April Fool's Dayは春がいっぱい
4月1日は、おばかな日。







しっぶやくーーん!

血盟城の魔王のおわす執務室に、軽やかにやってきたのは、三黒の大賢者様。

「あ・・・。」

そこで、大賢者が見たものは、窓枠に足をかけて、今まさに脱走をしようとしている魔王陛下の姿だった!

「何しているんだい?」
「あ・・うっ・・えへへ?」

ちょうど、王佐も摂政も用事で、席をはずした隙に、脱走を図ろうとしたらしい。最近、王としての自覚も
芽生えたかと思いきや?すぐに、これだ・・立派な王様になるという彼の目標は、中々遠い道のりらしい。

「だってさ、コンラッドが、城下に行っちゃったんだよ。休憩しようとおもったら、自力で確保しなくちゃ
いけないだろう?」
「きみ、自力の方向性が激しく違うよ。この場合、書類を終わらせて休憩にしなよ。」
「う・・・だって・・・。」

「それに、ついでに城下まで足を伸ばそうとか考えているんだろうケド、ウェラー卿とは会えないよ。」
「う・・どうしてそれを?って、いうか、コンラッドと会えないって何で?」

「だって、ウェラー卿‥今日は、デートだものv キミにかまっている暇は無いよ。」

「へ〜流石はモテ男、おれも見習いたい・・って、デートォォ!?」
それって、女性と楽しい一時をお過ごしになっているってこと?コンラッドが、おれに黙ってデートですと?

「そりゃ、ウェラー卿は、魔王の『臣下』だけど、そんな私的なことまで、一々報告をする義務も無いよ?」
「うっ・・・。」

「ウェラー卿も、毎日、魔王陛下の脱走の手引きじゃ、彼の能力も宝の持ち腐れ。その上、国一番の剣豪なのに、
やっていることは、魔王陛下の『世話係』だものね〜、そりゃ〜たまには、息抜きくらいしたいだろう?」

「ううっ・・・身につまされます。な・・なぁ、もっ・・しかして。」
有利は一瞬、考えるのもおぞましい想像をしてしまった。

コンラートは、今の仕事内容に不満があるのでは?
たしかに、彼のような優秀な男を、護衛というより世話係りに使っている状況では、あまりにも酷いかもしれない。
その内、こっそり息抜きをするだけでは、あきたらず・・護衛をやめてもっと能力が発揮できる職場に転職されて
しまったら?

「どどど、どうしよう?コンラッドが転職するとか言い出したら?まてよ、その前に、コンラッドの適職って何?
とりあえず、料理はうまいし、人のあしらいもうまいから、お店とか始めちゃったり?うわ〜、白いコック服に
黒いギャルソンのエプロンとか似合いそう!きっと、コンラッド目当てのお嬢さんとか、若奥さんとか、熟女の皆様とか
虜にしちゃうんだー!?どうしよう、そうしたら、夢中になった女性が通いつめちゃって、その周辺で、りんごの木・・
じゃない、離婚の危機が勃発しまくったらーー!!」

あぁーー!!おれは、どうしたらいいんだーー!!

「あっはっは、渋谷は楽しいな〜、よく、デート情報からそこまで発展するんだろう?」
村田大賢者様は、魔王様の特技であるトルコ行進曲と妄想が大爆発で、大暴走していく様を、面白そうに眺めていた。

「むらたぁぁ!!何、呑気に構えているんだ?どうするんだ?王都で離婚者が急増しちゃったら?おれ、シングルマザー
対策として、就職斡旋所とか、作った方がいい?それとも、弁護士を王都に集めるとか?いや、それじゃぁ、コンラッドが
訴えられちゃうと困るな?そうだ、コンラッドの為に、最強の弁護士集団を立ち上げなくっちゃ!!あぁ!でも、橋本先生は
府知事になっちゃったし、メンバーが足りねーー!!!」

何故そんな風に発展していくのか?そもそも、彼の中で、名付け親氏の人物像は、一体どんなものなのだろうか?


「そうだ!そうならないように、おれがコンラッドが、いらぬ誤解を与えないように、気をつければいいじゃんか!」


よーーし!、コンラッドがコックなら、おれは ウェイターをするぞぉー!


どうやら、魔王陛下は、護衛氏にどこまでも付いて行く気らしい。

それでは、転職する意味は無いんじゃないかな〜?なんて、村田様は思った。





そこへ、噂のコンラートが戻ってきた。

「陛下、只今戻りました。」
「コンラッドーー!接客は、おれに任してくれよなっ!絶対に、アンタを 訴えさせたりしないからなっ!!」

扉を開けた途端に、彼の可愛い名づけ子は、飛んできて訳のわからない事を言い出した。

接客?て、なんですか?それで、何で?おれが訴えられるのだろうか?

たぶん事情を知っていると思われる人物に、コンラートは目で訴えてみた。すると、意味深な笑顔で返された。

「それで猊下?陛下に何をおっしゃったんでしょうか?」
たぶん原因は、彼に間違いないだろう。

「いや、ただ、ウェラー卿が、城下デートをしているようだという話をしただけなんだけどね〜、いや〜、
渋谷の中で、キミがどんな風に評価されているか良くわかったよ。まぁ、キミも気を落とさずに・・うんうん。」

それは、ユーリの中で、自分の評価が散々だということなのだろうか?

「ところで、猊下?デートなんて気持ち悪い言い方はしないで下さい。」
「またまた〜、キミらが二人とで洋品店やら宝飾店やらを回っていたんだろう?立派にデートだろう?」
「たしかに、回ってはいましたが・・それは、ヨザックが、無理やり俺を、連れまわしたからですよ?」
「えぇ!ヨザック?コンラッド、グリエちゃんと、デートしていたの!?」
「・・・ユーリ・・お願いだから、貴方まで 気持ち悪いことを 言わないで下さい。」
心底勘弁して欲しいと、コンラートは頭を抱えた。


すると、ちゃっっらーーーん!!と、陽気におやつを持って入ってきたのは、青空のような明るい青を
基調とした白のレースも眩しいメイド服を着たグリエであった。

「はぁ〜い、おやつの用意をしてきましたよ〜。みてみて、陛下・猊下!萌え萌えのメイド服よんっ!」
「グリエ・・キミのは、メイド服へ冒涜だね・・いっそ、燃えろ冥途服と化してやろうか?」
萌えの文化に厳しい大賢者猊下の指摘が入る。本当に、真っ黒焦げにされそうなので、ヨザックは慄いた。

「くすん、折角猊下の喜んでもらおうと奮発したのにぃ〜。」
さめざめと泣くグリエを、ふんっとばかりに、鼻先で笑い飛ばす村田。
「・・ふむ?」
その様子に、コンラートが、何かを気が付いた。

「それにしても、楽しくデートをしていたようじゃないか?二人で宝飾店に入たって?結婚指輪でも買ったのかな?」
ちくちくっと・・言葉のとげが、ヨザックに突き刺さってゆく。
「あれ・・・なんで、そんなことまで知っているんですかい?」

「「なに!?本当に買ったの(かい)!?」」
まさか二人が、そんな関係だったなんて!?双黒二人は驚いた!


「はぁ?」
「ヨザ、止せよ。ナイショだったはずだろう?」
「あーー・・・えへへ、ごめんなさーい。隊長。」
コンラートが、人差し指を口に当てて、しー!とそれ以上は、話さないようにいえば、ヨザックも肩をすくめて
舌をぺろっと出した。なんだか、どこぞのアホなカップルのようである。

むっ!!×2人

「いやぁ、本当にお楽しみだったみたいだね。」
ぴくぴくと、村田のコメカミがひくついた。

「いやですね、猊下。お楽しみは、夜の方ですよ?」
その発言に、流石の大賢者も絶句した。よもや?コンラートから、そんな答えが返ってくるとは!?


「それで?さっきは、何のお話だったんですか?」
コンラートは、そんな村田の様子を気にする風でもなく、ユーリをお茶へと誘う。
有利は有利で、夜がうんたらという話は、意味がわからなかったようだ。コンラートが、にこっと微笑んで、
話を促し、ヨザックが、すかさず目の前に、大好物のケーキと紅茶をそろえてしまう。

すると、有利の注意は、ケーキに向かってしまい、それまでしていた話を、コンラートに
ぺロっと、話してしまう。

幼馴染達の、見事なコンビネーションだ・・・。
と、いうか、そんなに口が軽くって、魔王としてそれでいいのかい?渋谷・・・(−−;)


「ユーリ、俺は、今の仕事が気に入っていますから、辞めたりはしないよ。」
「本当?」
「でも、そうですね〜?ユーリが魔王を辞めたら・・・その時は、一緒にお店もいいですね。」

だって、ついて来てくれるんでしょう?

ね?っと、小首をかしげて尋ねられると、有利は元気良く返事を・・しようとしたら?

「ウェラー卿、ウェイトレスならそこにいるだろう?」
と、村田がグリエをさす。

「でも、流石に そのころは、ヨザも女装がきついのでは?」
「だから、若い方に乗り換えようって?ふ〜〜ん。」

なにやら、今日は村田が、コンラッドに絡んでいるな〜?なんて、有利はのんびりと紅茶を飲み干す。

「乗り換えるなんて?有利は、俺の家族になるんですし、ね?」(←護衛氏、ゆーちゃんお嫁化計画推進中)
「うん、だよね?」
確かに、名付け親子だし、家族だよなっ!(←だが通じてない)

「へ〜だったら、渋谷が子供で、ウェラー卿がパパで、グリエがママか〜、すごく濃ゆい家族だねっ!」
にこやかに、村田大賢者様が嫌味を言うのを、流石に有利も眉をひそめた。

「村田?さっきからなんだよ?だいたい何で、一々グリエちゃんを混ぜようとするの?
家族ったら、俺とコンラッドじゃん。」

なっ?と、有利がコンラートを振り返ってみる。すると、そうですね。なんて、ムチャクチャ嬉しそうに
コンラートが答えている。おいおい、ウェラー卿、ヨザと渋谷を二股かけるきかい?

まったく、有利は有利で、何気にコンラートへの独占欲を丸出しにして、彼を喜ばすし、グリエはそんな
二人を何も言わずに微笑ましそうに見ているし・・一体、何なんだ?

村田にしては珍しく思考がぐるぐるしていることに、彼自身は気が付いていない。

そんな村田を、ヨザックとコンラートが意外に優しい目で見ていることにも・・・。

こうなったら、とことん邪魔してやる!




「ところで隊長?さっきの夜のお楽しみだとか?なんですかい?あれじゃぁ、まるで俺達が、
身体の関係を結んでいるみたいに聞こえますよ?現に猊下は、そう思ったみたいですし?」

「そういうお前だって、のってきただろうが?アレは良いんだ。今日は、4月1日だろう?地球では、
April Fool's Dayといって、その日だけは たわいも無い嘘をついていい日なんだ。」
「あぁ、成る程〜。だから、あんなうんくさい嘘をついたのか?」

だいたい、その前に、コンラートが、ユーリを放り出して、デートをしていると、吹き込んで彼を
からかったのは、村田の方なのだ。

「ちょっと、嘘のお返しだよ。」
しらっと答えるコンラートに、ヨザックは肩をすくめて見せる。

「それに、夜のお楽しみは本当だろう?もっとも、それは、お前と猊下だろうがな?」
と、コンラートは意味深な笑いを唇の端に乗せた。本当、こうしていると、悪い男の顔だ。
何が爽やか好青年だ。坊ちゃん、コイツは、夜の帝王だから気をツケテー!と、思いつつも、
すでに、あの可愛い魔王陛下は、この男に誑されているんだからしょうがない。
それに、すすんでたらされている趣もあるし、結局 相思相愛なのだから、仕方ないのだろう?

「はいはい、その為に、嫌がる隊長に協力してもらったんですから・・まぁ、いいですよ。それに、
隊長だって収穫があったじゃないですか?坊ちゃん、ご自分では気が付いてらっしゃらないが、アンタに
ついていくって・・、家族はご自分とアンタだけなんて言って貰っちゃってぇ〜。この幸せ者っ!」

肘でつついてやると、オイ止せよと言いつつ、顔が幸せそうにニヤケていますよー、たーいちょ♥

まさか、この男のこんな顔を拝める日が来るなんて・・ほんの1・2年前までは思いもよらなかった。

「いや、それは俺もか?」
「なんだ?」
「いや、お互い、こんなたわいも無い嘘なんかついて、こうして、穏やかに笑える日が来るなんて、
思わなかったなっと。」

ほんの前まで、ここはたわいないどころか、本気で命さえ左右するような酷い嘘と虚構で埋め尽くされていた。

『混血は裏切る!混血は魂までもが汚れた存在だ!』
存在することさえ、忌まわしそうな視線で、言葉で、時に暴力に、常にさらされていた。

そんな時代があったことさえ、今はこうして穏やかに語り合える日が来た。

「そうだな・・ところで、ヨザック?そろそろ、猊下の所に行ったほうが良いんじゃないか?めずらしく
ぐるぐると考え込まれていたからな。」
「だね〜、それにしても、健ちゃんが隊長とのこと、ヤキモチやいてくれるなんて思わなかったわ〜
わざわざ呼びつけてくれたおかげで、忍んで行かなくてもいいし〜♪」

もう、今日は、離さないからっ!!

「程々にしろよ・・・。」

くねくねとしなを作って身悶える幼馴染に、コンラートは、忠告だけはしておいてみた。

・・たぶん、聞きはしないだろうが・・。




コンコンっと、眞王廟の最奥にある、村田猊下の部屋を訪ねる。調べ物をするから、城の図書館から資料を探して
持ってくるように言い付かったのだ。分厚い本を山積みにして、村田は一心不乱に本を読み漁っていた。

ヨザックは、資料をおくと、扉から出て行こうとする。

「どこへ、いくんだい?」
「どこと、いわれましても?」
「・・・もしかして、ウェラー卿の所なら、行かない方がいいよ。今日は渋谷が泊り込んでいるから・・。」

なるほど?どうやら村田は、有利をうまく使って、コンラートの足止めをしたらしい。
と?いうことは?今頃、自分の幼馴染は、幸せを堪能しているに違いない。彼は、あの可愛い名づけ子を
かまい倒すのが、一番の至福の時なのだ。いや、少し箍の外れた先ほどの様子からすると、手を出して
いるのかもしれない。 どのみち、遅かれ早かれ、あの二人はそういう関係になるのだからという認識を持つ
ヨザックは、心の中で、隊長も程ほどにしてくださいね〜と、先ほど言われた言葉を返した。

・・・多分、無駄だろうケド・・・。

それにしても・・

いやぁ〜、本当にあの猊下が、ヤキモチを焼くなんてね〜。もう、めちゃくちゃ可愛いっっ!!

にやけそうになる顔を必死に我慢して、ヨザックは扉の外に出た。

「あ・・」という、小さな呟きが背中の方から聞こえたのだが、かまわずに外に出て、カラコローと、置いてあった
ワゴンを押して戻ってきた。

なにやら、ばつが悪そうな表情の村田を気にしないで、ヨザックは手早くお茶の準備をする。

「猊下、根を詰めすぎると身体に悪いですよ?はぁ〜い、ちょっとだけ休憩しましょう。」
そう笑いかければ、村田は本を置いて、お茶の用意が出来たソファーセットに座り込んだ。

爽やかで甘いりんごの皮で香りをつけた紅茶で、村田の苛立った神経を休めてあげる。
半分くらい飲んで、落ち着いただろうと頃を見計らって、ヨザックは村田のすぐ隣に座った。

「?」
そして、自分とまったくちがう、華奢なその手をとると、小さな箱をその上に置く。

「なに?これ?」
「空けてみてください。」

きっちりと、リボンで結われた箱を開けると、布に大切そうにくるまれていたのは?

「ストラップ?」
「それなら、身近につけていられるでしょう?」

それは、見事な細工物であった。銀色の鎖の先につながれているのは、白い石を彫刻して出来た鳩に、
瞳に青い宝石を埋め込んだものと、黒い5角形の宝石と透明な六角形で球体に仕上げてある細工物だ。
一体どうやってこれを作ったか不明だが、まぎれもなくこれは?

「さっかーぼうるって、これでいいんでしょうか?健ちゃんが好きなスポーツなんですよね?俺、わからなくって
隊長に頼んで説明してもらって、注文してみたんですが?一応、隊長に大丈夫だとは言われたんですが・・・」
「ウェラー卿に?」

あぁ、だから、宝飾店に行ったのか?

彼ならNASAブランドの知識があるから、サッカーボールも解かるだろう。

「なにせ、隊長ったら、絵に描いてもらって、それを見て注文しようと思ったら、アイツ・・致命的に絵が下手で・・
何がなんだかさっぱりぽんですよ〜。それで、引っ張り出して、その場で説明させて作ってもらったんですよ。」

どうです?気に入ってくださいましたか?
ちょっと、心配そうに、ヨザックは村田の顔を覗き込んだ。そういえば、渋谷が、

「コンラッドったら、なにかあると、すぐに寂しそうな顔で人の顔色をみるんだぜ?その様子が、捨てられた獅子
みたいで、つい言うこと聞いてあげたくなるんだよな〜?アレってずるいんだよ。大人の癖して、そんな時だけ
すっげー可愛い奴なの!」

なんて、あの時は、何?惚気ているんだと思ったが、確かにコレはずるい・・。
こんな捨てられた犬みたいな目をして・・流石、幼馴染だ・・こんなところがそっくりじゃないか?

でもって、渋谷・・僕達は親友なわけで・・・やっぱり、僕らも似ているようだね?

「気に入るに、決まっているだろう。」

すると、ぱぁぁーーっと、嬉しそうな顔をするもんだから、こんな可愛い奴、確かに無下には出来ないよねっ?

「もう、健ちゃんかわいいーー!!」

がばりと、大きな犬は、尻尾を高速に振って、村田に飛びついた。

「ちょっと!?なに?こら、どこ触っているんだ?」

前言撤回だ!渋谷、絶対にほだされちゃいけないよ。この幼馴染等は、可愛く見えたって!


ケダモノなんだからっ!!







「ユーリ、ところで今日は何の日だか、知っていました?」
コンラートの部屋で、勝手に主よりも先にベットを占領していた有利に向けて、コンラートがそんな事を聞いてきた。
「なんだっけ??」
「今日は、四月一日でしょう?エイプリールフールだよ?だから、昼間、猊下が嘘をついたんじゃないですか?」
「あぁ、あの、コンラッドがデートって奴?アレ嘘なの?ただの勘違いだと思っていたよ。」
やっぱり思ったとおり、有利は騙されて、からかわれていたこと自体、気が付いていなかった・・。


「ところでユーリ?」
コンラートは、風呂上りで濡れた髪をかき上げつつ、ユーリが転がるベットに近づいてきた。

「夜、男の部屋に上がりこんで、ベットで待っているなんて、中々情熱的なお誘いだね?」
「へ・・・・?」

ぎし・・と、ベットが軋んで、男がベットに乗り上げてきた。

なんとは無く、座ったまま壁まで後ずさりをする有利。壁に背中をはりつけて、もう、これ以上下がれない所まで
来ると?コンラートが、間近から有利の顔を覗き込んだ。

「ねぇ?ユーリ?俺のこと好きですか?」

小首をかしげて聞くその顔に、有利が弱いと知っていて、今ここでそれを出すコンラート。
まさか、離れた眞王廟で 同じ技を、別の双黒の少年に 幼馴染が使っているとも知らずに、コンラートは
ちょっと可愛らしいとも、思える仕草で有利の良心を揺さぶる。

「そりゃ・・す・・きだけど?」
「だったら、俺達、相思相愛ですし、やることしましょうね?」
「やること??」

なんだろうと、不思議に思っていると?足を掴まれて、その間にコンラートの身体が入り込む。

そしてあっというまに、押し倒されて・・・。

「まてまてまて!コンラッド、何をして、ちょ・・まてってば!」
「はいはい、すぐにしてあげるね?」
「こら、人の話を聞けよっ!」
「うん?だって今日は、何の日だっけ?」
「え?そうか、だったら反対のことを言えばいいのか?今すぐしろ!」
「はい、よろこんで

って、結局、やめてくれないのかよっ!!


その後、怒涛のように、やることを経験させられた有利は、親友と同じ目に合わされたのであった。
村田の忠告は、魔王陛下の元まで届かなかったようだ。




4月1日・・お馬鹿の日である。だが、馬鹿を見たのは、双黒の少年達だけで、幼馴染の男達は、
至福の一夜であったようだ。これも、経験値の差であろうか?
『『来年は、絶対に地球に居てやる!!』』
別々の場所で、別々の男の腕の中で、そう誓った、双黒たちであった。





4月1日UP拍手掲載 4月3日本館に格納。

コンユとヨザケンで、お馬鹿の日のお話です。
嘘は、たわいないもののはずなんですが・・・コンラッドのは、いいんかいな??
でもきっと、村田の携帯電話あたりには、ヨザックの贈り物のストラップがついているんでしょうね?