仔猫物語オマケ |
ずるいぞ村田!!
眞王廟に入ってくるなり騒ぎ始めた魔王陛下に、ダイケンジャー村田健はまたか・・という胡乱な目を向けた。 「キミねー、たまには、静かに入ってこれないのかい?ここは、眞王廟、ありがたい・・かは、ちょっと僕も 疑問だけど、一応信仰の場所なんだからね。」 「そう、常々、おれも有り難いかは疑問だった・・って、そんな話じゃなぁぁーーい!」 「じゃぁ、どんな話なんだい?」 「そうそれ!村田!何でおれにはくれないんだ!」 「・・・・キミ、主語って言葉知っている?会話には必要だよね?」 はぁ〜っと、ため息をついて、パタンと持っていた本を閉じる。 「あぁ、もう!だからぁ!コンラッドだよ!コンラッドのかわいい写真だよ!!」 ドサ・・・。 おもわず持っていた本を落としてしまった。これは、眞魔国の古典文学作品で大事な本なのに! 「あるんだろう?とっておきのが!!な〜、おれもほしい!コンラッドのとっておき!! な〜頂戴チョウダイちょうだい!」 なんで・・渋谷がソレを知っているんだ?あれは、羊班の連中と、僕とヨザックしか・・・ヨザック・・。 そういえば、そろそろ任務から帰ってくる頃なのに、いつもなら真っ直ぐ来る彼が来ない・・。 「あ〜〜の〜〜筋肉達磨め・・。」 「くれないのかよ!ケチ・・それって俺たちも写っているって聞いたぞ。俺とヴォルフの分も寄こせよ!」 「えぇっ!!??フォンビーレフェルト卿の分もかい?」 「うん、貰ってくるって約束したし・・・。」 一体・・・何処までこの写真の事が広まっているのだろう? 「あぁ、大丈夫。おれ達も写っているって事で、口止めされたし・・第一コンラッドのとっておきなんて 誰かに見せるわけ無いじゃないか・・・・ふふふ・・ただでさえ、男女問わずモテ男なのに・・これ以上 苦労が増えてたまるか・・。」 なにやら、黒いものを背後から出し始めた魔王に・・・ちょっとただならぬ物を感じて、村田も後ずさる。 「だから、おれ達の分もくれよ!モデル料って事でさ!」 魔王は意外に押しが強かった。結局、村田から件の写真をゲットできたのだが、くれぐれも封は 魔王部屋に戻って寝る前に、ウェラー卿が離れてからにしてね!と、釘を刺されたので、有利と ヴォルフラムは、夕飯の後いそいそと、二人して魔王部屋に戻った。 「二人とも、寝るのが早いですね?」 と、コンラートに訝し気な視線で問われたのだが、今日はちょっと村田と騒いじゃって疲れたから といって、コンラートを下がらせた。 そうして、二人っきりになると、渡された封筒の封を切り、中から例のブツを取り出すと・・・。 「「なんじゃこりゃーーーー!!!」」 衝撃的なものが一緒に写っていた。それは、猫耳・尻尾を生やしたチビ有利とチビヴォルフラムを 満足げに抱きしめるコンラートの姿だ!!しかも、何でドレス姿ぁ!!?? 村田だな!コレは絶対村田の陰謀だぁ! 「こ・・これはまさか、この前のアニシナさんの毒を被った時では??」 「そ・・そういえば、起きたら朝だった時があったな?あれか!!」 その間の記憶は飛んでいて、誰に聞いても教えてくれないから、おかしいと思ったのだ。 まさか・・こんな格好をされて遊ばれていたなんて・・・・。 でも、確かにとっておきというくらいはある・・・このコンラートの蕩けるような笑顔! うっすらと目元が潤んで、染まった頬とのコントラストが、色っぽいし・・・ 「「かわいい・・・」」 なにより、この笑顔は、自分達に向けられた笑顔なのだ。それが、純粋に嬉しい二人。 「ユーリ、ちょっとこの格好は許しがたいが・・・この写真とやらに免じて、許してやるか。」 「だな、この格好は、すこぶるおれの幼少のトラウマを刺激するが、コンラッドの笑顔に 免じて、おれも許してやることにするよ。」 だけど、この写真の事は、ナイショだな・・ギュンターとかに知られたら、どんな使われ方 するかと思うとおれ嫌だし・・。 僕も、兄上とか母上にみられたら、どんな目に合わされるか・・・・。 「この写真の事は絶対秘密っだな。」 「あぁ、秘密だ。」 だって、この笑顔は、おれ達だけのものだから。 だったはずなのに・・なんで!?一夜明けたら、とっておき写真の存在が バレバレなんだ!? もし、この事が、王佐の耳に入った場合・・有利目当てで、彼が欲しがり騒ぐこと 間違いがない!! うわ〜〜絶対いやだぁ〜! と、有利は頭を抱えた。 もし、この事が、摂政にばれた場合・・兄から母の耳に入り・・あの母の事だ、あたくしの いない所でこんな可愛い格好をしてずる〜〜い!などと言って、遊ばれるのが見えている。 うわ〜、それだけは、なんとしても避けたいじゃり〜! と、ヴォルフラムも頭を抱えた。 だが、一番最悪なシナリオは・・・あの写真を持っている事が、コンラートの耳に入り、 出所を聞かれた場合だ。村田大賢者の背中から、ドズ黒い何かが襲ってきそうで怖い。 「「ぎゃぁぁ、それだけは、ご勘弁をぉぉぅ〜〜!!」」 だが、天は彼らを見放した。 「ユーリ、ヴォルフラムちょっといいかな?」 にっこり笑って入ってきたのは、一番恐れていた人物・・ウェラー卿コンラートだった。 「侍女たちが騒いでいたんだけど?写真て何のことかな?」 にっこり。 いきなり、直球でキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!ー!!! ダラダラと、嫌な汗をかき始める二人・・・。それはそうだろう、『コンラートのとっておきの 可愛い写真』を強請ってもらったなんて、本人に知られたら・・・。 『ユーリ、こんな写真を何に使おうとしていたんですか?』 --いえ、ナニに使う気もございません!! 『ヴォルフ、この写真を欲しがったんだってね?どうしてかな?』 --いや、別にちっちゃい兄上と一緒に写っているから欲しかった訳ではないぞ!! 二人は、どう言い訳しようかと、ぐるぐる思考が、から回る。と・・とりあえず、 とぼけて見せよう・。 「写真? って何のことかな?コンラッド?」 「そうだ、侍女が何を騒いだのか知らないが、僕らは何も知らないぞ!」 「・・・二人とも、仲良く隠し事なんですね。そうですか、俺には教えてくれないんだ?」 ふ〜〜ん あれ・何か一気に部屋の温度が下降気味にぃ!!?? Σ(||゚Д゚) ユ・・ユーリ、コンラートの笑顔が怖いぞ!! (((゚Д゚)))ガタガタ 思わず、手に手をとって固まる二人。その様子に、またしても気温が下がった。 「侍女が、今朝方ベットの上で、とても可愛い写真を見たといっているのですが?」 ベットの上??ヴォルフ〜!!なんで、早く仕舞わなかったんだよ! うるさいじゃり!ちゃんと枕の下に隠しておいたんだ。 そのまま、忘れたんだな・・。 朝食の後、ちゃんと持って帰ったぞ・・。 ・・・その前に見られたんだな・・。 コソコソと二人が言い合いをしていると、 仲がいいね?二人とも・・・。 そういって、笑った奴の目が! !いやぁぁ!獅子様光臨してらっしゃるぅぅ!!アワ((゚゚дд゚゚ ))ワワ!! 結局、おれとヴォルフラムは、その恐ろしさに堪えかねて・・・口を割った。しくしく。 「へぇ、これがその写真ですか?」 おれとヴォルフラムは、並んでソファーに座って審判を待った。どんな事を言われるのかな? どうか、呆れられたり、嫌われたりだけはしませんように!! 「ユーリ、ヴォルフ・・・・・・・・。」 きた!!! 「何で黙っていたの?もしかして、恥ずかしかった?」 そりゃ恥ずかしいさ、アンタの可愛い写真を欲しがったなんて言えないし。 「確かに可愛く撮れていますね。」 そうそう、すっげ〜可愛く撮れているし、お気に入りなんだから没収だけは 見逃してくれないかな〜? 「・・・でもずるいな・・二人だけでこんな写真を楽しんで、俺も欲しいのに・・。」 「「はぁ???」」 えぇ、コンラッドが欲しいって?自分が可愛く撮れている写真をか?? コンラートって、もしやナルシストだったのか?? 二人がよほどびっくりした顔をしたので、ばつが悪いのか?コンラートの声に拗ねた響きが混ざる。 「だって、こんなに可愛い『ユーリとヴォルフ』の写真なんて、滅多にありませんよ! 俺だってこんなに可愛い写真なら欲しいに決まっているでしょう。」 「おれと・・ヴォルフの写真・・。」 「あははは・・そういう見方もあったか・・・」 どうやら、彼にとって自分の事は範疇外らしい。 ひたすら見つめているのは、可愛い弟と可愛い名付け子の貴重で愛らしい姿のみ!!なので、 『とっておきの可愛い写真』の主語に、自分がくるなんて思いもよらないのだろう。 今回ばかりは、彼の親ばか・兄ばかに助かったユーリとヴォルフだった。 「きっと猊下ですね、よし、今から眞王廟に行って貰って来よう!」 「わ〜〜まってまって!村田の所に乗り込むのだけはかんべんしてくれ!!」 「そうだ、誰にも話さない約束で、ユーリが貰ってきたのだから、お前が行ったら ユーリが怒られるだろう!!」 「え〜〜、だって。」 「だってじゃない!ユーリが怖い思いしてもいいのか?」 「・・・・・・じと〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。」 「うっ!!!」 「〜〜わかった!おれが村田から貰ってくる!!だから、ちょっとだけ待ってくれ!」 ぱぁぁ〜〜と、コンラートの顔に喜色が広がる。 「あぁ、チクショウ・・やっぱ、おれアンタに弱いんだな・・。」 微妙な敗北感に包まれて、ユーリはガックリと肩を落とした。隣では、やはりヴォルフラムが、 疲れた顔でソファーに沈み込んでいた。 さて、こちらは、WEB拍手で、7月26日14:51 仔猫物語の写真って、コンラッドの可愛い写真なら ユーリがほしがりそうですね!という、美味しいネタを下さった方のコメントから出来ました。 この後、コンを巻き込んでの猫化話に発展します。 |