔王陛下を、 コッソリと連れ出して、お忍びと称して色々まわるのが常であった。 なので、今回もそうか!と、当然思ったヴォルフラムが、自分も行くと喚き始める前に、皆に 追いついた有利陛下が部屋に飛び込んだ。そして、そこに旅支度をしている自分の護衛の姿を 見つけたのであった。 「コココ!コンラッド、どこかに行くの!?」 「「「おや??」」」 どうやら、お忍び旅行ではないらしい。当の魔王陛下が知らないのだ。違うのだろうか? いやまて、相手は唯我独尊男のコンラートだ。 有利が知らなくても、彼がナイショ♪で計画している場合もある。側近達は、油断なく魔王の確保へと 間合いを詰めた。これ以上、執務がたまっては困るグェンダルは、そっと扉の方に動き、一緒に いたい自称い婚約者は、有利の右に、同じくコンラートがいないならば、そのすきに魔王陛下との 二人っきりの授業(当の陛下からは、うっとうしがられて逃げまくられている)をしたい王佐が 左にとぴったりくっついて、彼の逃亡はさせまいと目を光らせている。 が、それは杞憂に終わった。 「ちょっと、カヴァルケードに行って来ますv」 「「「「かヴぁるけーど??」」」」 カヴァルケードとは、海の向うにある人間の国で、眞魔国とは友好条約を結んでいて、現在 周辺国の中では一番仲良しこよしな国である。 おかげでこれといった問題もなく、そこに魔王の側近である彼が赴く理由なんてあったか?? 「あぁ、ちがいますよ、個人的な私的渡航です」 にっこりと微笑んだ手には、本日届いたカヴァルケード留学中のグレタ王女殿下からの手紙。 「グレタは明後日から、学校の友達と海にリゾートに出かけるそうです」 「それで?」 「それで?ですって?ふふ、呑気ですね〜?」 キラーン☆っと、コンラートの瞳が光った。あぁこわい!村田大賢者といい、目を光らせて(いいや 渋谷、僕は眼鏡を光らせているだけだよぉ〜)他人を威嚇するのは止めて欲しい。 「ユーリ、ヴォルフ。父親として、そんな態度でいいと思っているのですか!?」 「へ?」 「え?」 突然怒られて、有利とヴォルフラムは、思わず手に手を取って身を寄せ合ってしまった! すると、まったく、男ってダメですね!と、どこぞの毒女が乗り移ったような台詞をはく。 「って、アンタも男だろう?」 有利陛下、脊髄反射的なツッコミ、すでにツッコミは彼の専売特許となっている。(周りがボケ だらけだから)が、それも、マイペースを身上とするこの男には通じなかった。ずいっと、二人に 歩み寄ると、腕組をしてコンコンと説明しだした。 「いいですか?海ですよ、海!白い砂浜、青い空、開放感溢れる空間に、うちの可愛いグレタを 水着姿で歩かせるなんて、砂熊の巣に特上肉を放っぽり出すくらいに危険じゃないですか!地球でも 言うじゃないですか?【男は皆、狼】だって!」 「だから、アンタも男・・・」 が、重ねて言ったツッコミも、もはや、聞いちゃいない。しかも・・ 「なにぃぃ!砂熊の巣!グレタの行く場所には、砂熊がいるのジャリ?何て危険なジャリ!?」 「そんなわけあるかーー!どんなデンジャラス地帯なんだよ、カヴァルケードの砂浜はっ!」 弟まで参戦かよ!!くっそーこんなところは意外に似ているね三兄弟じゃなくても良かった のにぃ〜!いっそ似ないでくれ〜。おれ独りじゃ つっこみきれないよぉぉ。 「つっこまなければ、いいのでは?」 いたってまともに、グウェンダルが呟いた。 「・・・・・・・・・・。」←有利 「・・・・・・・・・・?」←グウェンダル 「落ち着けヴォルフ。ただの海水浴場だって聞いているぞ」 「Σ(TT)!!!!こら、坊主!無視するなっ!」 意外な人のつっこみに、有利陛下はそれをなかったものとした。どうやら、ボケたわけではないのに 正当にツッコまれた事に、対処できなかったようだ。したがって、無視。今のはナシで! ちょっとショックな兄上・・は、おいておいてー。 「それなら、おれの所にもグレタからの手紙が着たから知っているけど、プライベートビーチ だって言うし大丈夫じゃ?」 「だめです」 「へ?」 心配ないという有利の言葉は、すぱっとコンラートに遮られた。 「どこに変態がいるかわかりません、ですから、俺が行きます!!」 娘の貞操は、俺が守ります!!と、剣をチャキっと構えるコンラート。変態よりもお前が危ない。 有利は、名づけ親の暴走をどうにか止めねばと、必死に口を開いた。 「行くって、コンラッドが?」 「えぇ、不審者は皆切ってきますのでご安心をv」 安心できるかぁぁ!国際問題を勃発させる気かよっ!? 第一そもそも? 確か今回の旅行は、友人の別荘へゆく、女の子達だけの旅行では? そこに、いくら爽やか好青年といえど、コンラートが割り込むのはチョット(かなり)まずいのでは? 「だから、ウェラー卿コンラートが行くのではありません、行くのはグレタの母親です」 「「「「なに?まさか!?」」」」 にっこりvと微笑む好青年。その時、その姿が徐々に変わり始めた。 「あぁ、アニシナの薬が効いてきたようですね」 やさしめではあるが、鋭い輪郭は丸みの帯びたものに、厚い胸板はほっそりとして、変わりにふっくら とした盛り上がりを見せる。元々細い腰は、はっきりとした括れが出来て、有利よりも頭一つ大きかった 長身は、ほんの少し低く、全体的に一回り小さくなった体。そして、襟足できっちりそろえられていた 髪は伸びて、軽やかにカーブを描いたくせっ毛が背にかかった。 そこに現れたのは、たおやかな美しい女性。フェラー卿コンスタンツェ。 全世界公認(笑)の眞魔国王女グレタの母親である。 おもわず、久々に見た名付け親の女性姿に、一同しばし呆然となって見とれた。その中で一番最初に 復活したのは有利陛下。一番側にいるせいで、一番見慣れているからだろうか? 「でもでも、いきなり押しかけては、先方にご迷惑じゃ?」 控え目に、有利がコンラートを留めようとするも、 「大丈夫です。グレタの手紙には、先方からよろしければおいでくださいと書いてありますから!」 「それって、社交辞令じゃ?」 「大丈夫です!言質は取りました!と、いうわけで〜。俺は娘のもとに行ってきますv」 おそるべし!ウェラー卿コンラート。姿はかわっても、中身はやっぱり、どこまでもコンラッドであった。 社交辞令まで言質にとって、無理やり娘達のヴァカンスに乗り込もうとはっ! 「コンラート」 それまでだまっていたグウェンダルが、徐に弟(妹?)の肩を叩いた。そうだ、グウェンダル! お兄ちゃんとして、眞魔国摂政として、がつーーん!と、コンラッドに行ってくれ!娘の旅行に 乗り込むなと!親ばかもたいがいにしろと、いってやってくれぇぇーーー!! 有利は己では埒があかないと、魔王よりも魔王らしい摂政閣下に一縷の望みを掛けた。 がっ・・・ 「出かけるなら、日焼けしないように長袖を着なさい。ほら、ヴォルフがくれたパールホワイトの ワンピースに、私が編んだピンクのボレロをあわせていくがいい」 「・・・・ぐうぇん?」 ちょっとまて、アンタ何を弟(妹)さんに勧めているんデスカーー? というか、何時の間に女物の洋服を贈っているんですか?しかも、また【マイド イン グウェンダル】 かよ!有利は、がっくりと肩を落とした。こうなれば、自分で彼を説得するしか・・・ 「兄上、だめじゃないですか」 すると、心底呆れたとばかりに、グウェンダルとコンラートの前にずずぃぃーーとでると、コンラートの 持っていた旅行かばんをひったくった。そして、ベットの上に中身をぶちまける。 おおーーー!!実力行使で止めるなんて、ヴォルフらムッたら案外男らしいぞ!さすがだ、プー! 「あぁ、ヴォルフ!折角詰めたのに」 「あぁじゃない!なんだこれは?間違っているぞ、コンラート!!」 「なんだい?」 よし、コンラッドが押されている。いけいけプー!そのお兄ちゃんを懲らしめちゃってぇーー! 「何で夜会用のドレスが入っていないんだ!?」 ・・・・・・はい??? 「いいですか、姉上。グレタの通う学校は、良家の子女ばかりだ。旅行といっても自分の別荘に招待 するくらいだ。当然、茶会や夜会もある、身内だけの小規模なものだろうが、それでもグレタの母親と していくならば、きちんとしたドレスを用意しろ!あぁもういい!僕が見繕ってやる、姉上は着替えてくれ!」 そういうと、勝手にクローゼットを開いて、コーディネートと着回しを考えて、次々と選んでゆく。 わ…わすれていた。こいつらが、重度のシスコンだったと言う事を……。 なぜだかわからないが、この兄弟はコンラートがコンスタンツェに変わると、途端にシスコン振りを 発揮するのだ。特にヴォルフラムは、呼び方まで姉上と変わって、まるで騎士気取りで、コンラートを 構い倒す。それには、ちょーーっと、面白くない魔王陛下であった。 「コンラート、さぁ、これをもっていきなさい。高速艇の使用許可書です」 いつの間にか、ギュンターまでもが、コンラートの出航手続きを済ませている。 いないとおもったら、そんな事をしていたのかアンターー!!全く油断もすきもない。 鳩を飛ばしておきましたからと、にこやかにいうのを、有利はどこか遠い目で見ていた。 ドイツもコイツも、だれか、コンラッドを止めようとは思わないのか? そこに、こんちわーと、窓からヨザックが入ってきた。 今度は何だ?(←やけ) 「たーいちょ、はいコレもって行ってくださいね」 といって、手にあるのは、柔らかい皮で出来たナイフホルダー。 「これは、太ももにナイフを隠すものなんです。スカートの下につけてくださいね」 「さすがだな、グリエ!コンラート、武器の携帯は忘れるな」 ― って、あほかーー!何とかに刃物、ルッテンベルクの獅子に刃物を持たせたら、誰に持たせるより 危険だろうがぁぁーー!! おもわず、ビーチに転々ところがる、ナンパ男の屍累々を頭にえがいて、有利は泣きたくなって叫んだ! 「あははは、大丈夫ですよ坊ちゃん、前は海なんですよ?始末し放題です!」 こともなげに言い切ったお庭番に、類は友を呼ぶという言葉をかみ締めた魔王陛下は、魔族の本性を 垣間見た気がした。 「……おれ、こいつらの王様、やめよかなーー?(T△T)」(ぼそり) 地球産魔族で、16年間ただの人間として生きてきた自分には、色々無理なような気がしてきたマ王様だった。 では着替えてくると、コンラートは服とナイフホルダーをもって、浴室へと消えた。 有利は、その連係プレーに、声もない。(←というより、色々疲れてきた) やがて、無粋な軍服から、柔らかなワンピースに着替えた美女に、兄弟・幼馴染・師匠は揃って 満足げな声を上げる。 「やぁ、綺麗に出来たね。ウェラー卿」 そこに、ひょっこり現れたのは、ムラタ大賢者さま。いやぁ、眼福vとコンスタンツェをみやる。 「海に行くんだってね?だったら、これをどうぞ。もってないだろう?」 そういって、ぴらりと出したのは、真っ白いビ・・ビキニぃぃ!!!?? 「猊下、これはちょっと露出が」 すこし引き気味なコンラートに、わかっているよといって、これスカートつきなんだと、 2段フリルのスカートをみせた。 あと、これ上着はシースルーでリゾート気分を演出しつつ、お尻まですっぽり隠れるから、肌を出さ ないようにね〜、あ、それと、これ、サンダルもね?といって、次々出すのをコンラートは受け取って ゆく。しかし、イマイチ コンラートもビキニの水着は、抵抗があるようだ。 「あ、もちろん、これももっていってね。グレタの水着だよ。こっちはワンピースなんだけど、君との お揃いだから、きっと喜ぶよ〜グレタ。お母様とお揃いで嬉しいってv」 娘(グレタ)との、お揃い?? その時、部屋にいた全員に、ポチリと、コンラートから(ママ)スイッチが入った音が聞こえた。 『うわーい、お母様とおそろいの水着なんて嬉しいなぁ♪』 コンラートの脳内では、可愛い娘が!可愛い水着を着て!可愛く喜ぶ!姿が浮かんだ!! この時、コンラートからは、羞恥という言葉は消えた!娘が喜ぶなら、水着の一つくらい着てみせるに きまっているだろう!と、男らしいのだか?母親らしいのだかわからない決意に漲っていた! こうなった、コンラートの母親根性は、例え歴代最高の魔力を持つ有利でさえも押えることは出来ない。 ある意味、母親の鏡、ある意味、親ばかも大概にしろといった所か? 「ぜひ、着させていただきます!猊下!(〃▽〃)」 きらきらと、瞳を輝かせてコンラートが水着を抱きしめた。 「あははは、いつもお世話になっているからね〜。このくらい、お礼にもならないよ」 「げ・・猊下」(カンドーー) うるうると、村田の言葉に感動しているコンラートに、有利はすっごく嫌な予感を感じた。 おかしい?なんでいきなり、水着が有るんだ?しかも、渋るだろうことをみこして、グレタとのお揃い 作戦までたてるなんて、おかしい、おかしすぎる!だって、グレタの手紙は、今日来たのだ。 そんな短時間に用意できるわけがない、と、なると、前もって用意していた?一体何のために? 怪しむ有利の視線に、にっこりと村田は邪気のない笑顔を向けた。 ぞくぞくぞくーーー!!! ぎゃぁぁ、な〜んか、嫌な悪寒がするぅぅ、たすけて〜〜こんらっど!!! 思わず涙目で、護衛氏に助けを求めようとした有利の肩をを、がっしりと村田様がつかんだ。 「ヒィィィィ(゚Д゚ll)!!」 「ウェラー卿、君がいない間、僕が陛下にはたっぷり仕事をさせておくから、安心してヨザックを 連れて行きたまえ、いざという時にパシりがいないと、身動きが取れないだろう?あぁ、もちろん ヨザック(ケダモノ)には、迂闊にキミタチに近づかないように厳命してあるから安心してね?」 なんか、いたせりつくせりの村田に、有利は嫌な予感を確信へと変えつつあった。 「村田、お前、何かたくらんで・・」 「いやだな〜、渋谷。僕は二人の身の安全を考慮と、彼の憂いを少しでも無くそうとしているだけ じゃないか?」 無邪気なまでに邪気のない笑顔・・・怪しすぎてそのままの意味で受け取れない気がすると、有利は 一層 胡乱気に悪友を見返した。しかし、変な所で素直なコンラートは、村田の怪しい言動には、 まったく気がついていないようだ。と、いうか、心は既に娘の元に羽ばたいていった。 ― おいおい、戻ってこいや?(←チョットやさぐれた陛下) 彼のママモードは、色々はっちゃけすぎている。普段の護衛モードのときは、あんなに危機管理が しっかりして、頼れるお兄さんなのに、なんで娘が絡むとネジが緩むんだ? 有利は、一言、言うべきかどうか、悩んでいたが、そんな彼を置いて話はどんどんと進んでいった。 気がつけば、コンラートは、既に出立しようとしていたではないか!? 「猊下!!ありがとうございます。お土産買ってきますね!」 「あはは、いいんだよ。いつも、べったりな渋谷のせいで、君には休みもそうそう取らせてあげれ なくて、申し訳なくおもっていたんだよ。せっかくだ、ゆっくり娘とのバカンスを楽しんでくれたまえ」 「って、まって!コン・・もがもが〜〜〜!!」 だが止めようにも、ちゃっかりと、魔王陛下(眞魔国最高位)の五月蝿い口を塞いだ村田大賢者様 (眞魔国最凶)によって、それは阻まれ、その上、村田様はにこやかに、手を振って送り出してみせた。 「はい、では、いってきます!」 ぶんぶんと、上機嫌に手を振り返すコンラートの後ろで、荷物を持ったヨザックが続く。 「ヨザ、【頼んだ】よ」 「【任せて】下さい、猊下♪」 にこやかに頷きあう主従に、思えばこの時、大っっ変っ!不審を覚えたのだが、その一週間後 娘とのリゾートでのバカンスを終えたコンラートが、何事のなく嬉しそうに帰国したことで 有利陛下は考えすぎだったようだと、この不信感を忘れたのであった。 それから、半年後、王都郊外に立派な図書館が出来た。世界中から、色々な本を集めてできたそこは、 大賢者様が監修し、彼の趣味を反映させた蔵書が並んでいた。その、豊富な資金は、とある美女の プロマイドを密かに売って用立てたと言う。 その時になってやっと、魔王陛下は、自分の護衛氏の休暇が、どういった意図で、誰によって 仕組まれた物だと知った。ついていったお庭番は、護衛権カメラマンだったのかと、気がついた時には 既に遅すぎた。それでも、また同じ事があれば、自分の名づけ親が余りにも可哀相だと、彼に事の 顛末を話しに行こうとしたら、待ち構えていたようなお庭番と会って、プレゼントを頂いてしまった。 それは、いわゆる【秘蔵の非売品】という奴で、綺麗にファイルに閉じられていた・・・・・。 おもわず、コンラートの部屋に行く足が、回れ右して魔王部屋に戻っていった。 カチャリ・・・。 珍しくも鍵を掛けた現役高校生・思春期真っ只中の魔王陛下は、一人ベットに上がりこんで ファイルをめくり始めた。 「うう、可愛い!コンラッドーーー!!うわ、これなんて、ちょっとエロいんじゃ? うわわドキドキ((〃゚艸゚))ドキドキ」 それから、かれこれ一時間、有利陛下は部屋からお出にならなかったという。 結局、この話は、当人に誰も(兄弟も買収済み)告げなかったため、コンラートが真相を知ることは なかった。 そしてーー 「あー、ぼく、最近スイーツにこっていてさ〜、世界中のスイーツを集めたテーマパークみたいな ものも欲しいな〜。ウェラー卿、今度グレタと一緒に、どこかいかない?(。 ゝ艸・)クスクス」 「グレタとですか!?はい、もちろん、いきます!!」 「わぁぁ、まったーーコンラッド!!(TдT)ノ」 今日もまた、 コンラートを娘で釣ろうとする大賢者と、 ひょうひょい釣られる魔王専属護衛氏と、 彼を必死にとめる魔王陛下の攻防が繰り広げられていた。 「アンタ、ママモードから、早く戻ってくれぇぇーーー!」 血盟城の空に、魔王陛下の切実な怒声が響く。 「ほぇ?」 きょとんと、まったくわかっていない様子の護衛氏に、有利陛下の気苦労はどこまでも続くのであった。 コンラートのママ業は、たまに本人よりも魔王陛下の方が大変なときがあるという・お・話・♪ 2009年 9月23日UP 久々の今日ママシリーズです。今回は番外です。IFシリーズとは別なので、番外としては4つ目? ドタバタ調で御送りする、コンママと愉快な猊下たちと、苦労しているようで同じ穴の狢な陛下。 でしたー。あいかわらず、コンラートさんのママスイッチが入ると、獅子の名が泣く事態になりますね。 |