料理で対決!新たなる好敵手?? |
ぐつぐつぐつ・・・・・。
大鍋を掻き回している姿は・・・姫君というより魔女だ・・なんか、鍋の中にはトカゲとか入って いそうだ。料理はおおよその予想通りの展開というか・・それを上回る悲惨さを醸し出してきた。 なにせ、上流階級にあって、自分で家事というものを一切しないで、メイドに全てさせると言うのが、 一種のステイタスである。その国最高位にか、またはそれに準じる立場の多い姫君たちにおいて、 料理というものは鬼門というしかないのかもしれない・・・。 だけれども、何でっ? どぉっかぁぁぁん!!!☆ 「なんでっ?料理が爆発するのぉぉ??Σ(ll゚Д゚ll)アリエネー!」 有利が驚いて叫ぶのも無理はない。 「おおっと!11番ゴットルプ家のエリザヴェータ姫!かまどを爆発させたぁぁ!!これにより、 エリザヴェータ姫、棄権であります!」 と、このような調子で早くも3人が棄権してしまったのであった。 9番オルデンブルク家フリーデリケ嬢は、油に野菜を投入時に水を切らなかったらしく、油が跳ね上がり、 火災を発生させて危険・・じゃない棄権・・。3番ロマノフ家のマルガリータ嬢は、熱い鍋をひっくり 返して、審査員までが飛びのく始末。そのほか、あっちでお皿が割れ、素材が焦げ付き、異臭が漂い! 観客も美しい姫君たちの、破壊工作にドン引きしている状態であった。 そんな中で、ほぼ中央で作業していた眞魔国の仲良し姉弟(笑)は着々に料理を完成させていっている。 一度創作活動に入ると、ヴォルフラムは周りの事には頓着しないたちである。それが今回は幸いした ようだ。ゆでて、混ぜて焼くだけ・・兄直伝の芋料理を一心不乱に完成させていっている。 せっせ、せっせと、台の上でのし棒で生地を伸ばしていく姿など、なんとはなく、幼稚園児の 粘土細工を思い出す有利・・・ちょっと、微笑ましいな〜。 一方、その兄・・いや姉?は周りとは対照的に、危なくない手付きで次々と凝った料理を完成させて いっている。特に魚をさばく手付きなど、審査員・観客両方から、ため息が漏れたほどの見事さである。 さすが剣豪、刃物の扱いは、超一流である。 それに、くるくる動くたびに揺れる猫耳付のツインテールの髪型が新鮮で・・おもわず有利はほんわ〜 とした表情で、彼ばかりを見てしまう。なんか・・あそこだけハートが飛んでいる気がするなぁ〜。 「うんうん、それは君の目がハートだからそう見えるんだよ。」 「のわっ!!ムラタ?お前なんで此処に?司会していたんじゃないのか?」 「フッ・・舞台の上は戦場なのさ・・・あれじゃ、命がいくつあっても足りないよ・・・。(ーー;)」 どうやら、あちこちで起こる騒動に、命の危険を感じて逃げてきたらしい。 「た・・たしかに・・・。あ・・鍋のふたが飛んだな・・」 「ユーリー、お母様、怪我しないかな。(。・´_`・。)」 「大丈夫じゃない?それより良くこの中で、ウェラー卿は気にならないで出来るよねぇ〜?」 そう、村田が言うとおり舞台のあちらこちらから、どっかんだの!きゃぁぁだの、いやーー!だの悲鳴 と怒号と破裂音だのが、飛びかっていても我関せずである。アルノルド帰りのコンラートにとって、 飛んでくる鍋の蓋を避ける等と言うのは、朝飯前であろうが・・・ただのマイペース人間であることが 大きいと、ムラタは見た。 他にも、アグラーヤはその繊細な性格そのままの、細かな細工を施したフルーツなどを飾りを作り出して いるし、バルバラは見た目の可愛らしいお菓子をメインのラインナップである。また、アンジュー王家の ディアーヌ姫は、コンラートとはるような見事な手付きで、王宮料理を完成させてゆく。 「うわぁ〜、あの4番のお姫様、コンラッドとはる腕前だね〜、お姫様なのにすごいな〜。」 「あぁ、彼女の国は小さいんだよ、たしか城といっても、血盟城の中にある別館よりも小さいんだ・・ だから、王族といえど城の管理は自分達でやるのが鉄則なんだよ。」 ようは、貧乏なのである・・。 庶民派の有利には、何とは無く好感というか、親しみがわく。容姿もどちらかといえば可愛い系。 可憐なお姫様である。ちょーーと、お近づきになりたいかな?なんて、思ったとたんに・・ だんッ!! 何処からとも無く、フライパン返しが飛んできた・・・さっきから、鍋の蓋だの何だのを飛ばすお姫様が また飛ばしたらしい・・・しかし、何でこんな所に・・さっきから中央に向かって飛んでいたはずなのに? ・・。と、有利は飛んできた方向を見ると・・・ばっちりと、コンラートと目が合った。 にーーこり↓↓↓ ぞぞぞぞぞぞぞ!!! どうやら、コンラートの方向に飛んだものを、彼が先割れスプーンで弾き飛ばしたものらしい。 「渋谷・・・君・・浮気は絶対しないほうがいいよ。したら最後、命は無いからーー。」 村田もそれがどういう意図で飛んできたか、正確に把握したらしい。親友として、切実に忠告してくれた。 その、友のありがたい忠告に、有利はコクコクとうなずくしかなかったのである。 「まったく、ユーリは、カワイイ系には眼が無いのだからっ!」 ブツブツ・・・ コンスタンツェさん、只今ご立腹中・・というのも、彼の最愛の人である有利陛下の視線が他の女性に 向いたからである。 「どうせ、俺は可愛くないですっ!」 かしゃかしゃかしゃかしゃ!! 凄い勢いで、卵白がメレンゲ化してゆく、どうやら最後のデザート作りに入ったようだが、怒りで繊細な デザート作りが失敗ない事を祈ろう。 「折角、後で食べさせてあげようと思ったけど、もう食べさせてやらないですからねっ!」 ぶつぶつ・・・・ どうやら、有利はこの後、食いっぱぐれることが決定したようだ。 「姉上?どうかしたのですか?」 それまで一心不乱に芋と格闘していた弟が、気付けばすぐ近くまで様子を見に来ていた。 「じっ・・」 「?」 「ヴォルフ・・俺、可愛くないよね?」 「かわいいですよ?」 何を言っているのだろこの姉は?という目で、弟はコンラートを見やった。頭の両脇で揺れる二つに結ん だ髪に、真っ白なふわふわな猫耳・・長兄が見たら、一発で眉間の皺が全部なくなろうという出来栄えだ! 「本当?」 「当たり前です!兄上に見せたら、まちがいなく抱きしめて離してはくれなくなる保障付です!」 「・・・その保障は欲しくない・・。」 ちょっと、想像してしまったらしい・・・声が本当に嫌そうである、案外正直な次男であった。 「では、僕の保障つきだ!姉上は綺麗でかわいいです!」 腕を組んでふんぞり返りながらも、ちょっと照れて力強い言葉をくれる弟に、最近男前度が上がったな〜。 などと兄馬鹿なことを考えるコンラート・・・。 ほんわか〜とした兄弟。そこだけ、ちょっと花か何かが飛びそうな空気である。 「あそこの兄弟・・何を百合しているんだろうね〜?」 村田が面白そうに、舞台の中央を見る。本当は男同士なのではあるが、見た目は可憐な少女が二人である。 見つめ合って、おたがい少し照れつつニコニコする様子は、微笑ましいような?ちょっと、危ないような? 「あぁ!ヴォルフめ!コンラッドに、あ〜〜んして食べさしてもらっている!?」 「・・・渋谷・・あれは味見でしょう?きみ、嫉妬で変な風に見えてない?」 「おれもしてもらいたい・・。」 「はいはい、うらやましいのね・・。」 「グレタも!グレタもお母様に、あ〜〜んして欲しいなっ!」 「だよな!ヴォルフずるいよなっ!あとで、おれ達もして貰おうな!グレタ!」 「うんうん、ヴォルフばかりずるい!グレタも後でしてもらうもん!!」 こちらも手を取り合って、ハイ、ア〜〜ンをして貰おうとする父娘。 「君ら・・どれだけ、ウェラー卿好きなんだよ・・・。」 ちょっと、ゲッソリした、ダイケンジャー様は、再び司会をしに舞台に戻っていった。 さて、制限時間を終え、舞台中央に食材があったテーブルの代わりに、料理を置くテーブルが現れた。 選手達は、出来上がった料理をきれいに並べてゆく。 それを、見た目、味、工夫、手際のよさなどで採点していくのである。 料理である以上、試食というものがつき物で・・・これが審査員にとって、まさか辛い試練になる だなんて!ちょっと、眞魔国の代表の足を引っ張るつもりが、自国の代表選手の足も引っ張った上に、 ・・・これを?自分達が食べるのか?そう、迂闊であった。いくら女性だからといって、料理が作れるも のではないのである。酷かった三名は、既に脱落しているが、それでもまだまだ、7名の選手が残っている。 この中で手際よく料理を作っていたのは、たったの2名である。ディアーヌ姫とコンスタンツェ嬢である。 つい、まともな方へと行こうとする審査員たちを、そうはさせるか!司会者ロビンが立ち塞がった。 「では、端から順番に試食していただきましょう。選手は料理の説明を、審査員は試食の後、感想を おねがいします。」 最初は、例の鍋の蓋やら何やらを飛ばしていた姫である。本人曰く、自分の国の宮廷料理であるそうだ。 が・・・。一体何が何やら?説明されても審査員にも、また観客にもわからなかった。 黒こげだの、調味料を間違えたのは当たり前、審査員が口にするたびに、ガキッ!だの何ともいえない、 歯ざわり?がするのだ、最早、味云々の問題ではない、それ以前だ・・コレは料理ではない。 と、重々しくも審査員一同一致での見解が出た。鍋蓋飛ばし姫・・・0点・・・。 次は、アグラ−ヤである。美しくカッティングされたフルーツ達に、審査員の表情も和む。 「まぁ何と美しい・・まるで果物で出来た花のようですわ〜。」 「カービングという技法ですわ。宮中では、女性のたしなみとして受け継がれているものです。」 では早速、という事で、ポリポリ食べてゆく、生野菜やフルーツのサラダ・・だが此処でみな気付いた もしや、全部生??そう、確かに美しいことは美しいが・・ようは生野菜のサラダ。 「とても、素材を生かした素晴しい技法ですわね。ほほほほ。」 上手い言い逃れだ・・・審査員達も少し知恵をつけてきたか・・? 続いては、まともだ・・。 眞魔国代表の男性の作品ではあるが・・・先が先なので、つい、皆揃ってそんな感想を持ってしまった。 素朴な料理ではあるが、飾りつけは美しい。さすがは、元王子だけはある洗練されたセンスの持ち主で ある。野菜を色とりどり使ったスープに、牛肉の中にピクルスとベーコンに玉葱などを巻いて、クリーム ソースであえた肉料理は、すこし塩辛いが、付け合せの芋を焼いただけの素朴な素材の味に良くあう。 また、同じ芋を使った、デザートも形は歪ではあるが、甘くて味のバランスは良いといえよう。 食べてみると、ほんわりと体の中から温まる。惜しむらくは、その品数の少なさだが・・。 「自分は、恥ずかしながら初めて料理というものをしました・・・ですから、これが今の自分の 精一杯のおもてなしです。」 頬を染めて、己の未熟さを認める潔さ、それが審査員達の心を掴んだ。 「唯一男性という出場者の中で、初めての料理であるがゆえか、品数技術はいまひとつでは ありますが、その努力と人を持て成そうとする心は、すばらしい!」 ヒスクライフ氏の賞賛に、ほかの審査員からも暖かな拍手が・・。 それに、有り難うございますと、猫耳王子がぺこりと頭を下げる。凛々しくもかわいいようすに、 観客の女性の心を『きゅうんっ』と、つかんだヴォルフであった。 次は、ディアーヌ姫である。2時間という制限時間内に、コース全てを作りきったのは、彼女と コンラートのみであった。 彼女が作ったのは、南にある彼女の国の宮廷料理である。 「我が国は、季節の寒暖差が激しく、そのためスパイスを巧みに使う料理に特化しております。」 そう彼女が言うとおり、スパイスに漬け込んだ物を焼いたりあげたりしたものが多い。地球で言う、 インドなどの料理を思い出すといいのではないだろうか? 「なんとも、調味料が効いて・・それでいてまろやかさがある!」 「えぇ、それに、薬効成分のおかげで、痩身効果や美肌効果などもあり、女性にお勧めですわ」 それを効いた客席の女性が乗り出す。いやはや、何とも自国を売り込むのが上手いお姫様だ。 中々いい外交官になりそうだと、村田は評した。 次は、バルバラである。彼女は得意だと言うお菓子のフルコースだ。 辛い物の後に、甘いもの・・ある意味バランスが摂れた並び順である。 見た目は可愛らしく、おいしいのだが・・・それで、フルコースとなると・・やはり辛かった。 食べ終わる頃には、口の中が甘ったるく感じた。 「とても可愛らしくも、甘い料理でした。娘だったら喜んでかんしょくしそうですね〜。」 それは、完食ではなく間食?かもしれないが・・。 そして、次はセロシアである。そういえば、この姫様?なにやら、鍋でぐつぐつ煮ていたな? 彼女は魚料理がメインだ。ぐつぐつ煮ていたのは?スープだったらしい。真っ赤な色は、トマトの ポタージュであろうか?彩りは鮮やか、中々マトモな出来映えに、隣のコンラートも内心感心した。 そのコンラートを、ふふん・・と鼻で笑って返す。『料理くらい、いつでも出来るようになれますのよ』 というところであろうか? 「オッフェンバッハは海に面した国、メインは魚料理が多いのですわ。これは、蒸した魚に香油を 熱してかけるというものですわ。」 「ほぉ〜、皮がパリパリとして、香りも良いですね〜。」 審査員達も、大鍋を煮ていた姿からは想像できないまとも品に、概ね好感触である。 「ち、セロシアめ、料理を特訓しやいがりましたわね・・此処で大恥かくと楽しみにしていたのにっ!」 貴賓席で地団駄を踏みそうなベアトリスを、どうどうとグレタがあやす。 「グレタ・・・馬じゃないんだから・・・^^;」 と、魔王親子とこの国の王女が貴賓席で、ドタバタしていると、舞台でもドタ・・バタ・・と、審査員が 床に崩れた。 「う〜〜これは・・・・?」 驚いた司会の村田がが、審査員が口にした魚料理を見ると腸やエラがそのままだ。 「だって、取るのが気持ち悪かったんですもの、だいたい、魚はまるで食べても健康にいいのですよ」 倒れている審査員を見る限り、すこぶる悪そうである。口直しにと、スープを飲むとドロドロして いる割に水っぽい?これはもしや? 「えっと、セロシア選手?ブイヨンは取りましたか?」 「なんですのそれ?」 「スープに入れるだしです。鶏がらと野菜を煮てうまみを取り出す・・。」 「いやですわ・・そんなもの気持ち悪い・・、野菜のうまみだけで充分じゃないですの?」 「えっと、味見しました?」 「わたくしが作るのですよ?、それだけでもありがたいに決まっています!」 ふんっと、ふんぞり返る大国の王女に、審査員一同困った・・はっきり言ってマズイの一言である。 司会者のロビンソン、村田もトホホ気味だ。 そこに、お盆に湯のみをのせて、コンラートがお茶を入れてきた。香ばしくも爽やかないい香りだ。 知らぬ間に、キッチンに戻って入れてきてくれたのだ。 「さぁ、こちらは殺菌作用のある緑茶です。少し濃い目に熱く入れてありますので、気をつけて ください。ですが口の中がさっぱりしますよ。」 それを口にすると、確かに熱く苦味も濃いようではあるが、口の中がさっぱりとする上に、何やら 香ばしい香りが、心を和ます。 「やぁ、コレは玄米茶だね。今炒ってきたの?」 「えぇ、気分が悪そうでしたので、お口直しになればと。出すぎたマネをして申し訳ありません」 「いやいや、このお茶は、さっぱりするよ。見たことが無いが、これは?」 「はい、魔王陛下の故郷のお茶です。抗菌作用も高く、食中毒予防の効果もあるそうです。また、 お肌を白く美しく保つ栄養素が手軽に取れ、肥満予防する効果もあるそうです。」 うわ〜、これはもしや、ディアーヌ姫への対抗心?こちらも中々、外交官としての手腕をお持ちで・・。 どうやら、セロシアを軽くコケにして、ついでとばかりに、有利の関心を得た彼女に、軽くパンチの お見舞いのようだ。渋谷・・・本当に浮気はしないほうが良いよ。その深い嫉妬・・いや愛情に、彼の 恋人である友人に、村田大賢者心の中で合掌・・・。ナーム〜。 最後に、推薦枠出場のコンスタンツェ嬢、手際をみるかぎり、彼女かディアーヌ姫か、どちらかが 此処の優勝であろう? 「おや・これは、眞魔国の料理ではないんですね?」 ヒスクライフが、一目でかの国の料理ではない事にきづいた。大皿料理や自国の料理が多い中、 彼はどうやら、別の国の料理を出すらしい。それにしても、すべてが一口サイズにされていて、 見た目も美しい。他の姫君が高級なお皿に乗せている中、彼の料理は素朴なかごやお盆の上に並べてある。 「はい、わたしは眞魔国の出ですが、今回はカヴァルケードの推薦で出場させていただきました。 ですから、素材はこの国の物を、器は眞魔国のもの、そして技法はわが陛下の生まれた国の物を 使いました。」 「これは、有利陛下の生国の?」 「はい、厳密には食材が違いますので、その国の料理とは言えません。こちらの方の口に会うように 味付けは返させていただきましたから、ですが一人一人に楽しんでもらおうというおもてなしの心だけは 彼の国で教わったものであります。」 ほほ〜〜〜ぉと、審査員も感心する。それに、カヴァルケードの観客も、自国の素材を使った料理を 美しく仕上げてくれた選手に喝采を送りたい気持ちである。 「なるほど、おもてなしの心ですか?それで全て一口サイズなおですか?」 「はい、女性は大きな口を開けるのを恥ずかしがるものです。ですから、最初から一口で食べれるように このように、スプーンや野菜を器に見立てて、飾ってあります。」 しかも、味も薄い物から、濃いものへと理にかなった順番で配置されている。それに、一見皿の数では 一緒ではあるが、その料理の種類の多さから言うと、ダントツに多い、コレだけを2時間で仕上げるとは この選手の力量は素晴しいとしか、審査員もいえないのであった。 元は、魔族の代表選手の足を引っ張るためにこの項目を入れたのに、この選手といい、先ほどの眞魔国の 代表といい、自国のプライドより、客をもてなすという事を第一と考えている。長年、悪の根源だと 言われていた魔族・・・これが彼らの本質であると言うならば・・人間のほうが余程悪ではないか? そんな気を起こさせるものが、彼らの笑顔と真心にはあった。 「とても、おいしかったわ・・それに、目で舌で・・・そして、心で楽しませていただきました。」 ごちそうさま 審査員の一人がそういうと、コンラートは心底嬉しそうに、艶やかに笑った・・・・。 フェロモン全開で。 「あぁぁぁ!コンラッドのばかぁぁ!!今、審査員のおばちゃんまで落しやがったぁぁ!!」 ムンクの叫びのポーズで、固まる有利。その視線の先では、ぽ〜〜と頬を赤く染める審査員達がぁ! コンラッドは、おれの恋人なのにぃ〜! アンタ何、ほかの人に、そんなにきれいな笑顔を振りまいているんだよ!あの、夜の帝王め! 訂正だ!さっき、ちら〜〜と、おれの王子様を姫君の中に投入したと後悔したけど、あれは訂正だぁ! 「羊の群れ(←この世界の羊は凶暴です)に、竜(←モット凶暴)を放牧してしまったぁぁ!!」 「お・・お父様・・どうどう!」 ベアトリスに続き、今度は父親を宥めるグレタ。 ふ・・・ふふふふふ、もうこれは、帰ってきたらお仕置きしかないな・・クスクスクス 「お・・おとうさま〜、お・・落ち着いて・・ふえ〜〜ん、お母様ぁ、お父様が怖いよ〜。」 何でも良いが、一応貴賓席なんだしさ〜、もう少しおとなしくは出来ないのかな〜・あの三人・・。 舞台上から、暴れる魔王様を見咎めた大賢者は、やれやれと肩をすくめるのであった。 11月13日UP お互いに嫉妬しあう二人です・・・えぇっと、バカッポー万歳??グレタ姫災難かな? コンが姿に釣られて、思考が女性化していっているのは、前回ママスイッチを押されてしまった からでしょう。そして、シスコンヴォルフをかいてみました。うんうん、三男は男前! |